前回、吉村昭の小説「梅の刺青」の主人公「みき」が埋葬されている念速寺(文京区指定史跡「美幾女墓」)を紹介しましたが、その後、念速寺の近くにある「小石川植物園」を散策してみました。
  小石川植物園は貞享元(1684)年に徳川幕府が当地に設けた「小石川薬園」に源を発している場所で、日本の近代植物学発祥の地とされています。
  新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令後、多くの博物館が閉館となっている中なので開館はありがたいと感じました。
  正門左手の受付(自動販売機)で一般入場料500円を払い、アルコール消毒をしてから入場です。(検温はありませんでした)
 
 
  受付でいただいた植物園案内図を手に冬の小石川植物園を散策します。やはり、冬のメインは、植物観察よりも、望遠レンズを備えたカメラを持つ野鳥観察の方がほとんどです。それにしても、やはりコロナ禍ということもあり、来園者は少ないように感じました。
  正門を左の方向に歩いていくと、目の前に素晴らしい庭園が見えてきます。徳川5代将軍綱吉の幼児の居邸であった白山御殿と蜷川能登守の屋敷跡とに残された庭園が往時の姿をとどめた庭園です。
 
  庭園の最奥に旧東京医学校本館があります。国の重要文化財に指定されています。これは、東京大学関係の現存する最古の建物で明治9(1876)年に建設されたもので、昭和44(1969)年に本郷構内よりこの地に移築されたものです。
  
  新緑や紅葉の時期にも訪れてみたいと思いました。

 旧東京医学校本館の脇から木製の階段を上がると景観が一変し、多様な古木が見えてきます。シマサルスベリの林を抜けていきます。
 
  ユリノキの林を抜けていきます。
 
  甘藷試作跡です。青木昆陽は、江戸付近でも甘藷(さつまいも)の栽培ができるならば、利益も多く救荒食物としても役立つと考え、享保20(1735)年に幕府に進言し許可を得て、この地で栽培を試みました。
  この試作は成功し、やがて全国的に甘藷が栽培される端緒になりました。大正10(1921)年にこの業績をたたえ記念碑が建てられています。
 
  ニュートンのリンゴです。物理学者のニュートンがリンゴが木から落ちるのを見て「万有引力の法則」を発見したという逸話は有名です。
  この木は昭和39(1964)年に英国物理学研究所長サザーランド博士から日本学士院長柴田雄次博士に贈られた木を接木したものです。
  
  西洋式温室が本植物園に最初にできたのは明治8(1875)年でした。
 
  当時の温室が老朽化したため取り壊し、令和元年に現在の温室が完成しました。
 
  温室には、熱帯、亜熱帯産の野生種を中心に約1,100種の植物が栽培されています。その中には、小笠原諸島の絶滅危惧植物のほか、貴重な植物を見ることができます。


東京大学大学院理学系研究科付属植物園(小石川植物園)の案内


 ステイホームに少し疲れたなと感じたら、人出の少ない、自然の中でゆったりと時間を過ごすのもリフレッシュ効果があって、気持ちを穏やかにさせてくれるものです。
皆さんもいかがですか!