建仁寺法堂の天井画 | 温室メロンの備忘録

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もう京都の寺を観光することはないだろうと思っていたが、実際に見学してみると多くの学びがあった。受け止める側の力量も重要なのだと、学生時代の自分の感性の程度を振り返る。

建仁寺


祇園から程近い場所にある建仁寺。平安神宮も巨大だったが、こちらの境内も広い。開山は栄西禅師によるもので、臨済宗の総本山なのだそう。


法堂


辰年なので拝観される方も多いとのこと。



天井画の双龍図が想像以上に素晴らしい。制作年が2002年ということにも驚いた。


小泉淳作「双龍図」2002



2002年の作品が、由緒正しい寺の天井画に使われているのか。まるでケルン大聖堂の、リヒターのステンドグラスではないか。


建物に入ると、まずは国宝の風神雷神図の屏風が展示されていた。


俵屋宗達「風神雷神図」江戸時代


寺は時が止まった場所だと思っていた。決して悪い意味ではなく、「拠り所」は普遍なものだとの理解。今回こちら建仁寺を参詣し、ただの先入観だったと強く自省する機会になった。


ちなみに本作品は、Canonの綴プロジェクトによる高精細複製画だったと、これを書きながら知る。


◯△⬜︎乃庭(まるさんかくしかくの庭)


庭の名前がコンテンポラリー。あらゆる物を構成する四大元素であるとされた、地水火風を表現した庭なのだそう。


真ん中の円形が水、左側に四角の井戸、右の尖った盛り砂が火を。風は散りゆく花びらか?



掛け軸も。丸が水、三角が火、四角が地の意。いずれにしても驚きの連続だ。


方丈には襖絵が。ここでも「時空に囚われるな」と迫ってくる。


海北友松「雲龍図 襖絵」桃山時代



本作品も綴プロジェクトによる寄贈。


田村月樵「唐子遊戯図」明治時代


鳥羽美花「凪」2014


鳥羽美花「舟出」2014


異なる時代の襖絵なので、全体の調和や統一感はない。ただこれこそが、寺社のあるべき姿なのかもしれない。


潮音庭(ちょうおんてい)


小書院と大書院の間には苔生す庭が。


複製画から現代作家の作品など、様々なアップデートを目にし、寺社も現代を生きているのだと実感する。


六波羅蜜寺


東京国立博物館の展覧会に訪問できず、見学し損ねていた空也上人像を見ておきたい。



(出典: 六波羅蜜寺HP https://rokuhara.or.jp)


口から出る6体の阿弥陀如来に、南無阿弥陀仏の文字は書かれていなかった。言葉が阿弥陀如来となったとのこと。