ダーティハリーのM29に続いて、20世紀最後のヒーローガンは間違いなくベレッタM92Fでしょう。

昭和62年(1987)から翌63年(88)にかけて劇場公開された映画『リーサルウェポン』と『ダイハード』で、それぞれの主人公が使用していましたし、なんと言っても当時はコルトM1911A1に代わって、米軍の制式拳銃に採用されたことが話題になっていました。
日本では、ブームが起こる数年前にその前身である92SBがスズキ製作所から発売されていましたが、92Fの方は長いことどこのメーカーからも発売されませんでしたね。
モデルガンよりも先にエアソフトガンで登場し、スライド固定のガスガンがMGCから発売されたのが平成元年(89)頃でした。

ベレッタM92Fを初めてモデルガン化したのは、アメリカンコレクターズグループ(ACG)で、この会社の母体はマルシン工業ですね。
言い換えると、マルシンの観賞用高級モデルガンがACGブランドで販売されていたということになります。
マルシンから一般販売される前にACGから高級タイプが限定発売されたのは、まだ市場に92Fのモデルガンが出現する前に高級品として世に出したい思惑がマルシンにあったということでしょう。



平成3年(1991)の初め頃に予約受付が始まり、予約者には手書き印刷のハガキが届きました。
このハガキを見ると分かるように、予約開始から完成までずいぶんと待たされたのです。
1挺5万5千円とありますね。
当時の価格にしては、かなり高額でした。



代金を振り込み、ひと月ほど待たされて、ようやく届いた大きな段ボール箱。
50cm四方はあったと記憶しています。
その大きな箱を開くと、緩衝材に包まれた段ボール箱が姿を現しました。
それがその箱です。
発送年月日と製造番号、オーナー名が書かれたシールで封印され、アメリカンコレクターズグループの契印が押されています。


封印を切って箱を開くと、銀色の内箱の上に載せられていたのが、このカード。


銀色の内箱に樹脂製のハードケースが入っています。
ベレッタ社の純正品だと思われます。

これがセット内容です。
モデルガン本体と、銀色めっきされたスペアマガジン、9mルガーのダミーカートリッジが付属しています。


マガジンには、アメリカンコレクターズグループの刻印が打たれています。


モデルガンは、この当時から主流になりはじめたヘビーウェイト樹脂製です。
バレルもヘビーウェイト樹脂で出来ていて内部に重りを兼ねたインサートが入っています。
後に販売される製品と違ってバレルまでヘビーウェイト樹脂製なのはこのACG製品だけです。
そのせいか重みはかなりあって、持ち上げると手に心地よい重量感を得ることが出来ます。
また、スライドリリース、サムセイフティ、テイクダウンレバーがロストワックススチールで出来ています。



ハンマーは亜鉛合金ですが、ファイアリングピンに接する部分にはスチール材が埋め込まれています。



若気の至り。当時20歳台半ばだった僕は、スライドリリースに印象されたツールマークが気になって仕方なく、ヤスリでツルンツルンに慣らして仕上げ直してしまったんですよねえ。
その頃、覚えたてのケースハードニング仕上げなんてのを真似してマダラになってしまいました。


スライドにもアメリカンコレクターズグループの刻印が打たれています。


固有の連続番号が打たれているのは六研みたいで嬉しかったですが、今の目で見るとリアルさには欠けますね。