カラミティジェーン・紫 h16.8xw14.7xd6.7cm

 

 毎度のハイヒールのシリーズ。

 西部劇の馬の鞍とかピストルのホルスターみたいな革が手に入ったので、西部劇のキャラクターにタイトルを借りた。

 実際にハイヒールを履く女性だと、ヒール角が後ろに突っ張りすぎていて、履きにくいのが体感的に判るらしい。

 以前も書いたように、このシリーズはジルベルケの写真へのオマージュでもある為、実際の歩きやすさとは反対。

 むしろ和服同様かえって動きにくくしてしまう、「作法」>「制約」>「拘束」>「SM」の文脈だ。

 もっとも「ハイヒール」そのものが動きやすさから遠いところにある為、ジルベルケの美意識は当然の帰結とも言える。

 

 もう30年くらい経ってしまったか、美術業界限定で「フィジカル」という言葉が流行ったことがある。

 オリビアニュートンジョンの曲とは別。

 トニークラッグが「自動車の車両感覚」になぞらえて説明していたが、クラッグの作品はどちらかというと内臓感覚みたい。

 今日的には「拡張現実」あたりがこの言葉の後を襲ったらしい。

 ITがなかった世界から随分遠くに来た様だ。