前回の続きです。

脂質を先行的に摂取した時、私たちの消化器官は、エネルギー比の高い脂質の吸収を抑えるために、十二指腸から『消化管抑制ポリペプチド』を分泌させ、胃酸の分泌を抑制し、消化吸収を遅延させることで、余剰なエネルギーを吸収しないようにさせます。
これは、満腹刺激となって食欲を抑制させる反応を起こします。(脂肪食が腹持ちがよいのもこのせいでしょうね)

で、この消化を遅延させるという作用が、後発摂取の糖質吸収にも働いて、急激な糖質吸収を阻害、つまりは、30分から1時間で訪れるはずの血糖値のピークは低めに、だけど消化活動が遅い分、2時間値も糖質をちまちま吸収しているため下がりにくい、となるのでは?と前回述べました。

で、ここからは今日の話で、
この『消化管抑制ポリペプチド』。二種あります。

この話のキーマン『グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド GIP』
と、
『グルカゴン様ペプチド1 GLP-1』

GIPは十二指腸のK細胞から、GLP-1は小腸のL細胞から分泌されます。

総称して『インクレチン』と呼ばれています。
…………………









そうなんです。近年開発されたDPP4阻害薬。インクレチンを分解するDPP4を邪魔して、インクレチンが長く作用できるようにする。
あのインクレチンが『消化管ホルモン』なんです。

グルコースの刺激によって分泌されるインクレチンですが、先に述べたように、脂肪摂取にも反応して分泌されます。
作用は、先に述べたように消化管抑制によるエネルギー吸収の遅延。
そして、名のとおり、グルコース依存による初期のインスリン分泌促進です。

まあ、このインクレチン、半減期が5分と短いため、DPP4酵素を阻害しないと十分には働けないのですが、あくまでDPP4阻害薬の対象はインクレチンのGLP-1に対してであります。

今回の話は、インクレチンの、GIPのほうですから、DPP4の話はここまでにしておきます。

でも、少しだけ見えてきたのかもしれない脂質摂取後の糖質摂取では、吸収が遅延するだけでなく、摂取カーボ量に見合わず、血糖値ピークがやけに低くなる、ことがある事実でして。


説を混同した自分勝手にすぎないかもしれない私の話ですが、もうしばしお付き合いいただければ幸いですm(__)m

次回に続く。