さて、どうなる事か…北朝鮮問題! 素人考えもばかにはできない。 | momonga385のブログ

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愛猫の事や、子猫の事や、世間の嫌なことを、私情を押し殺し、冷静に、分析し、新たな切り口で、記事にしていきたい!と、思っています!

起筆・・・2018年12月13日

2018年は朝鮮半島情勢が大きく変化したように見えた。韓朝首脳による複数回の会談を通し韓朝間の緊張が和らぐ方向に向かい、更に米朝首脳会談が行われ北朝鮮の完全核廃棄が現実のものとなるかに見えたが、北朝鮮の行動は鈍く、一方的に規制緩和を望むだけだった。その中、韓国文大統領は北朝鮮と秘密裏に交渉を持ち、軍事境界線などの地雷原の地雷撤去など、北朝鮮との融和を模索し始めた。そして、韓国海軍も北朝鮮政府からの要請を受け脱北者の取り締まりや、北朝鮮船を利用した国連決議違反の支援を行ったりしていたが、三度目の米朝首脳会談で、トランプ大統領が北朝鮮の核の完全廃棄を進めるためと称し、在韓米軍の撤退を表明し、一か月を待たずに在韓米軍は全て韓国から撤退してしまった。その後、北朝鮮は。韓国に対し、制裁緩和を行うよう、強く申し入れたが、国際世論は北朝鮮の完全核廃棄の動きが見えない事から、制裁の継続を強く打ち出し、更に、韓国は秘密裏に行っていた北朝鮮支援の監視強化も行われ、北朝鮮は韓国に対し大きな不信感を抱き、ある日の真夜中、突如韓国を総攻撃しソウルを攻め落とし、更に韓国の各地を制圧するに至った。捕まった韓国軍兵士一般人は、韓国に潜んでいた北朝鮮工作員とその家族の前で一人残さず処刑され、国連ではその所業に対し、人権問題を取り上げ、国連軍による北朝鮮攻撃を決議し、即日、朝鮮半島に対する攻撃が行われ朝鮮半島は業火に焼かれ核兵器の使用により人が立ち入る事の出来ない場所となった。

あらまし

主人公、翔真は釣りに出かけ、釣りに夢中になっている間に船が流されたことに気が付く。そして目の前の海図にも地図にもない陸地がある事に気が付き、流されたことでさらに陸地に近づいていることをGPSで知ることになる。翔真の心の中に、正体不明の陸地に対する興味がわいてくる。翔真は一計を案じる。西方向に進むようにオートパイロットを作動させ、微速前進させる。自分は昼寝をしていたふりをする。そうしておけば、仮に捕まっても言い訳が出来る。後はスパイと疑われそうなものを捨てるか隠せば何とかなる。早速準備し行動に移す。天気もいい穏やかな海原を船はゆっくり進む。翔真はうとうとと眠ってしまう。

 

「未知の半島」

 

序章

20Ⅹ5年8月10日早朝

翔真(20歳)は、日本海側の港にいた。自身の父親が所有する小さな漁船を使い、釣りを楽しむためであった。海は穏やか、絶好の釣り日和であった。一人での出港のため、携帯電話などの通信機器を確認し、更に船に取り付けられている通信機器やレーダー、魚群探知機、GPSの動作確認を行っていた。前日に父親がチェックしてくれたせいもあり、全ての危機が問題なく動作していた。特にGPSは日本の領海を確認するためには重要で、なおかつ、進入禁止海域を確認するためにも正確な動作が要求される。それらを海図と合わせ、海図に進入禁止区域との区別のラインを引き、万全を期した。

 

進入禁止区域は海図にも表示されておらず、小・中・高・大学までも、表示されない理由すら教えてはくれなかった。ただ、「禁止区域に入ると帰ってこれない。」とだけ教えられていた。進入禁止区域との境目はGPSに頼るしかなかった。

 

翔真は船を固定しているロープを外し、岸壁から船に乗り移り、静かに船を沖に向けた。大型船に注意しながら、沖を目指す。二時間も走っただろうか、遠くに陸地らしきものが見える。地図を広げてみるが、中国領としか記載されていない。そして、立ち入り禁止区域が近い事に気が付いた。GPSによる現在位置の表示が立ち入り禁止区域を示している。昨晩、父から言われた事も気になる「立ち入り禁止区域の向こうに何が見えても興味を示すな。そして絶対行ってはならない」・・・なぜなんだろう。学校では教えてくれない何かがあるのだろうか、現実に目の前に現れた陸地らしきもの・・・

 

翔真は動力を切り、釣りの仕掛けの準備を始めた。大部分は父に作ってもらっていたので、即、釣りを始めることが出来た。

 

糸を垂らして10分もしただろうか、気が付かないうちに海上保安庁の巡視船が近づいていた。「漁船の方、立ち入り禁止区域が近いので十分注意しながら漁をしてください」と警告された。翔真は巡視船に向け了解の合図を行った。

 

翔真の操る船はレーダーには映りにくいはずなので、巡視船は巡回パトロール中だったのだろうか?巡視船の船影が小さくなっていく。

 

一時間も釣りをしていただろうか、釣れもしないので、移動しようとコントロールルームへ入った。GPSを見ると、流されたのだろうか、立ち入り禁止区域をはるかに超えてしまっている。釣りに夢中になって気が付かなかったが、陸地が最初に見た時よりもかなり近くなっている。

 

翔真は周囲を見渡した、監視船らしきものは海上にも空にも見つける事は出来なかった。今のところ逮捕されたりする危険はないと感じた翔真は、目の前に見える陸地らしきものに興味を抱き始めていた。レーダーを使い陸地らしきものまでの距離を計測しようとしたが、レーダーは妨害電波らしきもので、空白しか示さなかった。

 

翔真はいろんな状況を検証することにした。まず、今の状態で見つかった場合、逮捕され、どこかに連行されるだろう。そして、陸地を見ているのだから、解放されることなく人生を終えるかもしれない。もし、陸地に到着したらどうだろう。見つかれば射殺されるかもしれない。人が居なかったら?上陸し、探検できるかもしれない。ここまで来ていることを考えれば、陸地に向かい上陸してしまえば、どうなっても後悔しない・・・そう考え始めていた。

 

翔真は、もし、見つかった時の事を考え、一計を案じた。昼寝をしている間に、陸に向かっていた。そのためには、オートパイロットに切り替え微速で流されているように陸地に向かう。即実行だ!

 

何時間過ぎただろうか、船底をこする音で翔真は目を覚ました。慌ててオートパイロットを切り、エンジンを止め、アンカーを下した。結構広い砂浜であったが、沖からは丸見えである。船を隠せる場所を見つけなければならないと思い、再びエンジンをかけ、北側の小さな防潮堤の向こうに行ってみることにした。防潮堤を回り込むと落ちかけた橋と大きな川が目に入った。橋を通り抜け上流に進んでいくと、川幅が狭くなっている所に差し掛かった。注意深く通り過ぎるとⅤ字型の場所を見つけることが出来た。川幅もあり、このまま上流まで行ってみるのもいいが、もうすぐ日が落ちる。燃料も大切にしなければならない。ひとまずこの入り江のようなところに入り、船を止めた。簡単な食事をし、眠る事にした。

 

第二章 探検の道へ 20Ⅹ5年8月11日早朝 探検一日目

翔真はキャビンの中に差し込んだ朝日で目を覚ました。ここまで来てしまったからには、ここがどこなのかを知りたくなった。今、ここから帰ったとしても捕まれば、単に立ち入り禁止区域に来ただけ、何も手に入れることはできない。でも、うまくすれば、この地がなんなのか位は、知ることが出来る。翔真の心は探検への思いが膨らんでいた。翔真は船の中にあるものをすべてキャビンに集め。探検成功後。帰りに必要な最低限のものを取り分け、さらに探検に持っていくものを選別した。そしてスケジュールの作成をした。今日から7日間、内陸奥地に探検の歩を進める。行くとき、地図を作製し進めば帰りは4日ぐらいで効率よく帰れる。11日間の食料と、水、浄水濾過できる物は、高機能マスク、軽く薄いので数多く持てる。20枚入りを1箱用意した。軽量タイプのスコップ、釣り具、着替え、サバイバルナイフ、アクションカメラ、新聞紙、特に竿は太めのアルミ製にした。手元の端を絶縁テープで巻き、その上に厚手のウェスでカバーし杖にも使えるようにした。11日間耐えられるだけの荷物は結構重いものになった。体力に自信はあったが、過信は禁物である。一日の行程を40㎞とした。一時間4kmで10時間の移動である。往きは7日280㎞移動できる計算である。故郷を考えれば、280kmも内陸に移動すれば大きな町がある。移動してなにもなければ帰ればいい。このスケジュールだけは絶対厳守と決め、出発の最終準備を行った。

翔真は、付近の木々から枝を切り取り、船をカモフラージュした。次に救命ボートを船からおろし、小高いくぼみに救命ボートを入れ、木の葉で覆い隠した。いよいよ出発である。今までのところ人とは会っていない。静寂だけがあたりを支配していた。

 

第三章 内陸への旅立ち 上陸一日目 20Ⅹ5年8月11日

翔真は目の前の崖を登る事にした。高さはそれほど高くなく、目の前にけもの道のような道が崖の上目指してのびていた。翔真は慎重にがけを登りきり、平らな林に出た。とりあえず林を突っ切ってみることにした。50mも歩いただろうか、突然林から抜け自動車一台が通れるくらいの道に出た。翔真は川の上流を目指すことにし道の右手方向に歩を進めた。間もなく左側の林が途切れ赤茶けた空き地が広がっていた。道の先には大きな道が見えた。気持ち足早になる100m位して片側二車線の広い道に出た。文明があるとすれば川沿いに発展するはず。町の中心も川沿いにあって不思議はない。まっすぐ川沿いの道を進むことにした。500mも歩いただろうか左側に建物の土台らしきものが点々とある、さらに歩を進めると左側に工場跡地らしきものが見える。奥に、ガソリンスタンドらしきものが見えるが、近づいてみると、爆発したかのように、敷地が吹っ飛び、地下のタンクが見える。腐った水のようなにおいがした。再び道に戻りさらに歩を進める。左手に6階建てのビルが見えてきた。窓ガラスはすべて吹き飛んでおり、時おり風が抜けるとき、口笛のような音を立てていた。

 

翔真は、これまで歩いてきた道の右側の林に、時々、斜めに細い道が入っているのが気になっていた。どれだけの幅の林かわからないが入ってみることにした。細い道に入って気が付いたことは、そんなに奥深くない。そして先が開けている。さらに進み林が途切れた。目の前には運動公園跡と思われる光景が広がっていた。今まで歩いてきた道の方向に振り替えると、遠くにスタジアムのようなものまで見えている。帰路はこちらを帰った方がいいかもしれないと思い、再び元の道に戻る。右側の林は中央分離帯だったようだ。3kmも歩いただろうか。前方に交差点が見えてきた。左側は商業施設だったような駐車場が見える。建物は跡形もない。交差点から皮の方角を見てみる。橋は大丈夫のようであるが、高層ビルなどはなく、田舎町のような雰囲気である。それは、建物らしきものは何もなく、区割りの小さな土地が並んでいる事でも理解できた。そうであれば、今まで歩いてきた道を進んだ方がいい。時計を見ると出発から一時間、約4㎞地点。歩数計からも確認できた。腰を下ろし休憩し、アクションカメラの画像を確認する。

 

川の中を見ると水量が少なく、中須が沢山出来ていた。船を河口においてきたのは正解だった。船で遡上していたら、どこかで必ず座礁していたに違いない。安どの気持ちと、更に何かきっかけになる様のものを探そうと、休憩もそこそこに、再び歩き出した。川の流れ方に沿ったゆったりと左カーブを描く道だった。800mくらい歩いたらまた、交差点が出てきた。その先左側には5・6階建てと思われる集合住宅群があった。風の音がハーモニーを奏でる。交差点の真ん中に立ち川の方角を眺めると1km位先だろうか開けた場所が見える。夕暮れまではまだ時間がある、往ってみて何も手がかりがなくても、更に手がかりを探す時間はある。橋に注意をし、向こう岸に渡る。郊外の商店街と言ったところだろうか、区割りが小さな事でわかる。残っているビルも低層で2・3階建てである。1kmも歩いただろうか、円形交差点についた。5本の道が一か所に集まっている。右手方向を見ると円形の建物が見える。壁のガラスはすべて吹っ飛び、骨組みと堅牢に作られた、部分だけが残っている。交差点といい円形の建物と言い、これまで見てきたものとは、ちょっと違う。円形の建物を確認することにした。

 

第四章 「なぜ、このモニュメントが?」内陸への旅立ち 上陸一日目 20Ⅹ5年8月11日

円形の建物の前に立った。正面玄関らしい入り口が見える。壁にはこの施設を表していただろうものが、溶けて何を意味するか分からない。ふと手前の広場を見たら。モニュメントらしいものが放置されている。見た事のあるモニュメントである。まさかと思い近寄ってみる。もしかして・・・もしかして五輪?頭に付けたアクションカメラに記憶する。そして建物の中に入る。天井は吹き飛び、太陽がまぶしい。見た感じ駅のようにも見える。これまで線路を見ていないので、都市部は地下化しているのかもしれない。止まったままのエスカレーターで下の階に降りる。やっぱり、線路が見える。この線路を西方向に進めば内陸に向かう事になろう。まず、何らかの手がかりを探すために、建物内部を調査することにした。これから残り時間で内陸を目指し移動しても日没までは中途半端な距離しか移動できない。其れであれば、この建物や付近を調査し。何らかの手がかりを得る努力をした方がいい。明日、早朝から歩き始めれば40kmは確実に進むことが出来る。建物の中の一角に、トイレだったところやその他何かのブースのような場所があった。身を守るにはよさそうなので、今夜はここで宿泊することにした。この場所の手掛かりになるようなものは見当たらなかった。夕食を済ませ、これまで撮影した物を確認した。そして、空白の場所に地図を作っていく。撮影したものを改めてみると、遠景に廃墟と化した高層ビルが立ち並んでいる。どんなことが起きたのか、想像できるものではない。人はどうしたんだろう。動物は?考えているうち、睡魔が襲ってきた。

 

第五章 不思議な生き物との遭遇 上陸一日目夜 20Ⅹ5年8月12日

翔真はガサゴソという音で目を覚ました。そうっと物陰から様子をうかがうと、数匹の動物らしきものが建物の中央に集まってきている。月の光が当たると、薄汚れた衣をまとった生き物が甲高い耳障りな声で騒いでいる。中国語のようでもあるが更に耳障りである。アクションカメラのズームを使い、群れを観察する。群れの中央の食料を巡って騒いでいるようである。群れの中の一組が、取っ組み合いのけんかを始めた。一方が勝ち、食料らしきものを抱え建物から飛び出した。残りに生き物たちもそのあとを追って建物から出て行った。喧嘩に敗けた一匹も慌てて群れの後を追って、建物を出て行った。そして静寂が戻った。時計を見ると、12時を回っていた。この土地で初めて見る動物は夜行性、翔真は昼の行動に絞る事に決めた。アラームをバイブにし、再び眠りについた。

第六章 内陸への出発 上陸二日目 20Ⅹ5年8月13日

翔真は太陽の反射光で目を覚ました。アラームが鳴るより早く目を覚ましたようだ。アラーム設定を解除し、移動の準備に取り掛かりながら朝食を済ます。水は移動中に摂取するため、出来るだけ使わないようにした。今日の目標は40㎞を走破する事、早くスタートすればそれだけ、距離を稼げる。スタートは7時30分・・・線路の上を歩きはじめる。しばらく歩を進めると、トンネルの入り口が見えてきた。翔真は昨晩の事を思い出し、トンネルはまずい、奴らは夜行性、トンネルに居る事は十分考えられる。周囲を見渡すと高速道路らしきものが見える。ここは高速道路を利用したほうが、安全と判断し高速道路を目指す。高速道路もひび割れたところが多く、途中で一般道に降りることにした。少し危険かと思ったが、高速道路は逆に無防備でもある。しかも、ここは地図にない立ち入り禁止区域。一般道を進むため、時々コンパスで西に進んでいるかを確認しながら歩を進めた。夕日が落ち始め、距離を調べたら約40㎞進んでいた。計画としては上出来である。付近を見渡したが、建物らしきものが見当たらない、仕方ないので、太い枝の分かれ目で寝ることにした。地面よりは安全だろう。

 

第七章 内陸へ・・・上陸三日目 20Ⅹ5年8月13日 内陸へ向け二日目

翔真は木漏れ日で目を覚ました。昨晩は何事もなく、ぐっすり寝ることが出来た。不自然な姿勢での睡眠だったので、体がこわばっているので、ストレッチで体のこわばりを取り除き、朝食を採る事にした。翔真が不思議に思ったのは昨晩、例の動物が姿も気配もあらわさない事と、あれ以外の動物の気配もない。もしかすると、河口付近にだけ生息しているのかもしれない、であれば、鉄道を進んだ方が効率がいいし、トンネルだけ注意すればいい、幸いサバイバルナイフを持っているので、これで脅すこともできるかもしれない。とにかく歩を進めたいと、線路を進むことにした。

途中、何度もトンネルを抜けたが例の動物の気配は一切なく二日目も効率よく進むことが出来た。

今日の寝床は、小さな駅舎らしきもの、天井は吹き抜けているが夜露はしのげそうである。今日で約90㎞進んだことになる。夕食を済ませ、サバイバルナイフを手元に置き、眠りについた。

 

第八章 内陸へ・・・上陸四日目 20Ⅹ5年8月14日 内陸へ向け三日目

翔真は上空からバタバタという音で目が覚めた。音の方向に目をやったがすでに山陰で音の元を確認できなかったが、ヘリコプター、しかも軍用のような音であった。もしそうだとすれば、行動には注意が必要である。出来るだけ上空から確認されないように線路の両側の生い茂った木陰を歩くようにした。途中小さな駅のようなものはあったが、夜を安全に過ごせるような場所ではなく、無理しても歩を進めることにした。今日のそうは距離を確認すると約50㎞計算が正しければ約140㎞は進んだことになる。明日は、予定では最終日、折り返しの日になる。よりは安全なことが判ったので、ゆっくり休むことにした。

 

第九章 内陸へ・・・上陸五日目 20Ⅹ5年8月15日 内陸へ向け四日目折り返しの日。

今朝も、昨日同様にバタバタというヘリコプターの音で目が覚めた。今日はしっかり確認することが出来た。軍用の攻撃ヘリである。西の方角に飛び去った。思うに、あのヘリが飛び回っているので、例の動物が近寄らないのかもしれない。と言う事は、あのヘリにさえ捕まらなければ、安全に歩を進めることが出来る。翔真は線路伝いに歩を進めた。朝7時から歩き、昼になろうとしたとき、一気に目の前が開けた。遠くに壊れかけたビルが見える。あと10kmも進めばあの街並みに到着できる。翔真は我を忘れ進んだ。壊れたビルの間を抜け、開けた場所に、青い屋根の建物が見えた、これまで通過してきた街並みとは隔離されているようにも見える。歩を止め周囲の様子をうかがっていた時、突然背中に棒のようなものを突きつけられた。気が付くと防護服を着た大柄な白人二名と日本人らしき人が立っていた。外人が英語で私に質問してきた。即、日本人らしき人が質問内容を私に伝えた。「君は数日前、日本海側に上陸した日本人か?」ばれているらしい。素直に認めるしかない、「そうです」「なぜ、立ち入り禁止区域に上陸した」「釣りをし、昼寝をしている間に流されて着岸しました」外人が大笑いをしている。海流を考えればこの島に流れ着くことはない。そして、連行されることになった。ジープに積んである防具服らしきものを着せられ、腰縄をかけられ日本人らしき人のそばに座らされた。ジープは先ほど見えた青い屋根の建物に近づき、検問を通ると中に入っていく。ジープから降ろされ、事務所風のところに連れ込まれた。そこには、多くの外国人と明らかに日本人らしき人々が働いていた。先ほどの方も日本人であり、ここで働いているとの事であった。しばらく待つように言われ、コーヒーが出てきた。遠慮せずにと勧められ、久しぶりにコーヒーを味わった。数分して、日本人が5人ほどあらわれた。小部屋に案内されたが、完全に仕切られているわけではなくこの部屋の話もほかの部屋の話も筒抜けである。

 

目の前に録音機材と、記録係が座り、一番、位の高そうな人が目の前に座った。のこりの三人は私の後ろに二人、偉そうな人の後ろに一人立っている。

まずここまで来たいきさつを訊かれた。ボートの漂着の件は嘘だとばれていたので、正直に事のいきさつを話した。単なる冒険心である事を強調した。ここに来るまでに何か変わったものを見なかったかとの質問もあり、例の動物や、沿岸地区の集合住宅跡のような建物の事、五輪のマークがあったことなどを話した。そして昨日から今日の事も。一番偉そうな方は、黙って話を聞いていた。そこに、外人の上官らしき人が日本人の上官にに話しかけ立ち去った。

 

日本人の上官がおもむろに語りかけてきた。「君がこの場所にいること自体、あってはならない事なのだ。君もこの場所が地図に示されていない事は知っていたはずだ。ここは特殊な場所で、一般人は世界中のどこの国の人も立ち入ってはならない事になっている。飛行ルートも制限され、空からの確認もできない。そんな場所に君がいる。君にこの場所を隠すつもりはないが、君にも制限がかかることを理解してほしい。」翔真はそれを認めるしかなかった。さらに話が進む「この場所は、昔し、ある国が存在していたが、ある時、北と南に分かれ、其の後戦争が起き、仲裁の結果休戦となっていた。然し、北の国が核兵器の製造を始め、それが原因で制裁が行われ、制裁を回避するため北は嘘をつき世界中の国々をだました。南の国はまんまと騙され、国防をないがしろにした結果、駐留していた国連軍が撤退した後、南を攻撃し武力で統一した。しかしながら、国連軍はこの行為を休戦協定破りと決め、全軍で攻撃をした結果、この国は完全に破壊され、核兵器の使用により汚染されてしまった。そこから、長い年月がたち汚染が軽減され始め、国連軍が駐留し、生き残った国民を救出しようとしたが、既に野生化し人間とは思えない動物になってしまっていた。君が見たのは、最後に残ったこの国の者たちである。」と言って、コーヒーを口にした。その時、館内に放送が流れた。ここで働く国々の人々の言語で放送され、日本語の放送が始まった。「本日16時00分、江陵に残っていた先住民をすべて捕獲、保護した、これから管理区域に搬送…以上」周囲から誰ともなく拍手がわきあがった。翔真は「どうしたんですか?」と尋ねた。上官は「君が見た動物はこの国で最後の動物だったんだよ。正確にはこの半島の国民だったが、先ほど話したように核戦争で変質してしまった。その確保と研究のための保護が終了したと言う事。ある意味君は、小さな好奇心から歴史的瞬間に立ち会ったと言う事になる。」「私がですか?」翔真は驚きを隠せなかった。そして更に上官が続けた「君のご両親には内容は言えないが、政府の保護下にある事を伝えている。ここから先は君次第と言う事になる。君が見たあの動物の事を話さない記録に残さない。そして、この冒険の事を忘れる。これを約束できるのであれば、明日にでも君をご両親のもとに返すことが出来る。船もボートも、おって返却できる。どうする?」翔真はうなずくしかなかったが、ここまで来たのなら、全てを見せてもらったうえで記憶を閉じたいと思うようになった。「すみません、ひとつお話をさせていただいて良いでしょうか」「事によりけりだけど、話して見て下さい」翔真は思い切って話し始めた「実は、この土地に興味を示したのは、まったく知らない場所と言う事からです。そして先ほど説明を受けました。説明の中で、北と南と言う事が出てきました。では、ここは北ですか、南ですか?」「いいだろう、南です。韓国と言われた国の首都、ソウル、青瓦台跡です」翔真は続けた「では北はどうなったのですか?」「北は核実験場がすべて破壊され核兵器も破壊され北そのものが完全に汚染され人間、いや生けるもの全てが生存できなくなった。荒涼とした土地といった方がいいかもしれない」翔真は思い切って考えていることを話した「私がこの場所にいた事もこの場所で行われていたことも全て忘れてしまうのであれば、北の様子も見せていただけないでしょうか?」上官は席を立ち何やら奥の外国人と話している。そして二人が戻ってきた。「今、司令官から許可をもらった。明日の朝早く北の状況を見せてあげよう。その後、誓約書にサインをし、帰国の手配をする。」では、食事をとったら就寝してください。と兵士用のベッドに案内をされた。

 

最終章 北は?・・・そして帰国へ上陸六日目 20Ⅹ5年8月16日

翔真は久しぶりのベッドでぐっすり寝ることが出来た、今日一緒に北に向かう兵士によって起こされた。急ぎ朝食を取った。久しぶりにまともな食事ができ、生きていることに感謝した。初k字が終わると、防護服を着せられ、輸送用ヘリに乗せられた。付添いの日本兵士から、「くどいようだけど、ここから先は極秘事項、君の脳裏にとどめておくしかない。どんなことがあってもだ。誓約書を破った時、君は君が生活する場ではまともな扱がされなくなる。」「翔真は「情報操作ですか?」「そうだ、君は精神異常者として、国が管理する病院で一生暮らすことになる」翔真は「わかりました」この目でどのような事が起きたのかを確かめれるなら、帰国後、どんな理由で失踪したかは政府の演出に任せればいいと思い始めていた。輸送ヘリがその場についたのはあっという間であった。パイロットが「ピョンヤン!」と叫ぶ。かなり低空を飛んでいる。翔真はおどろくべきものを目にした。翔真は付添いの兵士に「あれは?」「あれか、あれは北の三代に渡る指導者の銅像だよ。溶けかかって傾いたり倒れたりしてはいるが、大きさにはいつも驚かされるよ。これが北朝鮮といわれた国の最後の姿だよ」翔真は絶句した。銅像以外何もない。古い映画の「猿の惑星」を思い出した。あの映画と大きく違うところは、この地には、人間を奴隷にする「サル」はいない。

 

ヘリは、日本海の北側に出た。そこにアメリカ国旗を掲げた空母がいた。輸送ヘリはその空母に着艦した。空母の内部に案内される、倉庫のような場所に私の船が置かれていた。パイロットがブリーフィングするような場所で、これからの説明を受けた。翔真は、船の故障で日本海を漂流し海流に乗り青森方面に流された。そこの周辺を哨戒作業中のヘリに発見され、空母に救出された。

打ち合わせが終わり誓約書にサインをし終わると、日本の広報官に促され、アメリカ国旗と艦名の前に立たされた。アメリカの放送局が中継することになっているらしい。翔真は空母によって救助されたことへの感謝を述べた。日本の総理とのテレビ会談もあった。そして、日本の総理大臣はこう付け加えた。「奇しくも同盟国、アメリカ大統領の名前を冠した空母によって日本国民が救助されたことに心から感謝申し上げる。我が国と、アメリカの同盟関係がさらに深まることを期待し、重ねて感謝申し上げます」アメリカ国歌が流れる中、番組は終了した・・・完 

2019年1月15日