MGCのいわゆるGM-5です。




MGCのガバメント型モデルガンの5作目にあたるということで、社内の分類呼称がGM-5ということらしいですね。


MGCプラガバメントでは2代目になるこのモデルガンが登場したのは1981年。

発売当初は、フルサイズガバメントとかショートリコイルガバメントと呼ばれ、前作(GM-2)と区別していましたが、そのうちに呼びやすいからか、GM-5という呼称がユーザーにも浸透していきました。



GM-5を設計したのはタニオコバの小林さんではなく、開発部のスタッフだった井部さんという人で、GM-5のフレームサイズはスライドも含めてイベフレームとも呼ばれていたそうです。

イベフレームは、耐性が考慮されてわずかに実物より肉厚に作られています。


GM-5はABS樹脂のサイド発火に始まり、80年代半ばにウェスタンアームズによるCFカスタムを経て、MGCオリジナルモデルもCF化されます。

MGCガバメントシリーズの中で最もバリエーション展開が多く行われ、90年代に入ると樹脂に金属粉末を混ぜたヘビーウェイト材で出来たグレー色のモデルガンも登場しましたね。



GM-5は、コルトガバメントの中でも最も洗練されたシリーズ´70がモデルアップされています。
1980年頃の僕はシリーズ´70を見るのは初めてでしたので、実に新鮮でした。
確か月刊ガンでもタイアップ記事を付けてたように記憶しています。
同時期に公開されたスティーブ・マックィーンの映画『ハンター』で主人公の賞金稼ぎソーソンがガバメントを使っていて、ボンドショップでもこの映画の写真が掲示されていて、いかにも映画でシリーズ´70が使われているような演出がなされていたことを覚えています。


GM-5はグレー色のヘビーウェイトのあと、黒染めタイプのヘビーウェイトが出て、その後鉄粉を混ぜたスーパーリアルヘビーウェイトが出ました。
SRHWは磁石がくっつくプラスチックという驚きの素材で、このモデルガンが出た頃、いつ発禁になるか分からないという噂もありましたね。

発禁にはなりませんでしたが、メーカーが自重しているのか、現在はどこのメーカーも鉄粉入りヘビーウェイト材のモデルガンは作っていないようです。

この角度から見たマズルはライフリングも見えてとてもリアルに見えます。

SRHWは色艶が良いのです。
まさに使い込んだ鉄色。

SPGマークは控えめに入っています。


MGCの歴代ガバメントモデルガン。
GM-5の上に並んでる左からGM-1、GM-2、GM-3の面々。
GM-4は欠席。

GM-1は1960年代半ばから1977年までの約10年間製造されました。
初期型はショートリコイルメカが活きていましたが、ブローバックモデルに改良されたときに固定バレルとなり、最後まで固定バレルのままでした。

GM-2は1974年に生まれ、78年のコンバットシューティングブームでWAがカスタムシリーズを展開したことで、本家のMGCがこのモデルガンをベースにGCNM(GM-4)を作るなど大ヒットしました。

GM-3はGM-1のリメイクで、ショートリコイルメカが復活しました。
機関部パーツはGM-2と共用で製造コストが抑えられています。
76年に発売され、日本では77年末の規制発効までの1年間だけ販売されました。
流通した量が少ないので、GM-3は輸出専用だったと勘違いされることもあるようですが、短期間ながらも日本での販売実績はあり、規制直前には部品状態のものがビニール袋入りで廉価販売されています。

GM-2(左)とGM-5(右)

最初からブローバックアクション専用機として生まれたGM-2は思いきったデフォルメが行われています。
1974年のデザインです。

GM-5の部品構成は実物にかなり近くなりました。
ブローバックが当たり前の時代に生まれたGM-5は、モデルガンファンの夢であったブローバックモデルガンでのショートリコイルアクションを疑似メカではあるものの、現実のものとしました。
これが出たときの驚きは今でも忘れられませんねえ。


疑似ショートリコイルのキモは、このバレルリンク。
リコイルスプリングによって前方に押されているスライドはバレルを押し続けており、スライドが後退するとフリーになったバレルはリンクを押すリコイルスプリングによって後ろに下がる。というややこしいシステムですが、よく考えられていると思います。
特殊な形状のリンクがまさにキモなんですよね。
シリーズ´70のフィンガーコレット式バレルブッシングも良い働きをしていて、スライドをゆっくり引いたときでもこのブッシングがバレルをつまんだ状態でスライドと一緒に後退させるのです。
同時期に生まれたスズキ(マルシン)のショートリコイルガバメントは小さなバネでバレルを下げていましたので、同じショートリコイルガバメントでもスズキの方がインチキ臭が強かったですね。

GM-5のロッキングラグの状況ですが、スライド側は削り落とされていますね。
初期のABS製では、ここまで削られてはいなかったと思いますが、どうでしたかね。


久しぶりにGM-5を分解しようとしてバレルブッシングを回しても、ここまでしか回りません。
おや?っと思い、反対側に回すと…



ここまで回りますが、リコイルプラグはびくともしません。
この状態でブッシングを引っ張ると…

ブッシングは抜けますが、リコイルプラグは不動のままです。

仕方ないのでリコイルスプリング内蔵のままスライドを引いてスライドリリースを抜き取ってフレームとスライドを分離させます。


リコイルプラグはスライドカバーに引っ掛かりを設けていて、ブッシングにかかる負荷を分散しているんですね。

ですからGM-5のリコイルプラグは後方にしか外せません。

樹脂製ガバメントでブッシングとリコイルプラグを実物どおりに再現するのは、97年のリアルマッコイズとホビーフィックスガバメントが最初なので、GM-5の登場(81年)から15年以上後ということになります。この両者は、実物の公式図面に基づいて設計された日本初のリアル構造ガバメントということになります。

そして今は、CAWとエランで実物通りのメカニズムとサイズが再現され、それがガバメントモデルガンの常識となりました。

往年の名機GM-5も過去のモデルガンとなって久しいですが、頑丈で故障の少ないガバメント型モデルガンとして今でも多くのユーザーに愛されているようです。

以上、GM-5でした。