世界が荒れています。今日の日本の株式市場の動きも、尋常ではなかったと思います。明らかに新領域、ニュー・テリトリーに入ったように見えます。

 人の気持ちは面白いもので、或るモメンタムが付くと、どこまでもそれが続くと思い勝ちです。ITバブルの時は、ネット産業は強烈に成長し続けると信じられ、その成長率で計算すると10年後には世界のGDPの殆どをネット産業が占めることになっていたにも拘わらず、皆、その爆発的成長を信じていました。日本で土地バブルが起きた時も同様に、土地の値段が下がることはもう再び来ないと信じられました。しかし当然バブルは弾けました。投資銀行は憧れの職業となり、いつまでも儲け続けると思われましたが、あえなく崩壊しました。

 さだまさしの歌(注「檸檬」)ではありませんが、上り詰めたものは必ず落ちるのです。しかしその逆もまた真です。下がり続けることも、これまた不可能です。下方のモメンタムが付くと、もういつまでも下がり続けると感じ勝ちです。しかしそんなことはありません。必ず、どこかで反転するのです。

 もちろんパラダイムが変わっていくこともありますから、全ての種類の資産価値が、どこかで下げ止まって反転するとは限りません。しかし必ずどこかに、何かしらのチャンスはあるものです。そのチャンスをものに出来るか否か。

 名将は機を見るに敏でなければならない。

 しかし一方、動くことが裏目に出ることもあります。しかし機を探し、敏に動くことをしなければ、波に飲み込まれるだけです。そしてその為には、冷静さと判断力と勇気が必要でしょう。先ずは何よりも、冷静になることが、肝要だと思います。