■製作
監督:溝口健二
脚本:八尋不二、依田義賢
製作:永田雅一
■主な出演
田中絹代、花柳喜章、香川京子、進藤英太郎
■あらすじ
平安時代末期、農民を救うために将軍に楯突いた平正氏が左遷された。妻の玉木、息子の厨子王、その妹の安寿は正氏に会いにいく途中で人買いに騙され離れ離れになってしまう。母は佐渡に、兄妹は丹後の山椒大夫という男に奴隷として売られる。お金も逃げるすべもない兄妹は、その後10年も奴隷としての生活を続けるが、ついに意を決して逃げ出すことにする。しかし、厨子王を先に逃がした安寿は拷問を逃れるため池に身を投げるのだった。
■感想
「母をたずねて三千里」ならば「最後にお母さんに会えて良かったね!」と素直に思えるのだが、これはそんな能天気なことは言えないなって思ってしまうほど、とにかく救いがない話。
原作である森鴎外の「山椒大夫」は読んだことないが「安寿と厨子王」なら子供の頃に家に本があって何回か読んだから、どう救いがないのかは観る前から分かっていたけど…
いやはや、ホントに、ねぇ〜。
子供心に「なんてかわいそうな一家なんだ!」と思ったもんなぁ。とくに安寿が弟・厨子王を逃がした後、入水するくだり。子供時代はそれが強烈で、物語の中で一番心にずっしりきた場面だったと記憶している。
ところで私が読んだのって安寿が姉で厨子王が弟だったんだけど、本作は逆なのね。厨子王が兄で安寿が妹。森鴎外の小説も、安寿が姉で厨子王が弟みたいだから、年齢的にちょうどいい俳優がいなかったのかね?それとも誰かを特に売り出したかったとか、そういう事情?
どっちでもいいけどね!
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平安時代末期。農民の窮乏を救うため、上官に楯突き左遷となった平正氏(清水将夫)。妻子(玉木(田中絹代)、厨子王(加藤雅彦)、安寿(榎並啓子))は女中(浪花千栄子)を伴って、正氏に会うための旅に出る。
だがその途中で、巫女(毛利菊江)に言葉巧みに騙され、母と子供二人は離れ離れに、女中は海に溺れて死んでしまった。
そこは、人を人とも思わない残酷な場所。二人は奴隷として朝から晩まで働かされる。
そんなある日、佐渡から来たという女の奴隷がやってくる。その女が口ずさむ歌の歌詞に「安寿と厨子王」という名前が…。
母が佐渡に渡り、遊女に身を落としたことを知った安寿は悲しみにくれる…。
厨子王、安寿、何処にいるの?
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劇中、全く救いがないとは思わないが、それにしても不幸にもほどがある。しかし調べてみると、オリジナルの「さんせい太夫」の方がずっと残酷だそうで、森鴎外が小説化するにあたって残酷な描写をことごとく切り捨てたのが、本作の原作「山椒大夫」らしい。
というわけで、これでもだいぶ希望があるようなのだが…。
ただ、昔からオチまで知っている話ゆえに心構えが無意識にできていたのか、不思議と翌日まで持ち越すような重苦しさを感じることはなかったです。
気になることといえば、厨子王ですね。少年時代はすっきりと凛々しさを感じたのに、成長したらずんぐりむっくりになっててね…。
見るからに日本人だなって感じではあるけれど、10年にも及ぶ奴隷生活にしては肉付きいいよなぁ〜ってね。
また安寿も、香川京子とは気づかなかったけど可愛かったです。
■お気に入りのキャラ
なし
■個人的評価
★★★★
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