人生の恩人に会いに行きました② | 介護用品の選び方・賢いレンタル方法、福祉用具の導入事例紹介

介護用品の選び方・賢いレンタル方法、福祉用具の導入事例紹介

車いすや介護ベッド等の介護用品をレンタル・販売する千葉県の会社”モナークケア”
代表を務める小澤重史こと”シゲ社長"が、お得な中古介護用品の情報や、福祉用具の上手な選び方について発信しています。

さて、


前回の続きです。







小学4年生、3学期の途中でしたが、


父親の転勤で、博多から千葉へ戻る事に


なり、I先生ともお別れをしなくてはなりませんでした。





最後の日に、職員室にあいさつに行くと、


I先生は、私に一冊の本を渡しながら、




”しげ、この本を読んで、感想を先生に送ってくれ。

 

 いつになってもかまわないから、読んでみて欲しい。”



と、おっしゃいました。








渡された本は、 ”次郎物語” (下村湖人著) でした。


とても分厚い、ハードカバーの単行本 でした。






次郎物語は、主人公次郎の幼少期から青年期まで、


両親の事、兄弟の事、先生の事、友だちの事を通じて


成長していく有様や、日本が戦争に向かい、


思想の統制などを行おうとしていた当時の事を


細かく丁寧な描写の中で描いていく、”未完の小説”です。


(作者下村湖人が、途中で高齢を理由に、

 筆を置いてしまったのです。)











千葉に着いた私は、その本をしばらく机の上に置き、


いつでも読めるようにしていましたし、


実際に少しは読みました。





しかし、


とても硬くてつまらない文章で、当時の私には、


読み進めることは出来ませんでした・・・








そうして、月日は流れ、中学生、高校生、大学生、


社会人になってしまいました。










でも、


自分の心の片隅に、


I先生の事がときどき思い起こされ、


そして、本を読んで感想を送るという先生との約束を


果たしていないことが、


私のこころを、やんわりと真綿で締め付けるようでした。










そうしているうちに、40歳になり、


人生折り返し地点で、いままでは周りの人に


教えてもらい、助けてもらってきたけれど、


これからは、自分の出来る範囲で、人を助けて、


ご縁のある人が進む道を少しでも導いていけるようになりたい。


そう思うようになりました。











その時に、どうしても自分の中でひっかかっている事、


後悔している事をクリアにしておかないと


一生後悔するような気がするし、しっかりと進んでいけない


ような気持ちが強くなりました。









そして、


I先生との約束が、私にとってとても永い事ひっかかっている


後悔として強く残っている事を認識し、




”いまさらだけども、約束を果たそう。”




と思ったのです。








次郎物語を読み、


先生と出会った小学校に連絡をして、


近いうちに学校をお伺いするので、


I先生の所在を教えて欲しいとお願いしました。






そして、博多へ行き、小学校を訪ね、


先生の所在を教えてもらいました。







I先生は、現在は


小学校からすぐ近くにある、中学校の校長先生に


なっていらっしゃいました。






その中学校に行き、I先生にお会いしたいとお伝えしたところ、


先生は、入院中で学校をしばらく休んでいるとの事でした。







事務所の先生に、私の今回の事情を話して、


先生と連絡を取りたいとお願いしたところ、


事務所の先生は、


私を前にして、I先生の携帯に連絡をしてくださり、


私のこと、今回の事情を伝えてくださりました。









I先生は、重い病気らしく、お見舞いに行くことは


かないませんし、退院もしばらくかかるとの事でした。






ただ、少しなら電話でお話しましょうか、


と、I先生がおっしゃっていて、携帯電話の番号を


おしえても構わないと返事されたと、


番号の書いたメモを、事務の先生がよこしてくださいました。



















I先生は、


私のことは憶えてはいませんでした。




当然でしょうが・・・







先生は、



”そうか、私も若い頃はそんな情熱ある教師だったのですね。”



と、昔を懐かしむように、うなずきながら話を聞いておられました。









電話ではありましたが、直接話して、その頃のお礼と、


約束を果たせなかった事のお詫びをすることが出来ました。














私は、羽田へ帰る飛行機に乗る前、空港で


先生に手紙を書きました。









次郎物語の感想、今までの私の人生、


先生との思い出。


そんな事をしたためて、空港のポストに入れ、


博多をあとにしました。
















帰ってきて数日後、


先生から手紙が返ってきました。










ありきたりな文章が大半でしたが、


”自分の言動や、自分との出会いが、


教え子の心に刻まれていることに


喜びを感じると共に、大きな責任も感じます。”


と、書かれていました。










先生は、自分が がん であることを、


手紙の中で触れていました。









”元気になって、復帰できるようになったら必ず連絡します。


 そのときはお会いして、一緒に食事をしましょう。”




と・・・


















あれからもうすぐ4年が経ちます。









I先生には、もうお会いできないのかもしれませんが、


私のこころの中で、それは後悔にならないようです。















いまの私には、


I先生だけではない、たくさんの恩人がいます。





ただ、みなさん連絡が取れ、会いたいと思えば


さほど苦労せずにお会いできる方々です。











”お世話になったなあ。”


”あのとき、助けてもらったなあ。”


”この人との出会いがなかったら・・・”









そう思うこと、


思ったことを伝えること・・・








大切にしたいですね。













ちょっと感傷的になって、


書き進めてしまい、


長くて、うっとおしくなってしまいました。


ごめんなさい。





お読みくださり、ありがとうございました。