西本医師「心療内科医として総合病院に勤務しています。本日はよろしくお願いします。あの、一応臨床検査技師で宜しいのでしょうか?」
私「何ら問題はありません。サイキックセラピスト・ヒ-ラ-でもありますが、今日は医療の立場で皆さんとお話ししたいと思います。早速ですが、先生はヒ-リングに興味をお持ちなのでしょうか?」
西本医師「以前から本では読んでいました。看護師さんもセラピューティック・タッチでしたか、やられていますしね。先生(この場合は私を指して呼んでいる)も同じ学会なのでおわかりだと存じますが、メンタルタフネスは今や医療現場でも積極的に採用されています。」
私「心身相関や認知行動療法は昔からありましたから、特別なものではないですよ。ただメンタルタフネスは一般企業でも導入可能だし、何よりも医師が介入しないでもストレス耐性が出来ます。セラピューティック・タッチはいわゆるレイキと似ていて、そういう意味ではヒ-リング技術の一部みたいなところがあるのですが、どうしてあれだけ急速に広まったんでしょうか?やはり歴史があるし、ニューヨーク大学看護学部教授・看護師のドロレス・クリーガー博士が科学的検証を試みて論文まで発表した。そこにある??」
西本医師「治療行為とはいえなくても、不特定多数の人達に向かって行うわけですから、明確な手順とエビデンスが必要なんですよ。そういう意味では試してみてもいいのではないかと看護職の人達が考えたのではないでしょうか!ただ私達も抄録の一部を読ませて戴いたのですが、余りにも症例が少ない上に統計的な相関がありませんでした。そして高額な料金をとっておいて、効果がない人達もかなりいて非難されたわけですから、意欲的ではあるけど一般化しなかったわけです。」
私「それでも石田先生のようにホリスティック医療のみならず、スピリチュアル・ヒ-リングに関心を寄せる人達が増えているというのはなぜですか?」
西本医師「限界を感じているからです。今の技術ではここまでしか出来ないと。霊感や信仰のないどんな人でも、一定の研修を受ければ出来るような体制と、エビデンスがあれば我々も受講したいと思っている、それだけだと思います。また臨床側がどのように関わるのか、その辺のシステム構築が議論されればよいと思います。」
私「線維筋痛症でしたか。私も以前その学会に出席したのでわかります。学会ではワ-クショップも行われましたが、ほとんど心理士の参加はなく、東大や京都大の病院の先生を初めとして、ヒ-リングの先生と勉強したいが、どうすればわからないという意見さえありました。私は小心者ですが、一応医療現場とスピリチュアルな場両方を知っている立場だったので、(何も言えずに)もどかしい思いをしたものです。」
西本医師「先生は非常にユニ-クな人だと思います。コ-ディネータ-なのかと…。そういう活動をされてきたようですね。」
私「20年以上も前ですが、内科の医局にいながら、千葉県の船橋市内の精神科病院で家族療法の研修を受けました。その後心身医学の門を叩いて、当時の恩師先生(医師)から、保育士や看護師等の為に開かれた勉強会を発足してほしいといきなり言われたんです。それで心身医療ふれあい研究会を発足しました。当時から保育士の先生方は虐待の問題で苦しんでいましたね。園児にその兆候を感じたらどうするべきか、教えてほしいと。また臓器移植
コ-ディネータ-の資格を以て研修会に参加した折、看護師で資格を有している人達からの、パワハラや虐待に似たSOSがあり、メンタルヘルスの面からも私自身どうしたらいいか考えてしまいました。本当は臓器提供にしても、スピリチュアルなカルマがあり、患者さんと家族、医療スタッフがそれを被る可能性もあるわけです。」
西本医師「ほお~。いや失礼…感心したんですよ。で大変面白い。そういう話はどこで聞けるんですか?」
私「させて戴けるなら、いつでも(笑)。でも先生、もう少し踏み込んだ具体例とか、じゃあそこで何を調べて、何を行うべきじゃないのかみたいな話は、私はまだ未熟で責任も負えないわけで、公平かつ客観的、多様性のある内容のものはこの度発足した研究会に参加された方が良いかと思います。医師や看護師といった同業者がいれば、こんな考えもあるんだと感心されるだろうし、自身の励みになる、公式な学会では出来ないような奇妙な連帯感も生まれると思います。結構医師というのは孤独な職業ですからね。また心の問題に一つとっても、こんな違ったアプロ-チがあったんだ、こんな職業が成り立っていたのかと驚かれるでしょう。私もつい最近まで、スピリチュアルやヒ-リングに対して懐疑的で非常に危険な行為だと思ってきた一人なんですが、意外と科学的だと知って医療を初め、いろんな分野の人達とシェアしたいなと考えるようにしました。」
西本医師「なんて言いましたっけ(苦笑い)!?創造のための臨床エネルギー研究会…。ぜひ伺いたいと思います。
心身医療ふれあい研究会では、それまで無関心だった東大の医師が喜んで勉強し、あげく心理学の講師に就任されたとか?」
私「今よりは権威のある立場というか、知名度のある医局に特例として入局した私だったわけですが、いつも集まる人数は多くて10名くらい。毎回違うテ-マと資料を用意し、二時間で一人300円の会でした。最初は臨床心理士三人が幹事として参加し、臨床研究の発表もしていたのですが、なんたって実力も実績もない私が発足人。参加者も主婦・保育士・学生が中心でほとんどプロがいなかったので、だんだん心理士の人達は消えていきました。そんな時同じ医局の医師で、当時は東大の一般医員だった先生がひょっこりやってきたんです。とても人格の優れた先生で患者さんのみならず看護師からも大変人気があった方でした。いやあ多分義理みたいなものもあるかと思うんですけど、嬉しそうな顔されて…。その日の研究会が終わって、尋ねてみたんです。〔先生、こんな小さな会にわざわざ足を運んでくれてありがとうございます。で如何でしたか〕って。そしたら〔ありがとう、楽しかったよ。こんなに心理学が面白いものとは知らなかった。それに普段の学会ではこんなにリラックスできないしね〕と言われたんです。見栄を張っていつも都内の有名なビルの一室を借りて行っていたので、そんな状態ではジリ貧で採算がとれるわけではなく万年赤字だったわけですが、その一言で救われた気がしましたね。その後そのM医師は多忙になったのでほとんど参加されなかったのですが、ある日手紙を戴き読んで吃驚してしまいました。そこには〔君の御蔭で群馬大学心理学教室の講師を任されることになりました〕とあったからです。当然私の影響はありません。恐らく私達の知らないところで、コツコツと努力している姿を誰かが見ていて、推薦したのだと思います。それでも謙虚で思いやりのある人ですよね。私のような末端の人に対しても、忘れないでお礼の言葉をする。」
西本医師「公認心理師ではないにしても普通に診療している立場から見て、現役に拘っている人が橋渡ししてくれるなら大変ありがたいという気持ちはあります。そうすれば接点と境界分野を探って連携することも出来る…。私達もある程度オ-プンにしますから、皆さんも逢いに来てほしい!と言うことも出来ます」
私「私個人的にはアセンションとか、神事とかどっぷり浸かっている医師は好きな方なんです。でも常々もったいないなと感じてはいます。精神科医というよりは眼科医、外科医というのであれば、そっちの方でヒ-リングを生かす道を研究してほしいなみたいな。なのに優秀な医師に限ってあっさり臨床の道を捨ててしまう(笑)。それだけの才能の主だから、宇宙がほっておくわけがないのでしょうけど、多様な選択肢と多くの患者さんをあえて捨てる必要があるのかなって…。
”創造のための臨床エネルギー研究会”の話に戻りますが、これ別の思惑というか動機もあったんです。横断的な拡大医局を作りたいなと。医局に入ってわかったことがあったんですね。やはり医師はコ・メディカル・スタッフとは比べ物にならないくらい勉強し、それを実践していると。そして白い巨塔的な弊害はあるけど、その一端を担っているのが大学医局であると。
医学部以外の学生というのは形だけの研究室を出ればもうおさらばですよ。泣きついたって助けてくれないし、学びの場も同期生が集まる場も失われていく。そういうものを否定する一般職は別として、なぜ日本の対人援助職の場合、そういう医局に似た機能が存在しないのでしょうか?医学部の場合確かにパワハラはありますが、多業種間交流と連携、カンファレンス等はほとんど医局が間に入ってくれますよね。心理職やサイキックセラピスト、ヒ-ラ-には”医局”は存在しないんですよ。しかも有名な講師のワ-クショップに参加すれば、基本的に名刺交換さえままならない状況で、せっかく意気投合した相手が見つかっても、連絡先も名前もわからないまま別れてしまう。これ、寂しすぎるでしょ。かといってまた別の学校へ行ってもお金はかかるし、卒業すれば同じで”医局”のような制度はありません。スピリチュアルとかアセンションの視点からすると、確かに必要はないんですね。御礼奉公や権力による拘束は必要ありません。でも開業して何年も経った医師に、傲慢さや質の低下がみられるように、個人で動くのには限界もあるのだと思うんです。特に情報収集が難しい…」
西本医師「医師としてはあれですけど、不定愁訴や月経困難症というのはどうなんでしょうか?私の後輩で診療で苦労している者がいるんですが…。それと世間的には”引きこもり”とか、どう対応していけばいいのか、わからない。私達の領域ではないかもしれませんが、結構うちの患者さん自身が実は…といいながら家族の問題として持ってくる…。その場合一つお聞きしますが、私達は何を持ってくればいいのでしょうか?」
私「私は医療人として、別に個人的にも人格障害やその引きこもりの一種の患者さんに対応したことがありますよ。
前者の場合は既存の検査法に一工夫して、自律神経状態を観察。そしてカウンセリングで心身相関を確認しながら
助言するという方法をとっていました。後者の場合はとにかく最初はよく聞いてあげて、落ち着いたら質問しながら誘因となるものを分析。協力的な家族がいる場合は家族力動や認知の修復を図り、同時にサイキックな方法で人格のズレをなおそうとしました、という話になります。症例数が少ないので何とも言えないのですが、それでも改善した例がありました。…普通の臨床所見とかデ-タでいいんですよ。研究会に参加するような人達は心理状態や性格気質、現症状を求める傾向が強いのかもしれませんが、心理テストや一般的な所見、つまり血液検査や画像診断がほしいんです。スピリチュアルな面で長けている彼らですが、逆にそういうものが新鮮に映り、刺激されて発奮すると思うんですよね!で参加者全員がワアワア言いながら、いろんなアイデアを出していく。」
西本医師「そういう意味では不定愁訴の症例というのは一番議論しやすいテ-マになりますかね!精神科領域も含めると自律神経失調型や憑依型という言葉も出てくる…。あなたもこういう話好きじゃありませんか?もっとも最近はホルモン受容体遺伝子や化学物質、脳脊髄液との関係、ECS(エンド・カンナビノイド・システム)の概念等が話題に上りますが…。医科学の発展は一方で、今まで見えなかったものを可視化して、簡便な治療に切り替えようとしている。公認心理師を加えたりホリスティックなものを追及する一方、遺伝子一ついじれば何でもできるようになるんです。両極で進んでいる。物凄く奇妙です。しかしこの研究会のように、一方の極を破壊しないように進んでいくのであれば、いつか両極は一つに繋がると思いますね。」
私「先生のような専門家にそういってくださると嬉しく思います。私が都内の外来に勤務していた頃、気管支喘息の患者さんについては気道過敏性試験、アレルギーの患者さんについては皮膚テストを参考にして心身相関を検討していました。アセチルコリン吸入閾値が低いけど、一秒量が高い人は過剰適応で楽天的。けれどリスクは高い。逆にいつも外来でストレスを語り、一秒量はやや低め、けれど吸入閾値がいつも20000以上の人はイライラ型みたいとかわかるんですよ。それからGOT、GPT、白血球分画。正常値内だと脂肪肝だのお酒を控えるようにという話で終わりますが、例えばGOT 12 GPT 7の人が、いきなりGOT 21 GPT 13になった人に聞いてみると、「今までどちらかというとズボラでマイペ-スだったけど、先月結婚して彼女の為にマメになった。掃除・洗濯も積極的に手伝うし…。そしたら職場の方も移動になって残業だらけになっちゃって!」
こういう人は普通に多いですよね。もしかしたら私にはできないかも(苦笑い)。お酒は程々だし特に心配いらないタイプだけど、このまま進むとストレス心身症とか出そうですよね。それが次にGOT 26 GPT 24になったようなタイプの人もいました。こちらは「部長になったせいもあって毎晩遅い。気が重たくなった時はうまいものを食べて、ストレス解消をしている。女房には悪いけど、向こうも適当にやっているわけで別にいいんじゃないですか!?」でした。
こういう人は余程のことがない限り、カウンセリングやヒ-リングを受けてみようなんていう気が起こらないわけで、無理して誘導してはいけませんが、何かあった場合の参考にはなりますよね。或いはこれで相手との距離感が近くなるかもしれない…。」
西本医師「生理心理学の分野でしょうか!?日本ではまだ多くないと聞きます…。あの…今のような話も研究会で聞くことが可能だと。いや大変興味ありますので。」
私「毎回何かは持ち込まれますが、別にしなくてもいいと思うんですよ。だから安心してくださいね。ただ夢は大きい方がいいし、独創的なものを作る為にはアイデアマンがいないと…でしょう?勿論生理心理学の話は…必要であればさせてください。というよりも先生も含め誰かがしてくれると嬉しいなぁ~。生理心理学も含めて、いろんなことをしているスピリチュアリスト、医療従事者、他の業種の人達が一堂に集まって、語って、何かを作っていこうとする過程が面白いし大切だと考えているんです。
で少し個別の話に戻りますが、先程一般的な所見、つまり血液検査や画像診断があれば、”創造のための臨床エネルギー研究会”に持ってきてくださいとお願いしたのは、こういう経緯もあるからで、生理心理学は取り敢えず置いといて、情報をみんなとシェアしたいからなんです。ヒ-ラ-さんや心理士さんの人達だって、そういう情報を出せば、驚くような手法を教えてくれるかもしれませんよ。」