今晩、北京オリンピックの開会式が催されます。現地時間の8月8日午後8時8分。縁起を担いでの数字のようです。

 何を隠そう、当社の親会社であるマネックスグループ株式会社の資本金の額(これは実際の資本よりはずっと小さい額で、登記上の数字になります)も、縁起を担いで88億円となっています。これは旧マネックス証券と旧日興ビーンズが経営統合をする際に、某法律事務所で、株式移転の契約書の内容の最終協議をした際に、私と、当時の日興ビーンズの責任者・O氏との間で、その場で「縁起がいいから」とアドリブで一発で決めた数字です。隠れた小さな歴史です。

 さて、オリンピックに話を戻すと、このつぶやきが読者の皆さんに届く頃、ちょうど開会式が始まっていることでしょう。オリンピックの開会式と云うと、私は必ず思い出すことがあります。それは1999年10月1日のことです。

 私たちが開業した日。旧マネックス証券は1999年4月5日に創設された会社ですが、それから半年と云う驚異的に短い期間の間に、4人から始めた会社が同志を採用し、証券会社としての登録をし、証券会社としての組織と業務フローを作り、何よりもオンライン・トレーディングのシステムを作り、テストを行い、開業まで漕ぎつけました。今考えると、本当にあり得ない、アクロバットのような半年間でした。もう一度やれと云われても、出来ないかも知れません。

 何故そんなに急いだかと云うと、1999年10月1日が株式委託売買手数料の完全自由化の日であり、どうしてもその日にオンライン証券として、従来の証券会社に対して圧倒的に手数料の低い証券会社として、開業している必要があったのです。

 オリンピックのゲームで放映される為には、金メダルを取らなければならない。しかし開会式だけは、どんな小さな国からのチームでも、世界中に放映される。小さなベンチャー企業として、世間に認知されるためには、この日本版メーデーである、1999年10月1日に開業していなければならなかったのです。そうすれば、テレビや雑誌に取り上げられるだろう。そう考えてのことですが、それはまさに的を射た計画でした。

 オリンピックの開会式。私たちにとってのベンチャー・マインドを忘れないイベントとして、忘れないでいきたいと思います。