今日の東京はゴージャスな天気でした。穏やかで、ポカポカして、空も澄み、気持ちのいい風が微かに吹いてキンモクセイの香りを運び、とにかく素晴らしい天気でした。正確には小春日和は陰暦十月ですから、今日は小春日和とは呼べません(2003/10/9<小春日和>参照)が、思わず「小春」と呼びたくなる、そんな日でした。

 朝からいい天気で、通勤途中、二重橋前の皇居外苑の芝生の上に、丁寧に新聞を並べて寝床を作っている人を何人も見ました。この「丁寧に」というのが特別で、普段はそのように見受けられないのですが、何故か今日のお昼寝ピープルはやたら丁寧に時間を掛けて自分の場所を作っているように見えました。偶々でしょうか?あまりにも天気がいいので清々しくなって自然と気持ちが引き締まったのでしょうか?まぁそんなことはどうでもよろしい。

よりそえば小春日和の匂いして
あんずあまそうなひとはねむそうな
少女らのむらがる芝生萌えにけり
竹の風ひねもすさわぐ小春かな

 これは室生犀星の句ですが、やはり季節的には小春というのは本来は冬の前ではなく、冬の後、少なくとも後半であったように思われます。現代においては、

よりそえば小春日和の匂いして
金木犀あまそうなひとはねむそうな
おじさんのむらがる芝生涼しげなり
新聞紙ひねもすさわぐ小春かな

 という感じでしょうか。