欧米や諸外国で古くから行なわれている、重症にきびの治療がイソトレチノイン内服です。
商品名はアキュタンやロアキュタンといった名前で知られています。
この治療法は現在行なわれているにきび治療の中で最も有効性の高い治療です。しかし使用に伴う
副作用も数多く(肝機能悪化、中性脂肪の増加、精神症状の発現etc)、毎月の血液検査が必須の
治療です。(ステロイド内服に近い薬物といえるかもしれません) また妊娠可能な女性は必ず
複数の避妊法を併用しなければなりません。総じてイソトレチノインは諸刃の刃のような薬剤です。
私自身もかつてはこの治療を実施し、副作用をコントロールしながら治療を行なっていました。
治療効果は確かに素晴らしいものがあったのですが、治療プログラムに入る事なく断念される方が
多かった事や(やはり副作用のリスクの大きさが敬遠される大きな理由と思います)、短期的な
再発が皆無とはいえなかった理由等を総合的に検証し、自分自身の治療メニューからは除外しました。
日本で治療を行なっている施設は知る限り数施設しかありません。リスクと恩恵のバランスにおいて
非常に考えさせられた薬剤です。
なお、イソトレチノインを患者さんご本人がインターネットを通じて個人輸入している事例が
あるのですが、どうかこのような行為はくれぐれも自重下さい。(バイアグラやシアリスといった
ED薬も含め、ネット上の大半の薬剤は偽物です。)
福田