救われた命 | 誰にも言えず綴る

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余命宣告された夫は2023年8月、逝ってしまいました。これからどう生きていこうか…。

朝、庭の草木に水やりしてたら、
どこからか
黒いトンボがヒラヒラと飛んできて
あちこちの草花を渡っていく。

もしかしたら
夫の生き霊がトンボになってやって来たのでは❓
夫は園芸が好きだったから家の草木も気になるだろう。

黒いトンボは神様トンボとも言われると聞く。
なんとなくスピリチュアルな朝だった。

神様と言えば、

夫の命は、

10年ほど前に、

神とか仏とか目に見えないスピリチュアルなものに救ってもらったと私は信じている。


真夜中、突然鳴り出した家電…

絶対悪い知らせだと咄嗟に感じた。

こちら東京の◯◯警察ですが、

ご主人が地下鉄のホームから転落されて病院に搬送されました。
今からこちらに来ていただけますか❓

当時夫は東京に単身赴任中だった。


絶対絶命だと思った。
さすがに真夜中では動きが取れず、
最寄り駅から始発に乗り新幹線で東京へ。

連絡を受けた病院のICUに夫はいた。
意識はしっかりしていて、
私に気づき、

会社に連絡してあれしてこれしてと、まるで部下に言うように命令。

処置しているお医者さんや看護士さんは呆れ顔で、私も恥ずかしかった。


こんな場面でも仕事第一の夫…他に何もないんだ、この人には。

夫は仕事の接待後かなり酔ってて
地下鉄のプラットホームからふらりと落ちてしまい、
たまたま居合わせた人が地下鉄の緊急停止ボタンを押してくれて、
お客さんの中に看護士さんもいて、

応急処置をしてくれたらしい。


何よりも、
落ち方がよかったようで、
右ほほの骨折と歯が数本折れただけという奇跡的な軽症だった。

命を救ってもらったし、
体にも何の障害も残らなかった。

病院側も本当に奇跡的だと言ってた。

夫は強運と言うより、

限りある命を延長してもらって

猶予期間をもらったのかもしれない。


本当ならあの日消えていてもおかしくない寿命を
10年伸ばしていただいたと思っている。

東京に入院中、
私は慣れない土地で毎日病院へ通い、
洗濯物や欲しい物を届けた。

大学生だった次男に愛犬の世話と留守を任せた。


10年前の事故を

夫はもう忘れちゃってるかな…

思い出す余裕もないかもね…。