「もう一度、海に行こう。 夕日が完全に沈む直前・・・・・・」
工場の煙突が連立する向こうに沈みゆく太陽
陽光をバックに受け、黒く陰る山並みと、建物
キラキラと乱反射するさざ波が美しい
「綺麗だろうね、 串に刺した肉と野菜持っていこうか。」
うん 準備するとソンミンは、キッチンへと戻る
空いた缶を持って、ソンミンを追いかける
タンクトップの肩ひもがずれ落ちそうになるのを肩だけで戻そうとしている
ハハ、可愛いな。。。。。
「何してるの? 残ったパプリカでもう一品。」
「・・・・・・陽が沈むよ 急がなきゃ・・・・・・」
キッチンの窓から、夕日の方向へと顔を上げる
ずれた肩ひもの辺りに口づける。
「すぐに済むよ、、、、、皿に串を入れてきて」
頬にチュッとキスをして、解ったよ!と庭へと戻る
ソンミンは、何やってるのと 言葉とは裏腹に嬉しそうだ。
陽は陰り、キッチンも庭も次第に暗くなる
炭に水をかけ、 自分とソンミンの上着を持つ
お待たせと、タッパと缶ビールを持って出てくる。
「涼しくなってきたね。 夜はきっと冷えるよな。」
冷えるかな・・・・・ そうだとは限らない
言わないけど、ソンミナ 君は今よりもっと熱を帯びる
「上着着る?海風は思ったよりも冷たいね。」
岩場に座り、ソンミンの肩に上着をかける
「はい、ビール。 あとでワインにするだろう? 一缶だけな。」
パプリカのマリネに、フォークを添える
レジャーシートがあれば良かったな
男の俺達は気が利かない
「キュヒョナ、、、、、沈んでしまったね。 朝日はどの辺に昇るだろうか?」
「どのあたりだろうね。」
気のない返事だっただろうか?
俺は、君の期待に副うことはできそうにないよ
太陽が天に差し掛かった頃 やっと目覚めるんだ
俺の腕の中でね
しまった!と顔をしかめる君を想像するよ。
「うん 旨い! スッキリするよ。」
黄色と赤色のパプリカも墨色に光る
凄い速さで、海を真っ黒に染める
砂浜と流木は、辛うじて 日中に溜めた光でぼんやりと光る。
「ソンミナ、いい休暇だ。 こんなにリラックスするのはいつぶりだろうか。」
「良かったね、僕も楽しいよ。 ありがとう キュヒョナ。」
ソンミンの視線は、遠くに見える 停船。
「あの船には 何人の人が乗っているんだろうね。」
小さな船だから 片手で足りるほどの人数だろう
「ソンミナは、どうしてそんなことが気になるの?」
「広い海の上で、寂しくないかなと思ってさ。」
「俺は、ソンミナと二人だけでも寂しくはないよ。」
「心細くならないか? 海の上だよ?」
俺のほうを向いて ビールを飲み、視線を戻す
「どこに居たって ソンミナと一緒ならなんとも思わない。」
完全に陽の落ちた海岸で、誰もいないことも手伝って
臭いセリフだと思いながらも、口をついて出てしまう
「ソンミナと居れば どこだって温かい、 今だって。。。。。。」
肩を抱いて引き寄せる
無言なソンミンに不安を覚える。
「僕もだよ。 幸せ。」
幸せ
最高の言葉だ
パートナーとして最高の愛の言葉
「キュヒョナ、たまにはいいね 言葉にして言うの。」
「だろ? 必要なことだ。」
二人して 照れ笑う
「帰って ピアノを弾こう。 弾きたい曲があるんだ。」
ソンミンはスマホを取り出し 検索する
「これ ピアノ用に編曲して弾きたい。」
まずは、聞いてみてと ユーチューブを開く
クラリネット五重奏イ長調第一楽章
「編曲は お手の物だよね ソンミナには!」
「素直に弾かないっていいたいんでしょ!」
長い曲だけど、ポップで明るい曲調。
連弾にするのなら、弾く単音を和音に変えて
俺は、ピアノのパートを忠実に弾こう
あとは ソンミンがいくらでも 自由に弾くだろう。
「ソンミナ まだ考えないで、、、、、没頭するだろう」
「頭の中で 編曲してるの 解った?」
解るよ 君のことなら
「キスしていい? 俺のことだけ考えて。」
「いいよ、、、、、でもね 聞いて・・・・・・僕はいつだってキュヒョナのことを考えてる。」
知ってるよ
気づけば 君は、俺を見ているよね
優しい眼差しで
「キュヒョナ、、、、、暗いと感覚が鈍る・・・・・僕を導いて。」
ソンミンの顔が俺に近づく
小さな声で、俺の全神経を持っていく
「君の舌で 迎えに来て。」