バイクの上で寝るのが好きだった
サブちゃん
その日はコンビニの前に止まっている
バイクのシートの上で
気持ち良さそうに寝ていた
寝てるから今日は声をかけないで
そっと通り過ぎようと思っていたら
コンビニの店内からバイクの持ち主らしき
若い中華系の男性が出てきて
いきなり
スヤスヤ寝ているサブちゃんを
振りかぶってばっちーーんっ
と 力いっぱい横に叩き落とし
サブちゃんはそのまま
2メートルくらい飛んでいってしまい
転がりながら一目散に逃げて行った
…おのれ〜〜
許さんっ
目の前で我が家のアイドルが暴力を受け
ショックと怒りで湯気が噴き出した娘と私
緑のTシャツを着ていたその男性の
バイクを蹴り倒し
グーパンチと飛び蹴りを炸裂させ ※脳内
慌ててサブちゃんを追いかけたけれども
その日はもう
姿を見つける事はできなかった
小柄なサブちゃん
あんなに力いっぱい叩かれて
骨折でもしてるんじゃなかろうか
マレーシアは野良猫が多いけれども
マレーシアの人達は猫には寛容で
サブちゃんもみんなに優しくして
もらえていると勝手に思っていたので
かなりショックだった
2日後にはサブちゃんの元気な姿を
見る事ができ安心したけれど
もうバイクには近付かなくなってしまう
だろう
実際サブちゃんはもう
バイクの上で寝る事はなくなった
それ以来
なぜか毎日のようにその男性を見かける
ようになる
いつも緑のTシャツを着て
コンビニで新聞を読んでいたり
前の通りを歩いていたり
すれ違う度に
私は2回転まわし蹴りをしていた
※脳内
いつしかミドリと呼ばれるようになった
その男性
いつも険しい顔をしていたけれど
ある時からミドリの父親か祖父らしき
高齢のおじいさんと一緒にいるのを
見かける事が多くなった
回し蹴りがおじいさんに当たらないように
細心の注意を払う
ミドリはいつも
おじいさんの腰を支えてあげて
おじいさんに合わせて一歩ずつ
ゆっくりゆっくり歩いていて
夕暮れ時の川沿いのベンチに座って
2人でニコニコ穏やかに川を眺めている姿も
何度か見かけ
サブちゃんを叩いた事は許さんが
お年寄りを大切にしているから
もうこれくらいにしといたるわ( `-´ )フン
という気持ちになり
自分の中で無事に雪解けを迎えたのでした
1年くらいかかりました笑
読んでいただきありがとうございます