現地では絶滅危惧種、ネペンテス クリペアタ(Nepenthes clipeata)! | もなのブログ

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 ボルネオ島(というよりインドネシア側になるのでカリマンタン島)のケラム山固有のウツボカズラ。

 ウツボカズラの難物と言えば主に標高2,000m以上に生育するいわゆる高山性種なのですが、低地性種や中高山性種の中にも独特の癖があり、難物と言われる種がいます。

 そんな、標高的にはそれほど特徴的でなく、日本で栽培しやすい筈なのに癖があって大きく出来る人が少ない種の1つがコイツです。

 

 流石に兵庫県立フラワーセンターには見事な株があります。私より年上の株で、30年前の写真に土居さんと一緒に写っていました。

 フラワーセンター内の株同士でもシブクロスを行っており、実績的にも世界トップレベルです。

 

世界でもここまで立派なクリペアタはほとんどない。

 

 クリペアタ含む、標高が800~1500mに生育するいわゆるintermediaタイプの種は暑さにも寒さにも耐えてくれます。が、逆に言えば暑さにも寒さにもそれほど強くないとも言え、通常管理だと痛めてしまいます。

 

2018年9月

雑草だらけ(-_-;)

実が熟すと弾けるのでめちゃくちゃ増える。

 

 注文メールを遡ると2018年7月に購入しているので、それから2か月経った株。暑さに弱い(といっても高山性ネペンテスほどではないですが)と聞いたので二重鉢にしています。

  元々はY's Exoticsさんから12,000円ぐらいで売っていた実生苗です。

 

2018年11月

 

 

2018年12月

 

 植え替えていないので鉢の大きさから冬までにどれくらいでかくなったかが分かります。成長が早く、この頃から、ん?と思い始めていました。

 

2019年2月

明らかに巨大化してきている。

 

 ここまで成長が早いのは変なので、少し交雑を疑いました。

 実生苗は交雑の可能性があるのですが、この種はインドネシアで保護されており自生地の種を輸入できません。通常販売されるのは規制される前に採取された大昔の種子のクローンなのですが、こいつは実生ということで、どこかの農園の栽培品同同士を掛け合わされたシブクロスの様です。なので交雑とは考えにくいのですが…。

 

 そもそもクリぺは一般的に栽培が簡単になると言われる交配種でも扱いずらい一面があり、私も一度クリぺの交配種を一切成長させられずに枯らしたことがあります。

 毛深く、盾型の葉で葉の途中から袋のひも(?)が出ているため非常にクリぺの特徴が強く、交雑していたとしても大昔に何か取り込んだ、レベルのことしか言えませんが…。

 土居さんいわく、ピッチャーの色が赤い、地面を這うように伸びず上に立ち上がるなどの特徴を持つクリぺは過去にレインワルドシアナなどを取り込んだ可能性があるということです。

 私は原種(あるいはシブクロス)スキーですが、多種と交雑しやすい植物でそんなこと言い出すとキリがありません。

 今ではとにかく成長がめちゃくちゃ速い当たり株を引いたと思っています。

 

 ついでにですが、主にクローンで増やされている遺伝子的に同一の種でも、株によって成長速度や育てやすさが全然違ったりします。恐らくホルモンの影響なのでしょうけど…。

 ひたすら脇芽が出て頂芽まで分裂するような場合はホルモンが悪影響を与えているハズレ株の可能性があります。勿論育て方がそもそも悪いこともあるでしょうけども。

 一度買って全く育たず枯らせてしまっても、同じもの次に買うとこの間の何だったんだ…。てな具合に何の問題もなく育つ場合も多いです。

 N.rajahとかその最たるものだと思いますけどね(-_-;)

 なので、一度枯らしても諦めずに何度もチャレンジしてくださいね!

 

2019年3月

非常にクリぺらしいピッチャー。まだ小さい。

 

 

2019年4月

暖かくなってきたので屋外へ。

 

2019年6月

根部は特に通気を好むので5号平鉢に植え替え。

 

2019年7月

まぁ、1月じゃあんまり差は分からないね。

 

2019年9月

二重鉢もせず屋外放置して傷んだクリぺ…

 

傷んだとはいえ非常に立派なピッチャー

 

2019年10月

流石に真夏屋外放置は厳しかったか…(-_-;)

 

 2018年は二重鉢にして過保護だったのに、その成長スピードから屋外そのまま放置になって管理がぞんざいになっていますね(-_-;)

 夏の間に鉢を3号の素焼き→5号の平鉢に植え替えました。私は植え替えが苦手なのですがそれでも伸び続けています(流石に真夏は止まった)。

 脇芽も出てきて、挿し木にしようかなとも思ったのですが、土居さん&れおんさんいわく、クリぺアタはブッシュ状に育つ種なのでもさもさに立派にしたければ主茎を切り飛ばし脇芽に栄養行かせたら良いよ、とのこと。

 しかし主茎を切り飛ばすなんて勇気も出ず、だらだらと管理していたのですが…

 

2020年1月

真夏のダメージ&密閉空間にぎゅうぎゅうに入れられボロボロ…(´;ω;`)

 

2020年1月中旬

実は主茎の新芽を折っちゃっています。

 

 傷んでいますが、まぁまぁ大きくなったので集会の展示に持って行ったところ帰りに主茎の新芽がポキリ。

 祟り目に弱り目、泣きっ面に蜂です…。いや、災い転じて福となす、ですか?

 取り合えず主茎は折れちゃいましたが、折れた新芽の根元から次の新芽は出てきていますし、脇芽にも期待していたのですが…

 

2020年1月末

!?

 

2020年1月末

明らかに今までのとはサイズが違う。

 

 新芽折ってしまったのにリーフジャンプかい!

 ちょっと予定とは違うサイズの新芽が主茎から展開しました。脇芽もかなりハイスピードで伸びております。どないこっちゃねん。

 記事を遡って頂いて、傍に置いてある三角定規と比較すればどれだけでかくなったかが良く分かりますね。

 

2020年3月

夏場の痛みをまだ引きづっております(-_-;)

今年は気を付けよう…

 

新芽がえらいこっちゃ

 

この前蓋をポロリしてしまった(´;ω;`)

めちゃくちゃ立派なピッチャー

 

 クリペアタの栽培においてはとにかく通気を良くとと言います。

 そこまで高い標高に生えている訳ではないクリぺですが、根部の過湿を大いに嫌うため、その辺の特性の独特さがクリペアタ=難しい、という評判になったのでしょうか。

 

 が、我が家では真冬だけですが衣装ケースの密閉環境で育てています。通気なんて0です。クリペアタどころかウツボカズラ栽培でも非常識!そんなんだと一瞬で腐りそうなものですが一応上の通り今までは上手くいっています。

 個人的には密閉空間は確かに潅水のタイミングが難しいのですが、クリぺの様な根部の多湿を特に嫌う種は、ドライアウトがしにくいためとにかく放置して放置して用土がガピがピに乾燥したら水遣り…、で何とかなっています。多分クリペアタという種的にもそんな潅水方法が一番合っているのでしょう。

 

 なので私は逆に密閉空間で比較的用土の乾燥を嫌う種をよく枯らします。用土の乾燥を嫌う種、特にアンプラリアですが、クリぺのように放置するとドライアウトし、だからといって潅水頻度が少し多いと密閉空間で一発で腐ります(´;ω;`)

 

 密閉容器栽培下での水遣りは1ミスで腐ります。そういう点ではカリカリまで放置して水をやれるクリぺは楽かもしれません。

 

 

 標高800mほどのケラム山の山頂に生えていることから、ボルネオに行った経験上ベスト気温は25℃程度だと思っています。

 暑すぎず、寒すぎずがちょうど良いんでしょうね。

 

 …次は第100回関西記念集会でばらまかれた国内シブクロスの貴重極まりない実生のクリぺ。

 こっちはクリぺらしい成長の遅さ。

 

2019年10月

夏はフツーに乗り切った

 

2020年2月

…まぁ、大きくはなってるかな…?(-_-;)

 

 うん、私の技術がすごいのではなく、ただ株が当たりなだけだったみたいですね。

 こういうのは放置に限ります。いつか改めて昔の写真と比べてみたら実は大きくなってた!というのが理想です…。

 とはいえ急に成長が爆発する例もありますし、様子を見ながら頑張りたいと思います。