背筋正しい女性が行ってしまうと香澄が口を開いた。
「うん びっくりした 突然座るんだもん」
「杏梨、大丈夫?あいつら、ちっともカッコよくないのに勘違いしてるよ 誰でも付いて行くと思ってんだからっ!」
怒りを吐き捨てるように言うと買ってきたコーラを口に入るだけ一気に入れる。
「香澄ちゃん・・・・・・」
香澄の怒りにたじたじだ。
気持ちを落ち着かせようと杏梨もジンジャーエールを一口飲む。
少し経つと店の中が空いてきた。
みんな花火を見に行ったのだろう。
それでも数組の浴衣のカップルは話に夢中なようで残っている。
視線を店内から出入り口の方に向けると、ファーストフード店の自動ドアが開いてちょうど雪哉が入って来た。
「ゆきちゃんっ!こっち♪」
立ち上がり自由になる左手を大きく振る。
雪哉も気づき軽く手を上げた。
「ゆきちゃん、お疲れ様です」
「こんばんは 雪哉さん」
香澄が立ち上がりペコッと頭を下げる。
「こんばんは 香澄ちゃん いつもありがとうね ところで、ボーイフレンドは?」
「ええっと、もうすぐ来るはずです」
出入り口の方へ視線を動かす。
杏梨も雪哉の背後を見る。
「あれ?・・・・・・遼平さんだ」
こんな所で会うなんて奇遇だななんて思っていると遼平が3人に近づいてきた。
「こんばんは 遼平さん♪遼平さんも花火を見に来たんですか?」
杏梨は偶然に会えて喜んだ。
「えっ?そ、そうなんだ」
雪哉は遼平より香澄の顔に視線を移した。
顔がこころなしか赤く見える。
「1人なんですか?」
「い、いや 待ち合わせなんだ」
杏梨の質問に戸惑い、遼平は頭をガシガシかく。
「じゃあ、そろった所で行こうか」
雪哉が言うと香澄がハッと顔を上げる。
「ゆきちゃん、何を言ってるの?香澄ちゃんの彼氏さんが来てないんだよ?」
杏梨が大きくかぶりを振りながら言う。
「あ、杏梨っ」
さっきより頬を赤くさせた香澄が呼ぶ。
「なあに?」
「お、俺が彼氏なんだ」
「りょ、遼平さんが彼なのっ!」
2人の言葉がかぶり杏梨はポカンと口を開けて見る。
「え?りょ?彼?」
はてなマークがいっぱいの杏梨の肩に雪哉の手が置かれた。
「本当に杏梨は鈍いな 香澄ちゃんの彼氏は遼平らしい」
雪哉が恥ずかしそうな2人の変わりに言う。
「え?えーーーーーーーーーーっ!?」
杏梨は驚いて2人を交互に見比べた。
続く