オニュさんのCircle、 永遠に太陽、風、雲、雨と海へ | あるんだうぉ

あるんだうぉ

きれいねという言葉が好きです。
きれいなものをたくさん見たいから
韓国語で「美しい」を意味するこのタイトルにしました。
SHINeeの宇宙一かわいい末っ子テミンを、だらしなく溺愛しています。

 

 

 

「滑るから気をつけて」と、

真っ暗な中で待っていた彼に手を引かれて鯨の中を彷徨ったIn the whale。

オニュさんが作詞したこの曲はライブでも歌われ、その時彼は椅子に座り、

くるくると指を回して諭すように歌っていました。

時に波に翻弄されることもあるけれど、

いずれあたたかな場所に行き着くことを知っている。

あたたかではあるけれど、明るい場所ではないことが気になりながらも、

鯨の体内の暗さを知り尽くしているオニュさんをとても頼もしく感じました。

随分と年下のはずなのにオニュさんは「爺さん」の渾名の如く、

多くは語らずとも何もかも知り尽くしているような、叡智に溢れた風情があります。

 

 

 

 

Oを聴いた時も同じことを感じました。

永遠に太陽、風、雲、雨と海へ。

ついにオニュさんはいろんなものを超えてしまったのだな、と思いました。

鯨の歌がとても気に入ったのは

「私たちは波間を泳ぐ鯨の中にいる如く、時間に運ばれて、

誰もそこから逃れることはできない」

そういう壮大な隠れたテーマを感じたからです。

Oはストレートに「時間」をテーマにしています。

 

 

 

 

太陽も風も海も刻々と変化するけど、季節は巡り、でも何も変わらない。

それを澄んだ優しい声で歌い上げるオニュさん。

捉えどころがなく曖昧で虚無的な歌なのに、なぜこんなにあたたかいのだろうか。

それはオニュさんがインタビューで語っていた

「時間が巡るうちに辛いことも消えてゆきます」

この考えが土台にあるからだと思いました。

時が周りまた春がやってくる頃には、去年に感じた悲しみが消えているだろう。

廻る時間を、そんな風にあたたかな目で見ているからなんですね。

 

 

 

 

オニュさんは、簡単には言葉にできないことを知っている人に見えます。

形にしたり言葉にする必要がないもの、目に見えないけれどあるもの、はあります。

それを口にはしないけれど感じることができる人。

それが彼の歌に大らかさと深みを与えているように思います。

オニュさんの行き着く先は、こんな抽象的な概念を歌うことだったのですね。

爺さんのような、哲学者のような、慈愛に溢れたオニュさんは、

やっと自分の道を見つけた。

そんな気がしてならないのです。

 

 

 

 

血まみれのスマホに書かれた”I’m fine”のメッセージ。

オニュさんの優しい笑顔の裏には悲しさや痛みが隠れている。

暗がりでひとり座りじっと待っていて、

そこに迷い込んでくる人の手を引いてあげる。

そんな複雑な陰影のある明るさとあたたかさのある声。

セクシーと呼ばれることを好まないオニュさんですが、

その佇まいは大人の男性として魅力的です。

 

 

 

 

ぐるぐる廻る文字通りアンビエントなOは、聴く度に発見がある曲です。

きっとずっと聴くんだろうな。

そう思うとすでに懐かしい気持ちになります。

廻る時間の先の未来にいる私が。

多分もうすぐ春になるこの季節にいる私が。

過去である現在の私に向かって「やっぱりずっと聴いてるね」と

微笑みかけている気がします。