MGC44コンバットオートは、M44とも、44オートとも呼ばれていますが、商品名は『MGCSW/44コンバットオート』が正しいようです。
ここでは44オートと呼んで話を続けます。
製作年は1970年。
MGCでは1968年のMP40発売を機にブローバック作動するモデルガンの開発を進め、ハンドガンタイプにもその機能を搭載しますが、44オートは最初からブローバックアクションを楽しむために設計されたそうです。



ブローバックに特化したモデルガンの機種選定がどのような過程を経たのか明らかにされてはいませんが、選ばれたのは、Smith&WessonのM44です。
人気のあるガバメントやハイパワーではなく、当時はまだマイナーだったS&Wオートが選ばれたのは、ブローバックアクションに耐え得る頑丈なボディーが連想されたのか、それとも全く新しい機種で市場を席巻しようとしたのか。
ただ、実物のM44はM39からダブルアクション機能を取り去った試作のようなピストルで、世に十数挺しか存在しないそうです。



人づてに聴いた話では、当初MGCではM39をモデルアップする予定だったけど、ダブルアクション機能を搭載するとコストがかかることでシングルオンリーになったのだとか。



かなり雰囲気は写し取っているのではないでしょうか。
ラージエキストラクターの形もそっくりです。
ブローバックに耐えるため、このエキストラクターとハンマー、シアーはステンレススチールが使われています。
グリップスクリューとメダリオンの位置を見ると、この辺はM39に近いようです。




これが発売当初の元箱です。
段ボールのシンプルなデザインですね。
マイナーチェンジしたあとは、このパッケージも変更されました。


これも発売当初に頒布されたカタログです。
写真のモデルガンは良く磨かれて特別にブルーイングされたもののようですが、スチール製のマスターモデルのような感じもします。


ご注目して戴きたいのはこの刻印。
CARIVERと綴られています。

モデルガンの方を見ると、
CALIBERに綴りが直されています。
刻印文字のピースがそこだけ取り換えられたのか周囲にへこみが形成されているのが分かります。


MGC44オートは、71年の規制を受けたあと74年のsm基準に合わせるためのマイナーチェンジが行われ、そのときに特徴あるラージエキストラクターが小型のモールドに変更されています。
そして、この時にスライドブリーチに鋼材が鋳込まれました。


もう発火させて遊ぶこともないでしょうけど、今でも平玉を4~5粒詰めさえすれば、ブローバックアクションが楽しめるという、牙を隠した狼のような44オート。