2人に迫る危機
談話室に移動し、ひかりがいるのではないかと神経を張り巡らしていると、玲奈が近づいてきた。
「亜美、さっきひかりがいたの?」
霊を見ることは出来ないが、さすが玲奈だ。
気配を感じたらしい。
「すごい嫌な感覚だったの。亜美は大丈夫?」
玲奈はあたしの目をじっと見て聞いてくる。
「うん。肝試し、やらない方がいいのかも……でも、こんなことみんなに言えないし……」
あたしはなにかが起こりそうで不安だった。
「そうだよね。特に小杉と田島先輩は気をつけなくちゃ」
玲奈はこくりと頷く。
「気をつけると言っても、それが出来ないのが心霊現象でしょう?」
今までだってそうだった。ひかりが殺そうと思えば、人は簡単に死んでしまう。
『ジャマヲシタラ、コロス』
再びその言葉が思い出される。
「実はね、拓磨さんから注意されていたんだけど、ひかりのブレスレットがいつの間にかバッグに入っていたの」
「ええっ!」
玲奈が驚きの声を上げる。
「兄貴から聞いているよ。あのブレスレットがここにあるの?」
「……うん。入れた覚えはないんだけど、そんなこともひかりは出来るの。あたしたちは操られてしまうの」
「兄貴に電話する! あっ! 携帯、預けているんだった」
しまったと言うように大きくため息をつく玲奈だ。
「あたしもなの」
あたしも携帯電話は顧問に預けている。
そうこうしているうちに、談話室のドアがピタリと締まり電気が消される。
太いロウソクがひとつ灯され、某タレントの怪談話がスピーカーから流れ始める。
意外とみんなは静かに聞いている。
あたしは電気が消される前に、小杉と田島先輩がどこに座っているか確認している。
2人は離れ離れに座っていた。田島先輩は玲奈のそばに居るから安心だ。
小杉はサッカー部男子と一緒にいた。あまり気乗りしない顔つきだった。
「きゃーっ!」
テニス部の女子の方から叫び声がした。
一瞬ドキッと心臓が暴れたけれど、どうやら隣に座る男子に驚かされたよう。
20分ほどで某タレントの怪談話は終わり、そのままテニス部男子の神社にまつわる怖い話が始まる。
おどろおどろしく話す怪談話に、嘘だと分かっていても寒気を感じてくる。
翔平が隣で手をぎゅっと握ってくれているのが頼もしい。
話しが終わり、これからくじ引きで順番を決めて、神社に置いたお札を取ってくる。
一同は外に出た。
テニス部が37人。サッカー部が30人。
2人で行くとかなりの時間がかかってしまうので、3人で行くことになった。
一番手はテニス部3年生の男子と女子2人の混合。
