純・BL | ★wide range★

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タイドラマ 俳優 音楽 日々のこと などなど。 アメ限定小説

アパートメントの階段降りて、横の小道を歩き、5段分石の階段を上がったら カフェや小さなブティックが立ち並ぶ商業エリアがある。

俺はいつもここのカフェで仕事をしたり、ただコーヒーを飲む。

「コタニ君、部屋の鍵 返しとく、、、、それとこれも.....」

スイッタブルなテーブルに置かれた鍵とコンドーム。

使った分返すわと。

オーダーを取りに来た店員

腰掛けた トーリ。

さっきまで 左腕に頭を乗せてた男。

ナプキンで咄嗟に隠したが、見られたよな、、、、、。

「ブレンド、ホットで。」

ここは一人掛けだよ、後の席から椅子を引いて俺の前に座る。
それもここ数ヶ月の決まり事。

「トーリ、お前シャワーは?浴びてないだろ」

「いいの。コタニ君の匂い付いたまんまが好きなの」

後に続く言葉も決まってきた。

はいはい そーですか。

俺のスウェット着るな よれてんだろいい加減。

入稿近えの?

しばらく会えない?

どっちかが 質問。 どっちかが 小言。

大して目を合せるわけでもなく

運ばれてきたコーヒーを飲んだり、

ラップトップの画面を見つめる。

「コタニ君 僕のこと飽きたでしょ?」

「.....なんで、、、、、そう思う」

よれた首周りから覗く薄赤い痕

陽射し降り注ぐカフェの軒先が落とす影からこぼれ トーリの白い肌に映える。

「あそこの寺の檀家の樹君と寝たでしょ?」

僕 知ってるんだ〜 母が同じ檀家だからさあと。
店員を呼び 今度はアイスコーヒーを注文する。

「寝てない。 タイプじゃない。 」

「じゃあ 樹君 嘘ついたんだ。」

「どういう経緯だよ。」

俺は、、、、 自分はもう俺のものだと思ってくれるんだと勝手に考えてたけどな。

鍵だって 部屋だって 好きに使っているのに

お前の安心材料にはなってないのか?

スペース カッコは マス注意してくださいよと編集に何度も言われる。
直してくれれば、デリートするだけじゃないですかと読みにくさは仕事量を増やす要因ですからと。

解ってるんだけどな ついクセでやってしまう。

ついクセで  嘘をつくのも

俺がトーリを繋ぎ止めたいだけ。

「三沢さんとはなんもない。」

「誘われたのは真実?」

アイスコーヒーが運ばれる。

まだ昼前の時間に痴話喧嘩ですか?と思っているだろうが 店員もまた 俺達の時間の決まり事の一つ。

「樹君 コタニ君のこと好きだって言ってたよ。」

「へえ そうなの? 俺は今トーリしかいなけどな。」

グッと来ない? 今サラッと言ったよ。お前だけだって

メガネの奥の細めた目は 納得とは言ってない。

「樹君と付き合うんなら 鍵貸してよ、置いてるもん 取ってくから。」

手のひらを上に向けて膝を椅子に乗せて仏頂面を向ける。

「好きにしなよ。お前こそ 彼女居るのに俺とヤッてるんだぜ? そっちはいいのか?」

言うな。気持ちを言葉にすんな。

トーリが誰と居たって、

自分と抱き合って眠る。

それだけで 満足してるから

こんなルーティン繰り返せるんだろうが。

漫画のように 原稿一枚白紙を使って

俺の感情を表したい。

文芸雑誌の1ページがプリントミスだって言われないように 編集に言わなきゃだけどな。

まあ 無理な固執表現だ。

「鍵くれないの? 今夜もコタニ君とセックスしていいの?」

薄い色素の瞳が真っ直ぐ見つめる。

俺の嘘を見透かして赦す。

有耶無耶を続ける理由は特別無い。

いつか本当の恋愛になれば良いとは思うけど、

トーリの人生は束縛できない。

彼女と結婚する時は潔く諦める。

繋ぎ止められる糸を切るのはお前だけ。

鍵を手渡す。

無表情なトーリ

「出版社行くから、、、 帰りは夕方 帰ったら抱きたい。今もう既にそうしたいけど。」

「了解‼ じゃあさっき上げたコンドームも返して!」

声のボリュームを落とさないのもお決まり事。

聴こえない客なんて俺の小説 読むくらい少ないから。。。。。

メガネをかけ直して自分の世界に没頭しよう。

※コタニ君、トーリ、三沢樹さん 3人ともメガネ
※トーリ君の職業はまたいつか。
※三沢さんとコタニ君は結局どうなのよはご想像で。