昭和52年(1977年)12月から金属製ガバメントは製造販売が禁止されましたね。
それから25年もの間、僕らは決して手に入らないものとして金属製ガバメントに憧れを抱いて来ました。

平成14年(2002年)だったと記憶していますが、ホビーフィックスがクアックアクションという指作動の金属製ガバメントを発売しました。
カートリッジの装填こそ出来ませんでしたが可動する金属製ガバメントを手に出来る夢のような出来事でした。

1977年に、その息を止められたCMCガバメント(下)。
発売が76年でしたので、わずか1年程の販売でしたけど、コマンダーとゴールドカップも併売されて、相当販売数も伸ばしているようです。
僕らは、このモデルガンとMGCのGM-3がこの世で最後の金属製ガバメントだと思っていました。

グリップパネルが本体に合ってなくても、CMCガバメントは最も再現性が高いことで人気がありました。

25年の歳月を経て、ホビーフィックスが出したのが、クアックアクションガバメント(上)。


CMCガバメント。
手動で作動感を楽しむ『スタンダード』と、アルミカートリッジを自動排出する『ブローバック』がありました。
スタンダードタイプはショートリコイルメカニズムが再現されていましたが、固定バレルのブローバックタイプの方が数千円高かったのを覚えています。
ブローバックアクションの原理はMGCが特許出願中だったデトネーター式のパクりでしたが、本家程の快調さはなく、閉鎖不良が続出していたようです。
モデルガンを発火させないオトナのマニアはスタンダードタイプにブローバック用のスチールハンマーを組み込んでより高い作動感を楽しんでいたそうです。

ミリタリーガバメント風の刻印のど真ん中ににsmマークが輝いています。


裏側はこういう感じで、CMCのオリジナル刻印ですね。
わざとらしく入ったM1911A1の文字がこの時代っぽくてイイですね。
製造番号は3828番。
これが生産された最後の1挺だとしても1年間で3千8百挺を超える生産数です。
この機種だけで毎日10挺以上が量産されていたモデルガン全盛期の製品であることが分かりますね。


スライド刻印のど真ん中にsmマークを入れてしまったからか、お馬のマークがこんなとこに入ってます。
六研ガバも同じ位置にありますので、設計者の好みなのかもしれません。

この写真で気付かれたと思いますが、CMCガバメントにはセイフティロックにチェッカーが入っていません。
六研ガバメント同様にツンツルテンです。

歴代のガバメントモデルガンは、アーチ型メインスプリングハウジングがすべてこのように縦溝のものばかりなんです。
ミリタリーガバメントは格子型のチェッカー仕様であるべきだと思っておりますが、それが再現されるのはずいぶん後になります。



こちらはホビーフィックスのクアックアクションガバメント。
模擬銃器に該当しない構造を研究し尽くして、その理想を具現化し歴史的な第一歩を踏み出した記念すべき製品です。
ホビーフィックスでは、この製品を足掛かりにして模擬銃器に抵触しないギリギリの構造まで突き詰めることに挑戦し続けました。
それは真鍮製の限定品にジャンルを変えての商品展開でしたので、裕福なマニアは六研の再来と狂喜乱舞しました。その一方で僕らは亜鉛合金のクアックアクションでの92FやPPKが発売されるのを待ち続けていました。

ホビーフィックスは、このクアックアクションガバメントに先行してタングステンを樹脂に混ぜて作ったメガウェイトガバメントを出しています。
それが97年頃でしたが、同じ時期にリアルマッコイズがロックライトでスプリングフィールドアーモリータイプのガバメントを発売しています。
両者共に情報公開されたばかりのM1911型ピストル公式図面に基づいて設計されており、それまでにないリアルさを実現していました。

これを機にコルトガバメント型トイガンは実物に近い洗練されたスタイルとなっていきます。


ホビーフィックスのガバメントはセイフティロックの指掛けにチェッカーが入っています。



こっちは裏側。
鏡面に近いセイフティロック本体に映り込んでしまったので2つに見えます。


そして、このメインスプリングハウジング‼️
ミリタリーガバメントはこうでなくっちゃね。




模擬銃器に抵触させない構造を追究し、僕らの夢を実現してくれ続けていたホビーフィックスでしたが、銃身分離型金属製モデルガンの製造販売を禁じた法律の裏をかいた脱法的手段ということで、お上からも『いい加減にしとけよ』と釘を刺されたらしいですね。真偽は不明ですが。
同社が真鍮製セミオートの新作を作らなくなって亜鉛合金製リボルバーの商品展開にシフトしたことでそういう噂が流れているのかもしれませんが、事実だとすると今後金属製セミオートピストルタイプは製造販売が望めないということになるのでしょう。
残念なことではありますが、今や金属製モデルガンの需要は底辺ですし六研憧れ世代も高齢化していますから、やがて淘汰されてしまうのかなあ