食虫植物自生地探索 in 兵庫県!!!(オマケ:全国食虫植物ネット飲み会) | もなのブログ

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 きちんとした食虫植物の自生地の探索は今年度初めてですね。

 

 今回は関西食虫植物愛好会のイツメン(大阪屋さん、シネフィーさん)で食虫植物の自生地を見に行きました。

 元々兵庫県には食虫植物や水草に物凄い詳しい、食虫植物業界でもすごい方がいらしたそうなのですが、私が食虫植物にはまる少し前にその方が急死してしまい、情報も知識もそのまま消えてしまったので瀬戸内は未知の世界です。

 

 という訳で朝早くから兵庫県に向かったのですが、午前中の成果はゼロ(-_-;)

 閉鎖していたり、ただの休耕田だったり、生えてない場所であったり、私有地で勝手に入れなかったり…

 

 …午前中は悲しい結果であったのですが、お昼ご飯を急遽兵庫県立フラワーセンターの土居氏と食べることになりました。

 フラワーセンターもコロナのせいで閉鎖しておりますが、生き物を扱う仕事上世話だけはしなくてはならず、でも出勤時間を7割に減らさないといけなかったり、土居さんも大変そうです(-_-;)

 レストランの駐車場で合流後、Twitterにあげていらっしゃったロリヅラ・デンタータや近況の話、栽培方法についての相談をした後に、土居さんにお昼の休憩時間中だけ近場の自生地に一緒行くことに。

 

 ■とある法面の自生地

 法面に生育するトウカイコモウセンゴケとイシモチソウです。ここは有名ですね(笑)

 

トウカイコモウセンゴケがびっしり

 

拡大

 

このサイズの獲物を捕らえるのは土居さんも初めて見たの事

ヤラセじゃないヨホントダヨ

 

つぼみの拡大

流石にまだ開花していない

 

イシモチソウはポツポツと

 

拡大

 

3密

 

子株、種子繁殖した株でしょう

 

 写真ではたくさん生えているようにも見えますが、やはり生息地は局所的…。20m弱の範囲にしか生えておらず、少し離れるともう一切ありません。

 本来なら国際会議で海外の方にも案内する場所だったのですが…。

 う~む残念ですね(-_-;)

 

 世間話(主に鹿への文句)をしながら土居さんと自生地を見た後、コロナ終息後にまた遊びに行きますよ~という話をして解散。我々は次の場所へ。

 

 ■とある登山コース

 次の場所はガレ場が多い場所。

 食虫植物は貧栄養な土地に多い…、何て言ったって水がなければ食虫植物も生育なんてできません。

 兵庫県以西は地質の影響か、山が急峻すぎるのか、水が地中に浸透しやすいみたいで、斜面のガレ場も乾燥しやすいです。そういう所ではあまり食虫植物は見られません…。 

 

 比較的山がなだらかで、浅い場所に湛水層(粘土層)などがある三重や岐阜、愛知は土砂崩れなどで湧水が地表に出てきやすく、そういう場所には大規模な湧水湿地が成立します。

 東海丘陵湧水湿地群ってやつですね。あちらでは貴重な湿地がたくさん存在し、住民の手で守られています。

 ああいう場所は一般公開されておりますので、食虫植物の自生地を見たい方は是非行ってみてください。

 

 近畿では見られないナガバノイシモチソウなども愛知県には生えていますよ!

 

たくさん見られるガレ場。見事に植生は貧弱。

 

 今回は少し水が染み出している場所があり、イシモチソウが生育していました。

 写真を見てわかる通りなかなかの傾斜です。岩盤が露出しており、水が貯まる訳がありません。

 

水の染み出し口で少し土壌が存在する場所で生育していた

 

水が染み込み非常に乾燥するようで生育数も少ない

 

環境が安定していて上手く球根が分裂したよう

 

 食虫植物の自生地の探索にはある程度コツがあり、我々は地形や地質、周囲の植生、航空写真等の情報からポイントを絞り込んでいくのですが、水の染み出し口や法面に生える食虫植物は非常に局所的であり、ぶっちゃけ予めポイントを絞ることは出来ません。

 つまり行かないと分からん!

 水が貯まらんって言ったって水の染み出し口はどこかに絶対ありますし、実際に行けばこの通り生えています。ただ、探索の時間も有限ですので怪しい場所全てを見て回る訳にも行かず、生育していても水が少なく局所的だし、生育数も少ないし、そもそも無駄骨になる可能性も高いし…

 …というのが瀬戸内の自生地の特徴です。

 

 だから知識があれば予め場所を絞り込みやすく、大規模な湧水湿地もある京都や奈良、三重にばかり行って、兵庫はあまり行く人がいないのかな…という感じを少し感じる自生地でした。

 勿論普通の湧水湿地もありますけど、瀬戸内は水が少なく平野も少ない。つまり、水が染み出すなだらかな湿地は真っ先に水田にため池に開発されます。大昔からの土地利用の事情的にもこの辺りには湿地が少ない…と言えます。

 そういう意味でもなかなか(大規模な)湧水湿地というのは見つかりません(-_-;)

 

 上記のイシモチソウの生育地とはまた少し離れたところではトウカイコモウセンゴケが見られました。

 

 

コモウセンゴケの血が入っているため乾燥にもある程度適応する。

 

登山道脇に生えていました。

こんなもん行ってみないと生えているかなんて分かりません(-_-;)

 

また少し離れた場所

水分条件がやや良く、登山道のものより立派

 

 トウカイコモウセンゴケはモウセンゴケとコモウセンゴケの雑種起源の種と言われている通り、適応環境が広く良く繁殖し、広範囲に広がっております。

 家で育てていてもあっという間に増えるので良くわかりますね(-_-;)

 

 ■とある公園

 次はとある公園横。

 昔はめちゃくちゃ生えていたそうですが、市の管理者が工事をしてしまい数が減少してしまいました。

 この市は糞だそうで、環境保全のかの字もないそうです。

 綺麗に整備され、住民の憩いの場としては素晴らしいのですが…。

 

芝生や法面にポツポツと。

公園が整備される前はもっとたくさんあったらしい(-_-;)

 

やや乾燥地だとコモウセンゴケに近い形となる。

 

水分条件が良いとモウセンゴケの様な形となる。

 

池のほとり

以前は法面の染み出しから池まで生育していたが、歩道によって区切られてしまい

、水分条件の良い池の傍にだけ残った。

 

同じくイシモチソウ

 

草刈り業者が全て刈ってしまうためイシモチソウの背丈は低い

放置されて被圧で絶えてしまうよりはマシ…?

 

同じ公園内だけどまた別の場所のモウセンゴケ

ただのモウセンゴケは本日初ですな

 

ここまで立ち上がるとトウカイコモウセンゴケとの判別は簡単

 

案外乾燥しても耐える

 

どうしても後ろの雑草に焦点が合うので手を入れた(-_-;)

 

 ■とある湧水湿地

 最後は湧水湿地。

 自生地に正しいも間違いもないのですけども、日本の近畿~東海の食虫植物の自生地として一般的なのはこういった場所なのかなぁと。

 上記もしましたが、こんななだらかで植生も貧弱で、水が豊富な場所は瀬戸内では貴重です。別に瀬戸内だけで貴重なわけではなく、全国的に減少してますけど。

 昔の農家なら水田かため池にしちゃうでしょうね。

 

 一部水草や一時的水域を生息域とする生物は水田やため池、(自然度の高い)水路になっても生き永らえますが、食虫植物はそういった場所では大抵生育出来ません。せいぜい水の染み出し口の法面に残る程度でしょうか。

 法面に食虫植物が多いのは、そういった開発された後の生き残りなんでしょう。

 法面でかろうじて生き残ったために農薬の影響を受けず、水田が放棄されても地味に残っている…というメリットもあったのかもしれないですけど。

 

 因みに法面では生き残れないナガバノイシモチソウは三重から絶滅しました。

 ナガバノイシモチソウは限りなく平坦に近く、日当たりが超良い湧水湿地でしか生育出来ません。

 そんな場所は三重(伊勢湾周辺)からは消滅してしまいました。農薬の影響もありますけど。

 因みに法面が好きなコモウセンゴケはまだまだたくさん見られます(それでも減ってますけど)。

 

 モウセンゴケの仲間は埋土種子として結構耐えるそうなので、以前生育していた場所の泥をとってきたら復活するんじゃないかと思っているのですが…。

 そもそも私ナガバノイシモチソウの栽培めっちゃ苦手なので(-_-;)

 毎年集会で滋賀のS田さんから種子を購入するのですが、一切うちでは育ちません。あれはめちゃくちゃ(我が家では)難しい。

 真夏に朝から晩まで直射日光を遮るものがなく、めちゃくちゃ暑く、湿度が上がる場所でないとナガバノイシモチソウは栽培出来ない気がします。我が家はとにかく湿度が低すぎる(-_-;)

 

これぞ食虫植物の自生地ともいえる?湧水湿地。

夏はミミカキグサ系やサギソウもたくさん生えそう

 

びっしり生えるトウカイコモウセンゴケ

 

これだけ水没しても普通に生育する

すごい

 

…まぁ、一般的なトウカイコモウセンゴケはこんな感じ…?

 

一面イシモチソウでびっしり…のように見えてここの区画にしか生育していなかった(-_-;)

 

ここも草刈りされているようで背丈が低い

 

モウセンゴケもたくさん

流石湧水湿地

 

モウセンゴケはまだつぼみを出さないよう

 

セトウチサンショウウオの幼生

 

ヒキガエルのオタマ

 

 局所的な自生地ばかりでしたが、最後にきちんとした(?)自生地を見つけられて良かったなぁと。

 

 サンショウウオの幼生も参謀長さんと行った後も何度か仕事でも関わっていますが、確実に私の中でレベルアップした感じがするなぁと思いました。

 …今回は成体を見つけられなかったのですけど。

 ちょっと林床が乾燥しており、隠れ家も少なく、居そうな場所を絞り切れなかった…(-_-;)

 

 まぁ、まぁ!今回は食虫植物メインだったので!本気出してないんですけどね!

 また仕事と来年の早春頑張りますよ!!

 

 ということで、今回自生地探索の記事は以上になります。

 大阪屋さん、シネフィーさんもありがとうございました。お疲れ様でした。

 

 

 

 ■オマケ:全国食虫植物ネット飲み会

 この日の夜、Twitterにいる食虫植物のマニアでネット飲み会が開催されることに。

 私は家に家族がいるため参加できないと思っていたのですが、家族が早々に寝てしまったため途中参加することにしました。

 最初はスカイプでやっていたそうですが、トラブル(?)が多発したそうで、私が参加する頃にはZOOMでの飲み会になっていました。

 

 参加したのは結局合計11人ほど…?途中で抜けた方もいるようで全員把握していませんが、結構盛況で私も関西で普段から顔を合わせる人から、東京行かないと会わない人、顔を合わせるのは初めての方、と食虫植物談義をして楽しかったです。

 私が参加した頃ぐらいからはムシトリスミレの話がメインでした。シベリアの自生地やヨーロピアンピンギの話など知らないことばかりで非常に興味深かったです。

 会長と実際に飲みに行くと下世話な話ばかりであまり食虫植物の話しませんからね…(笑)

 

 元々酒がかなり入っていて、ジュースのように日本酒を煽っていたため関西人特有の喋りで煩かったと思うのですが、申し訳ございませんm(__)m

 幹事のぷ―太郎さんはありがとうございました。

 

 第2回も早々に開催されそうで…。雰囲気的にGWにはやりそう。

 また機会があれば参加したいです。