池上道(いけがみみち)は、東海道を品川から分かれ、池上本門寺の門前を通り、多摩川を渡る「丸子の渡し」まで続く道です。江戸時代は、本門寺参詣の道でしたが、それ以前から重要な道で、鎌倉街道、古代の東海道とも言われる古道です。
スタートは、JR大井町駅です。
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近年の再開発で一新した大井町駅中央口の西側から、阪急大井町ガーデン裏側へ回り込みます。
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駅裏の上り坂を歩いていくと、現在の「池上通り」にぶつかります。その手前の角に「三つ叉身代わり不動尊」があります。今もお線香や生花が絶えません。
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現在の「池上通り」を少し進み、最初の左角を曲がります。
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細い路地を進むと、三角形の敷地に「作守稲荷」があります。この辺りは、幕末まで鹿児島島津家の抱屋敷があり、その邸内の社を譲り受けたものだそうです。
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細い路地を道なりに進むと、「西光寺」があります。鎌倉時代の創建で、境内には図絵の挿絵にも名がある「稚児桜」(ちござくら)があります。
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江戸時代には、来迎院とともに桜の名所でしたが、明治26年の火災で本堂とともに焼けてしまい、現存する「稚児桜」はこの木だけとなっています。現在、「品川歴史館」で特別展が行われています。
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門前の道をしばらく進むと、「光福寺」があります。山門に入ると圧倒されるほどの大銀杏があります。
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お寺は、鎌倉時代の創建と言われています。
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光福寺のイチョウは、幹周りが7.2メートル、高さが40メートルで、樹齢800と推定されています。麻布・善福寺の逆さイチョウの兄弟木と言われています。江戸時代には、沖合を航行する漁師が目標にしていたそうです。幹や枝からは乳根が下がり、古木らしさが漂っています。
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本堂の裏手にある墓地内に、「大井」と書かれた横穴式の井戸があり、今でも水が湧き出しています。この井戸は、「大井の井」と言われ、大井の地名はここから付けられたと言われています。
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湧き出す水は、墓地内のポンプで組み上げています。
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山門を出て、しばらく歩くと大きな通りに出ます。左折して、線路の下をくぐると、「九頭竜権現水神社」があります。
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江戸時代の初期に作られたもので、農業用水として使われていた湧き水を守る社でした。湧水は1970年代にはなくなり、社には池が残るだけとなりました。
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池には、金魚がたくさんいました。また、この池を利用して蛍も育てていました。かつて、大井の土地に恵みを与えた「水」に対する住民の思いを感じました。
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池上道で巡った史跡をマップ化しました。(続)