朝の冷気に 身を捩り、右側を探る。
数日 その感覚も同じで そろそろ焦りから苛立ちに変わる。

「真妃、お前が拾った奴 最近見かけねえじゃん」
小戸时は帰ってきていない。もう何日経ったかも覚えていない。大学の欠席ボタンだけはどこかで押している。生きているのだろう。それだけでいいと思うことにした。
「さあな.....戻りたきゃ戻ってくるだろ?子供じゃねえし。」
子供だった気もする。
カラカラに乾いたヨレヨレの服に引きつったように汚れた素肌。痩せて年齢すら推測できない見た目。
連れ帰って、シャワーをかけたら 膨らんで成年してるだろう歳に見える気もした。
色々と甲斐甲斐しく世話をしたが、飯を前にしても、何があったか聞いても無反応だった。時折、長い睫毛を震わせて目を閉じたり開けたり。口がきけないのか?それとも外国人か?
What you want?そう聞こうとした瞬時、
彼は、口を開いた。
《ここが新しい時代なのか?》
そう言って 俺の目を真直に見つめ、キスをした。
同じ学部に籍を置く こいつや他の誰も 俺達の関係性は知らない。
ことじの秘密
俺の想い 何一つ。。。。。。
そう言う俺も あいつのことは殆ど解らない。
ただお互いに好意を持って、同棲のような生活を始め、今まで暮らしてきた。
あいつを拾った時に言った言葉は今でも解らない。
ことじ自身が話そうとしない限り、聞くことはしない。
俺は、あいつと一日でも長く暮らせればいいと思う。
「お前の実家の奴らに消されたとかないか?」
あり得ない。
ニヤつく友人の横に腰掛ける。
知らないくせに知ったように言うこいつや、ことじの命を狙う奴が居るとしても、俺がさせないからな。
例え 家族であっても 赦しはない。
「おい、、、、、なぁ? 大学ではもうちょい友人らしくしろよな?」
ごめん もう言わないってーと立ち上がる友人。
ポケットに手を突っ込み去っていく。
フェンスに着いた血筋が下へと伝う。
小指の約束ってガラじゃないな。
ふうっと吹いて草陰に消えた爪だったものは
いつしか土に還っていく。
人間はいつか誰しもが。
だから 大事な人との時間はかけがえがない。
あいつとの生活が俺の宝。
だから早く帰ってこいよ。
まだ先には行くなよ。
真っ白なシーツを敷き換えて待ってる。
一晩で汚そうぜ。
お前は寝てていいからさ。
俺が洗濯するからさ。
続く。