民法は国民生活における、様々な原理原則を定めた非常に基本的な法律です。
NHKの土曜日中に放送されている「バラエティ 生活笑百科」で
専門家の解説に取り上げられることも多いので、ご存知の方も多いと思います。
その民法が、120年ぶりに大幅改正されるということで、法曹界ではこれを「民法大改正」と呼んでいます。
このブログでも、お金に関わるところを中心に、影響ある部分についていくつかみていこうと思います。
今日は「相殺」について取り上げます。
(文:マネササイズ!チーフトレーナー ナカミチ)
§相手に損害を与えたら、賠償しなければならないことがある
相殺、を語る前に、まず基本的な損害賠償の考え方です。
民法は,事件や事故を起こした者について,不法行為責任と債務不履行責任という 2種類の損害賠償責任を認めています。
故意(=わざと)又は過失(=意図によらない)によって,
他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負うとされており,
これを不法行為責任といいます。
交通事故が分かり易い例になると思いますが、
運転手が歩行者を横断歩道上で跳ねてしまい、歩行者がけがをして入院したような場合、
その損害(治療費や労働できなかった事による収入減)を賠償することになります。
ただ、民法上は原理原則が書いてあるのみですので、具体的な金額までは言及されておらず、
当事者同士でその額を決めるか、裁判などで決めるか、いろいろな手段が考えられます。
ただ、一つ言えるのは、賠償額や方法が確定したら、
賠償する側は法的な義務を負うということになります。
その義務を負った側を「債務者」、受益者側を「債権者」と言います。
§相殺とは債権を打ち消し合うこと
さて、損害賠償の基本的なところを押さえたところで、相殺について考えます。
AさんがBさんに3万円貸したら、Bさんは返済期限までに3万円を返さなければなりません。
この時、返済期限前に、Aさんが別途Bさんに1万円借りたとします。
返済時に、BさんがAさんに3万円渡して、AさんがBさんに1万円渡すのは、
なんとなく無駄な行動に見えますよね。
それで、BさんがAさんに差額の2万円を渡して精算することにできるというのが「相殺」です。
実は、損害賠償にかかる相殺には制限がかけられています。
例えば、確定した金銭を支払わないなど、確定した賠償を債務者が行わなかったとします。
債権者は催促しても、催促しても応じてくれない。
そこで、相手側(債務者)の家に乗り込んで、賠償額相当額の破壊行為(家具を壊すなど)を行なって、
これで賠償はチャラにする、というのは認められていないのです。
これを民法では「不法行為債権を受働債権とする相殺の禁止」(第509条)と言います。
§改正で相殺禁止要件が一部緩和
3月までの現行法では、上記債権は一律に相殺できないことになっていましたが、
4月以降は同一事由により生じた債権など条件を満たした債権については相殺が認められます。
例えば、車同士の交通事故で、事故の当事者運転手が両方怪我した場合に、
お互いに賠償(治療費)を行うことになった場合、
Aさんの治療費が30万円、Bさんの治療費が10万円だとすれば、
BさんはAさんに差額の20万円を賠償することが認められるということになります。
もちろん、改正後においても、BさんがAさんの治療費を払わないからと言って、
20万円相当額の怪我をさせることは当然認められません。
民法大改正は債権が特に変わります。
戸惑うこともあると思いますが、慣れるために少しずつ紹介していこうと思います。
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