私のかつての上司、伝説のトレーダー、ジョン・メリウェザー氏(仲間うちではJMと呼ばれています)については何度も何度も、くどいほど、つぶやきで書いてきましたが、また書きます。

 今朝、久し振りにブレックファスト・ミーティングをしたのですが、相変わらずJMはJMでした。JMはキング・オブ・ウォール・ストリートと呼ばれた時代のソロモン・ブラザーズを築き、或る事件に関して引責辞任したのち、ドリーム・チームと呼ばれたヘッジ・ファンド、LTCMを立ち上げ、そこからノーベル経済学賞を輩出し、いずれロシア危機を端緒とするマーケットの混乱の中で破綻し、4000億円程の緊急協調融資を受け、一年でその借金を返済し、更には再度ヘッジ・ファンドを立ち上げてマーケットに復帰した、鉄の意志を持つ英雄です。

 好奇心の鬼であり、経済とマーケットに想像を絶する知識と情報ネットワーク、加えて底知れない洞察力を持つ人であり、私はいつもJMと会うと質問攻めに会い、口頭試問を受ける学生のような気持ちになります。しかしながら、いつもミーティングの最後は私の健康の確認(休みは取っているかなど)に4分の1ぐらいの時間を費やす、優しい紳士です。

 さて、そのJM、今日も全くスタイルを変えませんでした。フレキシブルでないのでは決してありません。スタイルを堅持しつつ、極めて柔軟なのです。麻雀でも上級者になるとスタイルとスタイルの戦いだといいます。しかしそれは、スタイルを確立した者が硬直的に打つという意味ではなく、機を見て敏、状況に応じてしなやかに形を変えるのですが、どこかにぶれないスタイルがあることを指します。なべて勝負師はそのような意味でのスタイルが確立されている気がします。

 JMのスタイルは堅く、そして格好良く、決して人には真似出来ないものです。私のヒーローは、ずっとヒーローであり続けるのでしょう。