
プラー、、、 プラトーン
小さな鉢で窮屈かい?
トッドと一緒だから 寂しくないだろう?
ほんのひとつまみ 餌を鉢へ撒く。
眠たげに 力なく浮かび 水面をつつく。
早朝の店内で一人、開店の準備をする。
毎日の繰り返し…。彼が行って 二年。
「トッド、金魚のトッドは 今日も眠たそうだ。プラトーンが全部食べてしまうよ。」
挽豆の芳ばしい匂いと 湯気が煙る作業台
今日は曇りだよ、、、と写真のトッドに話しかける。
止めなければいけないのに
僕は 未だに 続けている。
清しく晴れたある日に、現れたトッドそっくりのsunny。
幽霊のトッドが戻ってきた!と胸が高鳴ったな。
僕の頭は、フル回転で、目の前にいるあまりにもトッドなサニーを本人に結びつけようとした。
自分勝手な憶測は当時 突き進むだけのエゴイズム。
大好きなトッドが帰ってきた!だった…
よくよく考えてみれば、成仏出来なかったのか そして僕に対して 未練があったのか… そう思い込んで、サニーが完全に別人だと認識するまでに時間がかかったのだ。
おかげで数日 ミルクのスチームとフォームの割合を間違えた。
通ってくる サニーを意識し過ぎた。
写真のトッドはきっと呆れていただろうね
次はエスプレッソマシーンのせいにするの?
って…。
「プラトーン、目の前に居るのは誰?」
サニーがいつの間にか店を訪れていた。
目線が下を向いていた事に不満顔なサニーは、カフェラテを注文する。
「…ラテアートしてもいい?いらっしゃい サニー」
「甘くして。いいよ 練習でしょ?」
サニーは、仕事の前だろうか。いつもよりドレスアップした姿だ。
「うん。今日は僕の家に帰ってくる?」
「遅くなるけど 帰るよ。」
「サニーと一緒だと、よく眠れるんだ。」
初めて、サニーが僕の家を訪れた夜、色んな話をした。
トッドのことを話してと言う彼に、止め処もなく思い出を語った。
サニーはじっと聞いてくれた 時々 頷いては 持ってきたビールを飲む。
トッドのことを話していくうちに そっくりだと思ったサニーをまるで別人だと感じるようになった。
「 安心出来るって喜んでいいんだよな。 確かによく眠ってるよ。」
口を開いてなと クククと笑う。
話して 映画を見て、疲れて眠った夜
彼は僕がほぼ毎夜うなされている事を知った。
叫んで 冷や汗をかいて 飛び起きる日々が続いた。トッドが手を振って行ってしまった日から…
サニーは抱きしめて 大丈夫 僕が居ると、低く優しい声で慰めてくれた。
「うん。 サニーと眠るの好き。」
「今夜も僕がいるよ プラトーン。」
でもね…と 僕の手を握る。
「そろそろ 次のステップに進まないか? 恋人だろう? 僕たち。」
それって… ああ そうだよな…
「僕 経験ないから。。。。。キスもしたことないし…」
「僕だってないよ。トッドは君を知らずに行ったんだね…」
互いの想いだけ。
知ったのは 遅すぎたあの日。
「そうだね… 出来ることなら 結ばれたかったかな、、、、、」
じわりと目頭が熱くなる。
泣いたら駄目だ。 サニーに悲しい思いはさせたくない。
僕を楽しい気分にしてくれる 新しい恋人を 僕なりに幸せにしたいんだ。
「プラトーン 僕と今を楽しむだろう? 君の店で 君に出会って初めて感じた明るい光、、、運命ってあるんだって 実感したよ。」
僕の暖かな光だよ 君は。
サニーはぼくとの出逢いを曲にした。
囚われたままの僕を解放してくれた。
共に先へ進もうと。。。。。
「運命だね そう思うよ。」
サニーは店内をキョロキョロと見回し、チュッと額にキスをする。
「サニー… 少しずつでいい? いっぱい抱き合って、キスして、その先も…」
「うん。ゆっくりな。無理なときは言うから。」
カフェラテに大きなハートを描いた。
「お待たせ ふわふわの君への想いだよ。」
マグカップをカウンターに置くと、サニーはデザートピックの先っぽで、ハートの中に文字を書き始める。
True Love
「二人で 幸せになろうな。」
眩い笑顔に 目を細める。
新しく始まる未知な経験に 胸が高鳴る。
今だけ 少しだけ 気づかないで
目尻に溜まった涙を拭わせて
My Baby Bright