プロローグからギフトを経てリプレイまで、ずっと「いつか終わる夢」を演じ続けてきた羽生さん。

 

あの深い孤独と絶望の「いつか終わる夢」が

 

後半で「いつか終わる夢Re 」によって

 

明るく温かいもに書き換えられて良かったなと思っていますて

それにしても前半の闇全開のど迫力に圧倒されたけれども

 

あれを演じたくて

 

ダンスやファッション系の写真などの分野で、新しい挑戦をしてきたんだろうなあ。

 

それが見事に開花しましたね。

 

さすが五輪2連覇GOAT

 

闇の表現させても他の追随を許さないぐらい

 

ぶっちぎりですごいです。

 

 

でもそこが目的地ではなく

 

そこを経ての

 

ハク様であり、天と地のレクイエムであり、春よ来いであったわけで

 

前半の闇の世界の表現という重石があるからこそ

 

後半で捧げる天界の祈りや慈愛の表現が深まったと思っています。

 

美しいだけの表現てともすれば浅薄になったり浮いてしまいがちだけれども

 

前半で究極の悪の世界を体験しそれを共有するからこそ

 

後半の祈りにも、人の感情を揺さぶるほどのパワーというか

 

浄化の力が出てくるんだなと感じました。

 

 

正直、GIFTまでは競技時代の羽生さんの総括であり

 

どこか私小説に近いものがあったけれども

 

今回の作品に関しては

 

羽生さんはこの登場人物は自分ではなく架空の人物だとはっきり区別していますよね。

 

もちろん、内容的にはギフトからの流れの中にあり

 

まだ本人の中でも区別がつけられない面もあると思いますが

 

これは創作の世界の話であると明言することができたということで

 

羽生結弦はやっと一人前の表現者として歩き始めたんだなと感じました。

 

 

さて

 

いろんな解釈がSNSを飛び交っていますけれども

 

私的にはもう

 

色々わかりみすぎて

 

大満足すぎて

 

解釈して頭を色々働かせるよりも

 

まだまだ浸っていたい世界観です。

 

今日もこれからディレイビューイングに行きます。

 

 

ただ冒頭の「鶏と蛇と豚」(椎名林檎)は強烈なインパクトでしたし

 

その意味をこちらの記事が解説してくれていますので参考までにどうぞ。

 

 

羽生さんは自分の苦しみを内観して

 

仏教で言うところの貪瞋痴の三毒こそがその原因であったと悟ったんだなと

 

個人的には思いました。

 

羽生さんが安らかなお顔で「春よ来い」を演じることができたのも

 

なんか久しぶりのような気がします。

 

そして曲の中で手を差し伸べて何かを掴み取ろうとしない羽生さんを見たのも

 

これが初めてだった気がします。

 

彼は自分のの中の不足感が欲によるものだと気づいたんでしょうね。

 

ANAさんのインタビューでも自分を

 

貪欲

 

と分析していましたから。

 

貪欲は向上心にもつながるので悪いものとは思わないけれども

 

実はどんな欲でも同じなんですよね

 

求め続けてもキリがない。

 

必要以上に求めれば

 

誰かの命(チャンス)を奪ってそれを食らうことになるんですよ

 

足るを知るということ

 

もし羽生さんが最後に行き着いた先がそこだったとするなら

 

私は嬉しいような

 

寂しいような

 

複雑な気持ちです。

 

よくも悪くもそれが彼の優れた本質でもあり

 

あの勝利への貪欲さがなければ

 

彼が五輪2連覇のGOATになることもなかったでしょうから。

 

でもきっと

 

その先にはもはや彼の幸せはないのだろうと

 

私も感じています。

 

戦いに勝利するとは他の誰かの命を犠牲にすること

 

人の命を食らって生きることの先にあるのは

 

全てを破壊し尽くしても自らのエゴを通す

 

今のイスラエルのような姿でしかないでしょうから。

 

 

後半で

 

全ての命、生きとし生けるものを慈しむことを選んだ彼は

 

深い水底に沈んで行きながら

 

神様に問いかけます

 

設定もない

 

選択肢もない中で

 

どうやって生きたらいいのかと

 

確かにお前は自由だと言われても

 

人ははじめ戸惑うよね

 

そこらへんは羽生さん的にはこれからの課題なんだろうな

 

と感じました。

 

ともあれ

 

破滅へとしか向かうことのない世界線がセーブされなかったことで

 

やり直しの新たな世界線が生まれたわけで

 

そこで彼は

 

穏やかな顔で

 

ハク様

 

天と地のレクイエム

 

春よ来い

 

を滑りました。

 

わずかな光を頼りに

 

生き続ける

 

祈り続ける

 

そのことを選択した後半

 

あの境地に至れた羽生さんを

 

私は嬉しく思っています。

 

リプレイの中の羽生結弦が祈りの人であることを選んだ

 

その先には

 

きっと素晴らしい世界が待っていると思うから。

 

 

ということで、これから映画館へ行ってきます!