中国ドラマ 国色芳華  | 明日は明日の風が吹く  ~多発性筋炎の毎日~

中国ドラマ 国色芳華 

 

2025 全32話

原題:国色芳华

英題 Flourished Peony

何惟芳…杨紫(ヤン・ズー)
蒋長揚…李现 (リー・シエン)
劉暢…魏哲鸣 (ウェイ・ジャーミン)
李幼貞…张雅钦
宁王…涂松岩
朱福…管乐
蕭雪溪…许龄月
皇甫令歌…沈梦辰
李荇…佟梦实

 

この二人を見るとあのドラマを思い出す人も

多いのでは?

 

そう、Go!Go!シンデレラは片想い。

今でも大好きなドラマで何回も視聴してます。

 

 

なので、このドラマは絶対見たかった。

 

 

 

 

 

このドラマは唐の時代を舞台に、牡丹の栽培を手掛け始めてから

世の中を収めるまでに成長した女性のレジェンドなストーリーを描く。

 

商家の娘である何惟芳(ヤン・ズー演)が、長安の「花鳥の使ひ」で

ある蒋長揚(リー・シエン演)に支えられて、単なる利益の交換だった

結婚から身銭を捨てて旅立つ。

 

2人は京の都で再会し、何惟芳は牡丹栽培のたぐいまれな才能と

優秀なビジネスの才覚で、蒋長揚とともに職人と投資家を結び付ける。

牡丹栽培から出発し、波乱万丈の人生をゆく女性たちを率いて花屋を

経営し、名を挙げていく。

そして、悪名を背負った「花鳥の使ひ」が実は純情で、才能を

隠しながら世界をにらんでいることに気づき始める。

貧しく学ぶ者や苦しい生活をする庶民を見た何惟芳は、世のために

尽くす仕事をすると決意する。

国に尽くそうとする蒋長揚をしばしば傍らで支えるうちに、2人の間に

恋愛感情が芽生える。

九死に一生という経験を経て、ともに反乱を平定し、世間から退いてゆく。

 

 

 

ドラマは唐の時代を物語の背景として描いており、当時のすばらしさを

全面的に表現し、栄えて賑わった様子を再現しようとしている。

制作スタッフは準備の段階で中国社会科学院歴史研究所とタッグを組み、

各地を調査し、唐の歴史研究家や牡丹の専門家20人以上を尋ね、

牡丹の栽培や文化、関連産業、唐の時代の習わしや文化、暮らしぶり、

建物や樹木など、当時の文化や牡丹について十分に研究した。

 

 

 

また役者のスタイルについて、鮮明で念入りなカラーコーディネートに

より当時の美的感覚が上手に表現されている。

服装は独特なスタイルで、牡丹やハスなど縁起のいい絵が描かれた

様々な花柄模様が縫い込まれて、それぞれに意味合いや身分が

示されている。

また細やかな刺繍や美しい帯、華麗な被り物など、細かい所も

入念であり、それぞれが昔の文化人の優雅で高貴な姿を醸しだしている。

髪飾りも絶妙の造りで、宝石まで添えられており、一段と華麗な

ムードを漂わせている。

 

 

      何惟芳(杨紫 飾)

 

牡丹こと何惟芳(杨紫 飾)が大量の嫁荷と共に劉家に嫁いでくる

ところから物語は始まる。

何惟芳は薬を生業とする商家の出身。

官僚である劉家とは家柄が釣り合わず、新夫の劉暢(魏哲鸣 飾)は

押し付けられた結婚に反発し、

 

「名誉ある官位と高い地位を維持してきた。

 愛する人と結婚できなくても、少なくとも正式な貴族階級

 の高貴な女性と結婚すべきだ!!」

 

「商人の娘はうけつけない。人生最大の侮辱だ!」

 

と結婚式の日に言い残し、妻の部屋を訪れようともしない。

 

嫁荷は知らないうちに売り払われ、家の外に出ることも許されず、

義母に挨拶に向かえば

「夫に従い家に従うのが妻の役目」

と散々説教された挙句侍女のアクセサリーさえ取り上げらえて

しまう始末。

 

 

とにかく序盤の牡丹がとても気の毒。

嫁ぎ先での意地悪は他のドラマでもよくみかけるけれど、

「貞女であれ」を表向きの理由にしながら傍若無人な劉家の

人たちに腹が立つし、清廉潔白ではあるけど世間知らずな夫は

妻が何故離婚を切り出すのか理解できない。

籠の鳥状態で全てを耐える主人公には同情するしかない。

その上この辺りの展開はとても速いので女主が気に入るかどうか、

考える前に話が進んでいく。

 

 

 

 

百度百科によると男主の官職・花鳥使は唐・玄宗の時代に

本当にあった役職らしく、ドラマで触れられている通り、

皇帝の為に全国の美女を集めてくるという役割だったらしい。

ドラマの中の花鳥使・蔣長揚は美女集めを隠れ蓑に、汚職に

まみれる高官たちの尻尾をつかみ朝廷を浄化するために働いている。

 

実際の花鳥使はかなり強引に、身分や既婚・未婚を問わず女性を

集めたらしい。

唐代の詩人・元稹の「和李校書新題楽府十二首·上陽白発人」という

詩には花鳥使に強引に宮廷に連れ去られた女性が、夫や娘にも

会えないまま後宮に閉じ込められ生涯を終えざるを得ない哀しみが

描かれている。

ちなみにドラマの中には玄宗皇帝も登場する。

楊貴妃に溺れる前の若くて有能な皇帝だ。

 

 

いろいろあって身一つで婚家を逃げ出した牡丹は蔣長揚からの

出資を受け、母から教えられた牡丹栽培の技術で身を起こすこと

になる。

 

中文版Wikiによれば牡丹が「花の王」と称えられるようになった

のは唐代からで、女主のいた洛陽は牡丹の一大産地らしい。

ドラマの中で主人公があっさり沢山の牡丹の花を咲かせている

のを見て、ここだけはちょっと嘘っぽいと思ったけれど、牡丹を

土窯の中で温めて冬に咲かせる技術は古くからあったそうで、

あながち嘘ということでもないようだ。

ドラマの中で牡丹の花の話をしているのに「芍薬(シャクヤク)」

という言葉が出てきて、あれ?と思ったけれど、唐代以前は芍薬と

牡丹の区別はされていなかったらしい。

牡丹は「木芍薬」芍薬は「火芍薬」と呼ばれていたのだとか。

花もよく似ているし、そもそも牡丹も芍薬科だしなあ。

 

ドラマはかなり忠実に唐代のあれこれを再現しているらしい

(衣装についてはちょっといろいろあったけど)。

登場人物の造型は皆美しく、俳優さんたちに良く似合っている。

予算少な目ドラマが多い芒果TVにしては頑張っているなあ、という印象だ。

 

 

 

 

牡丹は屋台から始めやがて大きな花店を経営するまでなるが、

その花店には女ゆえのハンデに苦しむ女性たちが集まることに

なる。

浮気性の夫から日々暴力と虐待を受けている五娘、医学の路に

進みたいが女ゆえに医師の弟子になれない呂耕春。

牡丹もかつての婚家と公主からは命を狙われ続け、元夫からは

復縁を迫られ続ける。

 

「家にあっては父兄に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従う」

 

という所謂「三従」の道徳観を信じる人たちの考えを覆すのは

難しい。

どんな夫でも逆らう女性が悪であり、年頃を過ぎて結婚しない

のも悪、独立して商売するなどもってのほか。

 

こうした三従を正しいと考える人たちからどうやって

「自由と独立」を勝ち取るか、がドラマのテーマだ。

牡丹のやり方は必ずしも正攻法ではなく奸計を巡らしたり、

それなりに汚い手も使う。

バリバリの復讐というより「対面より実を取る」感が強く、

その辺りがこの古装劇の現代的なテイストなのだと思う。

花店の経営でもこうした問題は立ち塞がるけれど、その場合の

牡丹のやり方は割と女性らしい、というか女性経営者が

とりそうな柔らかさと厳しさを混ぜ合わせた手法で、やっぱり

現代的。

 

 

公主・李幼貞はドラマのオリジナルキャラクターだそうだが、

彼女の存在がボタンに対する劉家の敵意や、元夫・劉暢の

身勝手さを浮き彫りにしてくれる。

望まぬ結婚と死別を経て、純真な少女から権力を振りかざす

悪女と化した公主だけれど、前回の結婚でそうならざるを

得ない事情があったのかもしれない。

演じる张雅钦は「古相思曲」「少年游之一寸相思」の女優さんで、

どちらの演技もとても印象的だった。

 

 

 

元夫の劉暢は成年になっても出仕もしない読書人。

親の言う通りの人生は歩みたくないが、プライドの高さゆえに

離婚という恥もかきたくない。

牡丹のことを好き、というより自分のものが人手に渡るのは

おかしい、と考えているみたいだ。

牡丹を守ると言っても具体的な手段は考えておらず、彼女を

殺害しようとする両親を止めることもできない。

このどうしようもない男を魏哲鸣は絶妙に演じている。

 

 

 

長安に来てからの最初の友人になる秦五娘(邵芸 飾)は切ない

キャラクターだ。

夫の暴力と浮気に耐えていたのは、実家が夫の援助を当てに

して暮らしているからで、病気がちな弟の為でもある。

離婚し「勝意」と名前も変えて生きなおそうとするも、家族や

古典的道徳観の頸木からなかなか逃れることができない。

「私とあなたとは違う」「自分が嫌い」と訴える彼女の姿には

胸が痛む。

 

どのキャラクターも非常に丁寧に描かれており、丁寧な美術や

衣装のお仕事と併せて、とても美しい世界を描き出していると思う。

 

 

ちなみに今回は1季ということで続きがある。

続きは1年後という記事も読んだけど本当かは分からない。

 

続きがとっても楽しみです。

素敵なドラマに出会えてよかったです。