ステイホームの今だからこそ読みたい、旅がしたくなる本、実際に旅先で参考になる本。
今まで何度も読み返し、時には誰かにプレゼントしてきたおすすめを紹介。
人は今、何をどう食べ、どれほど食べられないのか。
飽食の国・日本に苛立った著者は世界を旅する。
旅情豊かな描写に加えて、ダッカの残飯をあさる子ども、原発汚染に苦しむチェルノブイリの汚染スープ……と、食に、まつわる世界の現状が伝えられる。
観光がメインの、表面をなでるような旅行では見えてこない実情がショッキングだった。
現実を見ないまま、「あー、面白かった」と旅しただけで、いいんだろうか。
そう初めて感じた本です。
妹尾河童さんが旅したヨーロッパの、宿や寝台列車、城、建物を真俯瞰(真上)からスケッチしたイラストが満載。
その精緻なスケッチにとにかく魅了される旅日記だ。
中学生の頃に初めて手に取り、部屋の広さや家具のデザイン、インテリアのレイアウトなどに心が躍った。
イラスト共に旅の記録も綴られ、「いつかこんな旅がしたい」と憧れていた。
読むのが面倒な場合は、絵を見ているだけでも楽しめます。
タレント・作詞家・小説家・ラッパー・俳優などさまざまな肩書きのあるいとうせいこうさんと、漫画家・イラストレーターのみうらじゅんさんが、仏像を見る旅を書き残した見仏記シリーズ。
日本各地の仏像を見まくり、みうらさんのイラストといとうさんのユーモアあふれるテキストと組み合わせて表現方法は、もはや「いとうせいこう&みうらじゅん」という一つのジャンル。
「あの仏像は腰のカーブが超セクシーだ」「手の見せ方がアイドルの○○に似ている」など、仏像を全く知らなくても、いつの間にか仏像を見に行きたくなってしまう本だ。
海外篇では韓国、中国、タイを旅し、インドでは小型車で往復16時間の移動をこなしている。
仏像を見たいがために、小型車に往復16時間揺られるなんて、「好き」を原動力にした旅ってやっぱり面白い。
ちなみにこの本を寝る前に読むと、なんだかぐっすり眠れる気がしている。
「ブッダ・ヒーリング」とでも呼ぼうか。最近寝付きが悪いなぁという方にもおすすめ。
沢木耕太郎さんといえば『深夜特急』。この本で旅に出たバックパッカーが何万人いることか。
旅の情景がありありと浮かぶ名著だし、旅の途中での沢木さんの思考も魅力的なこの本ではなく、あえて別の本をおすすめ。
『一号線を北上せよ』は、深夜特急を経て人気作家となり忙しい日々を過ごしていた沢木さんが、深夜特急から20年がたち、「あの時できなかった旅」をする作品だ。
ベトナムの南から北までバスで縦断したり、檀一雄さんをたどってポルトガルを旅したり。
表現は言わずもがな、まったく興味がなかったポルトガルに俄然行きたくなった。
沢木耕太郎さんが檀一雄さんをたどるのであれば、わたしは沢木耕太郎さんをたどりたい、なんて思った一冊。
何冊プレゼントしたかわからないこちら。
直木賞作家・角田光代さんの女性一人旅、バックパック旅はいつだって、予想外のトラブルとユーモアにあふれている。
時間ができたら、心の赴くままにかばん一つでふらりと旅に出る角田さんは、よく飲むし、よく道に迷う。
これだけトラブルにあいながら、よくぞ御無事で!と思う出来事に見舞われる。
小説とは違い、文章が太字になったり文字サイズが大きくなったりと、ちょっとだけブログ風なのもとっても読みやすいと思う。
お気に入りは、アジアで修行中の僧侶に、角田さんがえらく好かれてしまうエピソードです。