「麻婆豆腐くらい簡単やろ」


そう言うなら、まずは作りなはれ。


豆腐が家にあったとしても、

ひき肉も、ねぎも、麻婆の素も、勝手には揃わへん。


冷蔵庫を確認して、

足りんもんを考えて、

買い物に行って、

切って、炒めて、味を見て、

とろみをつけて、盛りつけて。


食べ終わったら、

フライパンも包丁もまな板も洗う。


「簡単」という言葉の中には、

見えへん手間がぎょうさん隠れとる。


作る側が、自分で

「今日は麻婆豆腐くらいにしとこ」

と言うのはええ。


でも、食べるだけの人が

「麻婆豆腐くらいでええよ」

と言うた瞬間、


その“くらい”の中にある全部を、

誰かに丸投げしとることになる。


麻婆豆腐は、勝手に食卓へ出てこん。


作る人がおるから、

温かいまま目の前に並ぶ。


せやから、


「麻婆豆腐くらい」は、作る側のことばやぞ。


今日もようやっとる。

ほんまに。