10周年で、キャーキャーなっちゃってますが、アケシムでどんよりしてください(笑)
渇いた染料
硬く 形の整ったままの刷毛や筆。
どれもが 虚しく 僕の目に映る。
お前は、もう戻らないの?
「リョウギヒョン、、、、、居ますか?」
どれくらいつっぷしていたのか、
強く 押し付けられていた眼孔は 焦点を合わせない。
キュヒョナ・・・・・?
咄嗟の起立 両肩に感じる キュヒョンの熱。
僕の弟は 何のために ここへ戻った?
僕の為?
「キュヒョナ。 道具を取りに戻ったの?」
収まっていたい感情を無視して、その手を除ける。
違う。 そんな言葉を言いたいんじゃない。
「・・・・・いえ、、、休みたくて、、、、身勝手だと自覚してます。」
解ってるんだ。
その割には、艶やかだね。
「ベッドなら そのままだよ。 好きなだけ休んで。」
今しがた 俯せていた場所をなぞる キュヒョン。
僕の熱を確かめているの?
ソンミンさんが居ないから?
ストックはないの?
渇いたときに 困るから?
だから、 戻って眠るの?
想いを全て 押し殺し 工房の扉を閉める。
――― ッつ! 一昨日の傷が痛む。
服の上から 触る。
やり方を知らないと 手加減が解らない。
そういうものだ。
僕だって、痛み以外に得られる快感なんて皆無だもん。
キュヒョンは、、、、、全部を受け入れるんだろう?
どうやったら 愛を感じられるの?
それ以前の問題。
こんなこと 気持ち悪い以外のなにものでもない。
キュヒョンに知れたら、君は、僕を詰る?
そんな立場じゃないよね。
僕の無茶を、お前は知らぬふりをするだろう?
閉まった途端に 開く扉。
君が香る。
「ヒョン、待ってください。 俺はヒョンの為に、、、、」
やめてよ。
何度も繰り返すんでしょ?
僕が、お前を責めても 僕の為だと言い張るんでしょ?
「解ったから 何も言わないで。 お休み キュヒョナ。」
近づかないでよ。
お前は欲しがらなくても、 僕はお前を欲してる。
一昨日の ジョンウニヒョンがくれた痛み。
お前で 満たされたいと思っているもの。
そう こうやって 次第とお前を忘れていけばいい。
「ヒョン、話も聞いてくれないんですか。」
「仕事の話なら いくらでも 聞くよ。」
馬鹿だな 僕って。 アドリブも出来ない。
「あ、、、、、今度 個展決まりました。 ジョンスヒョンの画廊です。」
「うん、良かった。ルビーのような染色だってね。 ジョンスヒョンから聞いたよ。」
紅葉と雪が混じって 滲んで散った織物を想像するよ。
色白のモデルが着れば さそがし 見栄えて 美しいだろう。
「ヒョンも是非。 新しい色なんです。」
それは、 あの人が出す色なの?
思わずキュヒョンから目を逸らす。
「ヒョンの顔色が良いことは 俺にとっては幸せなんです。」
偽善だよ。 キュヒョン。
お前は、僕を傷つけているよ。
「そう? 僕 顔色良いんだ。 ふふっ。結果オーライだったかな。」
怪訝な顔。
思わせぶりな発言に お前はまだ 反応してくれるんだ。
「ヒョンこそ、俺を見くびらないでください。」
「何? 僕 どこか 変かな?」
僕の心臓に手をかざす。
「誰が ヒョンと 交わったんです。」
気付くんだ。
「誰でもいいでしょ? お前が気にすることはないよ。」
ヒョン!!!!
凄い声。 まだ昼間で良かった。
「誰が 俺のリョウギヒョンと!」
なんで 泣くの。
泣くのは 僕だけだろう?
「お前が ソンミンさんと一緒にいることに比べれば 造作もない。」
「ヒョン、、、、勘違いしないでください。」
大粒の涙は、渇いた廊下に音を響かせる。
「俺が 愛してるのは リョウクだけです。」
ソンミンヒョンを愛してはいません。
「だったら 戻ってきてよ、、、、、 お前しか感じられないこの家は苦しすぎるよ。」
お前のベッドに 枕は置いていない。
いつも 僕と枕を並べて眠っていたでしょ。
「ミアネヨ・・・・・ヒョン。 愛しているから こうするしかないんです。」
やっぱり 繰り返すんだ。
懇願と決別。
どっちかが 勝れば、 お前は 僕のもとに戻るの?
言葉にならない。
涙も出ない。
非常な人間になったみたいで 自分が嫌いだ。
「少し時間を下さい。 だから 誰のものにもならないで下さい。」
ずるいよ。
お前が 懇願するなんて。
「少し 休んだら 出ていきます。 深い眠りになるでしょう。」
起こすなってこと。
ご飯が出来たよ
遅刻するよ
熱を測ろう。大丈夫 すぐに治るから・・・・・
眠るお前を起こすのは僕の役目だったね。
随分 遠くに来てしまったね。
僕の為に お前は選択するんだね。
分かれ道に、二人立つ。
狭い道を選べば、寄り添い歩める。
お願いだから、広い道を選ばないで。
速いスピードで走り去ってしまうだろうから。
今日は、早いんだね。
黄色いナビ。
もうそろそろ 蝶の季節も終わるね。
裏庭の低木の上をひらひらと飛んで 生を示す。
明日も来る?
今年のナビは来年は会えない。
だからこそ 短く美しく 命を表現する。
僕たちは 分け合って生きる。
だから 離れることはあり得ないんだ。
キュヒョナ、、、、せめて願うなら。
「おはよう、ヒョン。 また来ます。」
そう言って 去ってよ。