私の中に

私の知らない誰かがいる!



■原題

The Three Faces of Eve



■制作

1957/1977

監督:ナタリー・ジョンソン



■主な出演

ジョアン・ウッドワード、デヴィッド・ウェイン、リー・J・コップ



■あらすじ

小さな地方都市の平凡で従順な主婦イブ・ホワイトは、突然の頭痛と記憶喪失に悩まされ、夫とともに大学病院の精神科を訪れる。



■感想

原作は、日本では1996年刊行の、1957年に発行されたアメリカの精神科医の著書「私という他人─多重人格の病理」。



多重人格(解離性同一性障害)というと、真っ先にビリー・ミリガンが浮かんでしまう。



昔、知人に借りたダニエル・キース著のノンフィクション小説「ビリー・ミリガンと23の棺」の主人公で、本の方は登場キャラクターの多さと(失礼かもしれないが)読んでいて吐き気を催して読破できなかったが、それだけ私に猛烈な印象を残した人物である…。



そのビリー・ミリガンが解離性同一性障害になったのは、実の父親からの性的虐待がキッカケだという。



虐待が終わるのを「自分は今、つらい目には遭っていない!」と現実逃避をしながら待っているうちに新たな人格が生まれてしまった、というような話だったと思う。



読破できなくても序盤に出てくるその部分は読んでいて知っていたので、本作の主人公イブの「解離性同一性障害になった原因」もかなりヘヴィな理由なんだろうと勘繰ってしまった。



……が。



イブの場合、幼い頃のある出来事が原因なのだが、新たに生まれた人格のアバズレ感の理由(なぜそんな言動なのか?)がミステリーともなっており、



まぁそこが映画の面白さなのかもしれないけど、逆にこちらも映画として色々期待してしまっている分、最後の最後でそれが明かされるものだから、正直「そんなことで…!」と肩透かしを食らった気になった。



とはいえ、実在した精神科医の著書がベースとなっているので、そんなことで別の人格が生まれてしまうなんて!と衝撃でもあった。



イブはメンタルが弱かったのだろうか?親から虐待を受けてこなかった身としては、余計に「ビリー・ミリガンのほうが悲惨!」と思えてしまうほど。



でも、イブの「二つ目の人格」の態度の理由、オチを知ると「なるほど!」という感じでビリー・ミリガンについてそれほど詳しくないから本作の方が身近というか、あり得そうな気がする。



そう考えると「三つ目の人格」が意味深すぎてちょっと怖いのだが、人間(或いは生物全般)の精神って色んな意味で計り知れないわぁ。



なんたって「脳と精神は密接な関係」にあり、脳がダメージを食らうと人格が変わるらしいのでね。解離性同一性障害も脳の問題なのだろうか?いや、変な意味ではなく、睡眠の質で脳の健康って変わるというし。



ともあれ、一応はハッピーエンドでした。ただ「それでいいのかい、イブ!」と訊きたくなるオチではある。つい「脳と精神の関係」について考えてしまいたくなるような、そんなモヤモヤが残るハッピーエンドです。



■お気に入りのキャラ

なし



■個人的評価

★★★



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