モンパルナスにあるカフェ「LA ROTONDE」に集まった芸術家たちが激論を交わし、殴り合いが起きても警察を呼ぶような無粋な人はいなかった。もし芸術家が酒に酔って寝てしまったなら起こさないようにし、酒代がないときは絵を代わりに預かっていた。
そんな逸話が残る「「LA ROTONDE(ラ・ロトンド)」。
モンパルナスはその昔、家賃の安い下宿があるだけの寂れた街でした。その様子が変わり始めるのが、1920年代。世界中から芸術家や彫刻家、小説家、詩人、作曲家たちが集まってきたそうです。
マネ、ドガ、シャガール、モディリアーニサルトル、ダリ……
デ・ラ・ゲテ通り(Rue de la Gaité)には劇場やミュージックホールがたくさんあり、今もいくつか残っています。
独特の乳白色が特徴的な画家、レオナール・フジタのモデルを務めた歌手のキキは、モンパルナスの女王と呼ばれたとか。
日本人ではレオナール・フジタの他にも、岡本太郎など数々の芸術家が訪れているそうですよ。
つまりは、食うや食わずのお金のない芸術家たちが移り住んできて、活気が生まれた街です。
たぶん、下の写真のテアトル・モンパルナスの歴史を伝える看板ですが、読み取れません……。
そんな歴史に想いを馳せながら街歩きをすると、また感じ取るものが変わってくるかも。
この日、2015年5月19日はいつものごとく調べないまま街へ出たので、「なんて劇場が多い街なんだ」「角にあるカフェは、他のエリアと同じくたぶん歴史のあるカフェ」程度の認識の、うっすい散歩になってしまいました。
この約10日後、5月28日に、再びモンパルナスを訪れました。モンパルナスにはクレープ通りと呼ばれる、クレープリーがたくさん建ち並ぶ路地があるのです。
モンパルナス通りには約10軒のクレープショップが集まっています。一番人気という、「クレープリー・ド・ジョスラン」に向かいました。
一緒に行ったのは、19日のモンパルナス散歩の後に、またも地球の歩き方掲示板を通して知り合ってディナーを食べに行った、マミちゃん(仮名)。なんだか気が合って、28日にも一緒にお出かけ。
人気だと聞いていたので、ランチのピークタイムをはずして訪れる。
店内のテーブルは、こんなレイアウト。隣の客のテーブルと自分たちのテーブルに距離はありません。くっつきべったりです。
さすがに、今はソーシャルディスタンスをとるように世界中で変わってきているのでこんなことはないと思いますが、当時は「入れんやん、座れんやん、客詰めすぎやん」と思ったものでした。
着席したいテーブルを抜いて、一人を送り込み、テーブルを戻して閉じ込めます。
「どっちが奥に行くよ」というちょっとしたやり取りの後、奥にマミちゃんを送り込み、お昼なので食事系のクレープ、そば粉のガレットと白ワインを頼みました。
マミちゃんはサーモンのガレット、私はベーシックにハム・チーズ・卵の「コンプレット」を。
おいしい。おいしいのは間違いありません。が、ここではたと気づくのは、日本の食のレベルの高さ。この本場の味レベルのものを出す店が増えている。
せっかくモンパルナスに来たなら、名物を食べておいて損はないけれど、日本もすごいよ、と思います。
甘いクレープも食べたい、と、チョコバナナを頼んだような気が。なんだか懐かしくってくつろぐ味でした。また食べたいな。
クレープリー・ド・ジョスランLa Crêperie de Josselin♥♥♡
モンパルナスをふらつくと、本も売っている雑貨店がありました。ここが楽しかった。
旅の間、あちらこちらで見かけたこの本。見かけすぎて、とうとうアメリカで購入します。
ジェフリー・ブラウン著のシリーズ絵本で、スターウォーズのダースベイダーがルークとプリンセス・レイアの子育てに奔走する話。
それがもう、可愛いのなんの!ルークやレイアの奔放なふるまいに困惑しながら、ダースベイダーがごはんをつくり、マナーを教えていいお父さんをしています。
シングルファザーの一生懸命な子育てに心がほんわか。日本語版も出ています。