どうしても手に入れておきたいものがある。
それは、モデルガンの歴史を語るなら、きっといつも必ず話題に上るであろう2つの製品です。
一つはマルシンウッズマン。そしてもう一つがモデル1860アーミーです。
1977年(昭和52年)に発効したモデルガン規制で、銃身がフレームと一体型ではないモデルガンは製造販売が禁じられました。
マルシンウッズマンは銃身がフレームと一体型ですが、自動式けん銃型モデルガンは尾筒と一体鋳造されているものに限るという府令に反するというイチャモンを同業他社に付けられて構造を変更しスライドオープンメカになってしまいました。
もう一つのモデル1860アーミーは、銃身とフレームが分離していますが、銃身部分にローディングレバー等の機関部が付属していることで銃身単体ではないという考え方で、規制後に製造販売が開始されました。
しかし、法の解釈は銃身に付属する機関部はフレームではないという結論が出たことによって、製造販売が禁じられてしまいます。
不遇なこれらのモデルガンは、いずれもマルシン工業の製品でした。
モデルガンマニアであれば、誰もが知っているこのエピソード。
両者が果たして改造しやすいモデルガンなのかというと、そうではないと僕は思います。
世に名機と呼ばれる人気モデルガンは多けれど、こうした曰く付きのモデルガンは、この趣味に身を沈めている者として手元に置いておくべきじゃなかろうか。そう思いましてね。
マルシン1860アーミーが世に出たとき、月刊ガンでネモ忠さんのモデルガンダイジェストを読んで購入意欲を減退させてしまいました。
理由は良く覚えていないんですが、グリップフレームのおかしなデザインが気に入らなかったからだったと思います。
新品で買えた時期。
不人気で割引販売もされていました。
倉庫販売をやってた頃のワイルドオブライオンズでは定価の半値まで下げてくれていましたが、安くなればなったで価値も下がったような気分になり、買いませんでした。
そのことを後悔するようになって数年が経ち、ここんとこめっきり見なくなったマルシンM1860を渇望する心が生まれ、フランクリンミントのプラ製でも良いかなあとも思うようになったのでした。
どうやら元のオーナーは、手入れというものに無頓着だったようです。出品するときに掃除くらいすれば良いのにね。
YouTubeで、ボロボロに錆びたピストルをレストアする動画があるでしょ。
あれ見るの好きなんですよねえ。
今回は、あの動画の気分で1860アーミーを再生してみます。
これで欠損部品の有無や磨耗を確認します。
バレルユニットからシリンダーシャフトが伸びているのが分かるとおり、ウェッジキーはモールドです。
この構造はMGCネイビーと同じですね。
MGCネイビーも、2次規制後にsmGマークを付けて短期間販売されたようですが、すぐに製造中止になっています。
今では、smGマーク付きのMGCネイビーは希少価値が高いそうですが、僕はその実物を見かけたことはないです。
どういう順番だったんでしょうね。
MGCがsmG基準に沿って規制後もネイビーを出したから、マルシンもそれに倣って60アーミーを出した。
新製品の60アーミーは注目を浴び、それが改正銃刀法の餌食となった。
その影響がMGC51ネイビーの販売中止にまで波及してしまった。
その腹いせにウッズマンの構造にイチャモンをつけたとは思えませんが、改正銃刀法の解りづらく矛盾を孕んだ内容に振り回された業者は憐れなものです。
マルシン1860アーミーの泣き所。
同社のピーメがそうであったように、トリガーガードとバックストラップが一体型になっています。
パネルの爪を引っ掛けるためにグリップエンドが分割するようになっています。
どうしてこんな面倒臭いことをしたのか甚だ疑問です。
フランクリンミントアーミーのグリップフレームが合うのなら取り換えたいところです。
どういう環境に置かれていたのでしょうか。
パーカッションリボルバーはシリンダー後端が閉塞されていますので、隔壁スリットはこのように前方に切られています。
前方からの見栄えが極端に悪くなるので、smG以降のパーカッションリボルバー型モデルガンは敬遠していました。
シリンダーの超硬スチールインサートはシリンダー後端に設置されていますので、マルシン1860アーミーのニップルからチャンバーへの導火孔は通じていないと思います。
ニップルには針の先で突いたような小さな孔はありますが、実際のところ、どうなんでしょ。
この形でもシリンダーはしっかり1/6回転しますので、これも実物通りなのかも知れません。
リコイルシールドにも実物通りにストック用の切り込みがあります。
ただ、マルシン1860アーミーのグリップエンドにはストック固定用の溝がなく、余計なネジがあるので、ストック取り付けには難儀しそうです。
あれはどうしてなんでしょうね。
オリジナル刻印を出来るだけ残しておきたいからですかね。