ほわへい奇譚〜當知我於〜⚅のに | ★wide range★

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若邪に渡した荷物の他に、兄さんと俺で準備したオブジェと書架。 

桐の箱に入れ薄布で包んで正解だ。
蓬◯屋の肉まんの包みのほかは警戒して受け取らないのではないかと懸念したからだ。
俺的には、誰一人として兄さんの手料理を食わせたくはないのだから。


比翼連理刀面を拵えようか?と兄さんは言ったのだけど、俺は自分たちのほうが仲睦まじいのだから 俺に食べさせてよとダダをこね、兄さんの麺打ちを手伝った。

「比翼連理刀面は初めて作ったからね、先ずは三郎に食べて貰ったんだ。もっと上手くなったら作って来るね。」

「兄さん、次は少しだけ塩を減らしても良いかもね。」

塩だけか?と眉間にシワを寄せたシュエンと料理はいっぱいあるんだから、老謝は気にしなくていいよと焦る賀夫夫をガン無視して、土産を渡し、食卓に着いた。

「どう?シュエン哥の料理。私も少しはやるんだけど、やっぱり美食家は違うよね!」

「チンシュエンは家庭料理が得意。」シュエンがボソリと呟く。

色とりどりの細やかな料理、それと大皿に盛られた郷土の煮付けや菜食。
両極端なレパートリーは異色のコンビである所以まで醸し出し、奇妙で面白い。
兄さんは料理の名前をしきりに聞いているが、宮廷料理に舌が慣れた兄さん程の料理ではなく名前などない。ただ食べてもらえる人がいてからこそ作り出されるものなのだ。

「お二人ともこんなにたくさんもてなしてくださって感謝します。」

「さあ そんなことは良いから食べよう。積もる話もたくさんある。良い酒も用意したし 楽しもうじゃない?」

「そうだな。兄さん 月餅も美味そうだ。」

卓に並んだ料理をしばらく楽しみ、相変わらず大食いの賀玄が、土産の饅頭を頬張り出した頃、青玄は、洗い物へと席を立つ。
兄さんが腕まくりをし、手伝うよとキッチンに立つ。束ねた髪が色っぽく凛とした後ろ姿と美酒で心地よい。

「シュエン、いつまで食ってる。お前の夫を手伝わないのか?」

「......お前こそ 太子殿下に皿洗をさせるとは殊勝な事だ。」

やはり蓬◯やの肉まんは最高だなと、3つ目に手を伸ばす。

兄さんとチンシュエンは、笑いながら片付けを進める。
簡素な家屋だが、調度品や、陶器は稀なものが多く、敷物やソファも贅を凝らしている。
見た目はとてもシンプルだが、バリアフリーや、動線の良さは全てチンシュエンの為に誂えたものだろう。

「城主、質のよい金属が入ったら、格安で買う。」

「オトモダチ価格は対応しかねる。場合に拠ってはだが。」

「.....金鋼像が造りたい。あいつの。」

へえ あの荒削りな風師像ミニチュアを創る奴が?
俺の足元にも及ばない創造物の為に譲れる金はないのだが、シュエンは続けて言う。

「それと、あいつの兄のものも。」

「赦したのか?」

「複雑になるほど、時が経った。」

こいつも、真の愛に生きているんだな。

笑い声の絶えない二人の後ろ姿が、全てにおいて特赦という感情を震わせる。

屈託なく笑う兄さんから感じる幸せを、青玄にも見出せる。

「良いだろう。銀行に振り込め。最上級を用意してやる。」

私設の築炉を動かし、心血を注ぎ、愛を形にする。
俺も、何百年とやってきた。
苦労は厭わない。むしろ爽快で充実感を味わうことになる。
今の黒水が、偽りなく青玄を愛しているのならだ。まあ、俺が案じる必要はない。

「三郎!! この辺は星が綺麗に見えるんだって!後で行ってみようよ!」

両手を拭きながら 兄さんが、俺の隣に座る。

兄さんと入れ替わりに、シュエンがチンシュエンの隣に立つ。

寄り添う二人の姿は、いつしかの風師と地師のようだ。

例え始まりが最悪だったとしても、黒水の心の底に生まれた愛は育ったのだ。
青玄の揺るがない気質がそうさせた、、、、、
まあ これも俺にはどうでもいい事だが。

束ねた髪を解き、饅頭を半分差し出す兄さん。

「三郎?どうしたの?」

半分の饅頭を受け取り、口に運ぶ。

「なんでもないよ。来てよかったなって。」

「幸せそうで安心した。」

同じ動作で進む日常の風景が、まるで人形喜劇のように目に映る。
時折 口の端を上げるかつての鬼は、その面影を虚にした。

「仲良し夫夫だね。兄さん。」

フフフと軽やかな笑い声

秋だというのに、桃源郷にいるように錯覚するよ殿下。

「私達のほうがもっと仲良しだよね?」

......

今すぐ帰って 兄さんを組み敷きたい。

薬指の指輪を擦りあって 烈しく混ざり合いたい。

友人夫婦の家で 俺は意識が飛びそうになる。

キュッと繋がれた兄さんの手が俺を正気に戻す。

「三郎、私、失言しちゃった?」

探るような 悪戯を含んだ眼差し

俺は それに乗っかれる幸せ。

「兄さん 俺を何度殺すつもり?」

終。



※もしYが漫画が描けたら、4人の星空デートをペーパーで出したい
※Yの画伯ぶりを知ってるフォロワーさんはただの妖怪絵幕になるからやめとけなるやつ
※當知我於〜 そうなったらの世の中で、何かを成す前に尊くなっても、成る前にそうしたらこうなったかもって考えながら、生きる通過点。こうなったら良いよなって夢を見る事はとても大切。全てに愛を持って自分を善くしていければって思うこと。そんながあってもいいよね。