先日のフィギュアスケートTVの映像が加わって、Originの全容がほぼ見えてきましたね。

 

本当に惚れ惚れするようなプログラムだし、惚れ惚れするようなスケーティングですねえ。

 

これだけ難しいエレメンツを入れ、つなぎもてんこ盛りにしながら、全てをやすやすとこなすなんて、まさに名人芸であり、ヴィルトゥオーゾの領域に入ってきてるなあと感嘆するばかりです。

 

足元をアップにしてくれている映像を見ると、ザーッと流れるスケーティングの勢いというかスピード感、力強さ、エッジワークの巧みさ揺るぎなさがよく伝わってきます。

 

2016年までは、まだ羽生選手の中で比重はジャンプにあって、スケーティングにはここまでの力強さはなかったかなと思います。けれどもオーサーコーチと喧嘩しつつループを入れ、かつ体力強化とスケーティングやステップの部分に取り組んだ2016/17年のシーズンあたりから、彼は本当に別物になったなと感じます。

 

今年はさらに、上半身も大きく使いつつ、4分に縮められたプログラムの時間を目一杯使いながら息一つ上げずギュンギュン滑っているところを見ると、この人はどこまで進化するんだろうと目をみはるばかりです。

 

正真正銘、どこから見てもツッコミどころのない王者になったなと感じます。

 

プルシェンコは「ニジンスキーに捧ぐ」において、不世出のバレエダンサーであるニジンスキーの代表作品のポーズを随所に散りばめこのプログラムを作り上げました。

 

けれども羽生選手の作品には、多くの皆さんも仰るように、ニジンスキー自身への直接的なオマージュはあまり感じられませんよね。

 

羽生選手がフィギュアスケートにのめり込むきっかけとなったのがこの曲だという意味で、プルシェンコへのオマージュはあるとしても、正直、それすらも感じるのは冒頭の部分のみ。あとはどんどん羽生色に染め上げられて、知らぬ間にすっかり羽生ワールドにはまり込んでいる感じです。

 

ヘランジありイナバウアーありハイドロありと、もはや「ベストオブプルシェンコ」ならぬ「ベストオブ羽生」と言ってもいいぐらい、彼を印象付けてきた振り付けがぶっこまれているし、むしろプルシェンコを原点として、ここまでの自分の歩みを総まとめした感じさえあって、もしかしたらこれは羽生結弦物語なのか?と感じます。

 

色々胸にこみ上げるものはあるけれど、4Aを完成しないうちには終われないでしょうし、その4Aはまだ未完成だそうですから、まだしばらくの猶予はありそうですね。(そうあってくれ)

 

それにしても今シーズンは、フリーがプル様への愛、ショートがジョニーへの愛、そしてエキシが故郷への愛と、愛がいっぱい詰まったシーズンになりました。

 

羽生選手がこれまでにも増して輝いているのが、私は何よりも嬉しいし、ファンにとっても今シーズンは格別のご褒美タイムなんだろうなと思います。