陸亀・海亀二作のテーマとして、ゲットー/楽園、阿呆船(愚者の船)/補陀落渡海などがある。

 囲まれたエリアの内と外に加え、ブリューゲルの作品などでも有名な「愚者の船(阿呆船)」、そして熊野で一時期よくあったという補陀落渡海。

 前者はかつてのヨーロッパでハンディキャップのある人間を船に乗せて海に流してしまったという話。

 後者は修行を積んだ僧の即身成仏として、船で単身どこにあるかもわからぬ極楽・ポータラカ(補陀落)に向かうというもの。

 ほぼ自殺行為であることは、数日後遺体となって打ち上げられる事がある為、本人たちも判っている様子。

 今日の「宇宙船地球号」は、愚者を満載してポータラカ・経済の未来?に向かっている訳だがあまりの皮肉に声も出ない。

 本ブログの最初の方で、造形作家としてのステイトメントなどを述べた。

 「ルビンの壺」などトリックアートから触発された「図と地」の関係を、肉体という空間・人生という時間を占有する個体・個人を「図」としてみた時の、「地」に相当する社会・世界などを照らしてみたいという話。

 「~を孕む金魚」のシリーズで「丸い金魚鉢という世界が全ての金魚がもし、その丸いお腹に世界を孕んだら、金魚は何処に向かうのだろう?」というテーマ、そろそろ最終バージョンでまとめたく思っている。

 単品の小品は孕ませるネタを思いついたらまだまだ作り続けそうだが・・・「街を孕む」「朝を孕む」「星を孕む」、色々楽しい。

 しかし、最終バージョンの大出目金で孕むべきはやはり「明日・未来」なのだ。

 今夏制作・来春の個展にて発表、御期待を乞う。