川崎市北部にある野外博物館の日本民家園には、主に江戸時代の東日本の代表的な民家をはじめ、水車小屋、船頭小屋、高倉、農村歌舞伎舞台などの建物があります。
また、園内には道祖神、庚申塔、馬頭観音などの石造物があるほか、民家内には農具や生活民具なども置かれていて、さながら当時の時代や地方にタイムスリップしたような感覚になります。
今回は、展示民家の「原家住宅」を見学することにします。
この写真は、日本民家園の入口から見える風景です。緩やかな石畳の坂を歩くと右側に原家住宅はあります。

原家住宅は、川崎市中原区小杉陣屋町にあった建物で江戸時代の流れを汲む木造建築技術が高度に発達した明治時代後期の建物で、完成までに22年の歳月を費やした豪壮な2階建て民家です。川崎市重要歴史記念物に指定されています。

原家住宅は、明治44(1911)年に上棟し、大正2(1913)年に竣工しました。
完成まで22年かかったと伝えられていますが、そのうち約20年は木材の調達に費やされていたようです。ふんだんに使われているケヤキなど、主な木材は、横浜にあった原家の持ち山から切り出されました。江戸時代の民家には、建築上さまざまな制約がありましたが、明治後期にそれがなくなると宮大工の技術が要所に入り、豪壮な住宅がつくられるようになりました。
この住宅は、そのような日本の木造建築技術が高度に発達した明治後期の貴重な建造物であり、近代和風建築の特徴をよく表しています。


見どころポイントとしては、部屋によって壁土の色、天井の高さが異なっていること。格式の高い部屋ほど天井が高くなっているそうです。間仕切りの板戸はケヤキの一枚板です。


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