円安、株高、エネルギー問題、そして日本国債市場。アベノミクスの効果と影響に絡めて日本市場の未来を今週はずっと書いてきましたが、今日はその最終回です。

 デフレ脱却、そして緩やかとは云えインフレになっていくことの最大の効果。それは“マインドセット”の変化だと思います。デフレの時代は人は怠けがちになると思います。今日買うよりも明日買う方が安い。今日動かなくても明日動けばいい。そんな気分やスタイルが蔓延します。何事もまったりしてくるのです。それがインフレ的世界では、明日買ったら今日より高くなってしまうので今日買わなければいけない。そのためには今日色々なことをして今日決めて今日動かねばならない。人が企業が皆がきびきびと前のめりに動き始めます。前傾姿勢でなければ獲物も球もとらえられないように、お尻に火が点くと動きが速くなり、注意力が上がり、生産性が上がります。このマインドセットの変化を日本という巨大な国全体に当て嵌めた時、その変化額、出力の違いは膨大だと思います。脱デフレ政策の最大の効果はまさにここにあるのではないでしょうか。Tomorrow never comes. 明日という日は決してこない。学生の頃から、このフレーズは座右の銘ではありませんが、私にとって常に心にある大切な行動規範でした。これからの日本に私は大いに期待していきたいと思います。

 ではリスクは何でしょう?アベノミクスを、この脱デフレ、緩やかなインフレ政策を、そして円安・株高を、ひいては日本の復活を阻害するものは何でしょう?一番のリスクはデフレ容認論の復活です。この点は国会やマスコミ論調、世論の行方に注意が必要です。それからアベノミクスの第3の矢、成長戦略に大きく関わるエネルギー政策の行方です。これも極端なリスク排除型の議論が力を持つと行き詰まります。そして中国の動向。これは国債市場に限らずいわずもがなの様々な分野で注意が必要でしょう。これらのことに注意、配慮、対応しながら、日本市場の未来を見つめていきたいと思います。