「Love Step」(342) | HAPPY DAY

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☆ベリーズ文庫(現代・ラブファンタジー・異世界レーベル)マカロン文庫・コミックベリーズ・マーマレード文庫・マーマレードコミックス・LUNA文庫・夢中文庫・ネット文庫星の砂にて執筆させていただいています。

朝から手の込んだ料理がテーブルの上に並んでいた。



「よく眠れなかった?」



雪哉は目の前に並べられた料理を見て聞いた。



これだけ作ったら時間がかかっただろうに。



「ううん ぐっすり眠ったよ?でも昨日のゆきちゃんの告白に興奮していたみたい パチッと目が覚めちゃったの」



「本当に?」



自分がぐっすり眠っている間にうなされて起きてしまったのではないだろうか?と勘ぐる。



「うん 本当だよ?今ね?すっごく幸せなの」



お味噌汁をお椀によそい雪哉に手渡す。



「俺も幸せだよ こんなに料理がうまい子を奥さんに出来るんだからね」



「上手じゃないよ?お料理は好きだけど」



褒められ過ぎて恥ずかしくなる。



ゆっくり朝食の時間を楽しみ、食器洗い機に洗い物を並べていると雪哉が側に来た。



「杏梨、これから刑事がくるんだ」



話しずらそうだった。



「うん 大丈夫 ちゃんと話せるから あ、ゆきちゃん 琴美さんの事聞いてる?」



罠にかけたのは琴美だが助けてくれたのも琴美だ。



杏梨は琴美を心配していた。



「あの後、病院で手当をしてから警察署へ行ったと志岐島が言っていたよ」



「・・・・・・そうなんだ ・・・あの男は・・・死んでいないよね?」



あの男が死ねば琴美が殺人犯になってしまう。



「あれぐらいでは死なないよ 病院に入院している」



それを聞いて杏梨は安堵した。




* * * * * *




それから刑事が2人と志岐島が来た。



杏梨はあった事を全て話した。



話すのは辛かったが、ふと隣にいるゆきちゃんの膝に置いている手が見えた。



ゆきちゃんの手はぎゅっと握り締められて白くなっていた。



わたしも辛いけれど、それを聞くゆきちゃんも辛いんだ。そう思ったら他人事のように話せた。



それと・・・わたしは琴美さんの情状酌量を求めた。



すべては琴美さんの弟さんから始まったことだけれど。



琴美さんは十分苦しんだ。



わたしは恨んでいない。



あの時、琴美さんは勇気を振り絞ってわたしを助けてくれたから。





続く



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