前にもつぶやいたことがありますが、株式の相続に伴う株式資産の評価額を若干割り引くべきだと考えています。

 「貯蓄から投資へ」という国策の中、いくつかの証券優遇税制が行われてきました。典型的なのが、株式の譲渡益課税を20%から10%に一時的に下げたことです。しかしこれは売買に伴う税金の低減であって、必ずしもそれが株式保有を促進するものとは限りません。

 現にマーケットの中での個人の株式売買金額シェアでは、日本の方が欧米よりも高くなっていますが、一方我が国の個人金融資産に占める株式型資産の比率は、アメリカのそれの3分の1にも満ちません。

 我が国の個人金融資産の80%は50歳以上の方が保有しています。そしてその大部分が預貯金です。いずれこの資産が相続される時、株式の部分については、その評価額を2割引とか3割引にしたらどうでしょう?

 預金などに比べ、或いは不動産と比べてでさえ、株式の価格変動性は遙かに高いものです。相続イベント発生時点の株式時価をもって相続資産が評価され、場合によっては色々揉めた末に(時間が経って)相続が実行され、元の評価額に応じて税金を払うのでは、理論的に云ってもリスクが高くて妥当ではないと思います。

 価格変動性が高い分、評価額は割り引かれるべきです。

 そして相続資産に於ける株式資産の評価額が時価から割り引かれると云うことになれば、厖大な金融資産を持つ高齢者が富のトランスファーを考える際に、必然的に株式資産の割合を増やすでしょう。これこそまさに「貯蓄から投資へ」を推し進めるものではないでしょうか。