探りを入れるといっても

直接何か聞いたわけではない


聞けるような環境でもないし

なんとなく世間話程度に話そうとしても

気持ちが表に出そうだったので

そんな事が出来るわけもなく


それに話を聞いてると

その頃相手に付き合ってる人は

いなさそうな口ぶりだったから

そこは聞こうとも思わなかった


だからと言って

私の事をどう思ってるかなんて

聞けるわけもなく


本を返す時に

メモを一緒に渡した


実際にも感想を話したし

共有はしたんだけど

なんか相手の気持ちが嬉しくてね


好きでもない相手に

好きな本を読んでもらいたいとか

感想を共有したいとは

思わないでしょ?


だからそう思ってくれた

という事実に対してのお礼として


そしてそこに連絡先も書いた


渡す直前まで悩んだけど

どうしても貸すことにこだわった

相手の意図を図りかねて


超積極的な気持ちでしたわけではない


まだ出会って三ヶ月程度だったし

かなりリスキーだという事も

分かっていたし


でも次があるとも思ってなかったし

どういう反応をするのか

試したい気持ちにもなったので


実際のところ

相手はこのギブアンドテイクを

続けるつもりでいたみたいだったが


私の判断ミスだった


相手とどうにかなろうとも

思ってなかったし

相手が私に何か特別な感情を

抱くわけがないのだから

次を約束するなんて事はないに決まってる


そう思い込んでいた


あんなに怒ってたんだから

何もない訳ではないだろうから

何か反応があるかもとも思ってた


結局分からなかったんだよね


どっちなのか


でもその後もお互い何事もなく

普通なふりして接してた


相手も気に掛けてはくれてたし

なんとなくは気持ちにも

気付いてたのかもしれない


相手の気持ちは分からない


その頃は私の気持ちに対して

優しくしてくれてたのかもしれないし


でも私からすれば

客である私を無視したり怒ったり

そんな事許されるわけないのに

そんな態度を見せる相手に

何も感じないわけがないと思うのだが


もしかしたら

相手も自分の気持ちに鈍感で

その頃は気付いてなかったのかもしれない


だから表面的にはただただ優しくて

相手からも積極的に絡んできてくれてた


あれやこれやと世話を焼いてくれるし

私の好意を知って

むしろ喜んでるようにも見えた


でもどんなに関係性が良好でも

私が耐えきれなくなってきていた


きっとこの枠以上は越えられないんだな

となんとなく気付いていたので