家族はずっとこの言葉を待っていた | 胃がん末期の闘病記

胃がん末期の闘病記

2022年4月末に胃癌が発覚。「早期に癌を切除すれば大丈夫ですよ」と先生から言われ安堵していたのも束の間、肝臓転移が判り手術不可能で抗癌剤治療しか方法がないと一転。抗癌剤以外の可能性を求める。2023年3月「胃癌が確認出来なくなっています」と言われる迄に。

 

 

 

闘病記を書き始めたばかりですが、読んで下さっている方々に是非ともお伝えしたい事がありまして、今回は闘病記ではなく、近況報告という形でブログを書かせて頂きます。 
 
先ず現在までの経緯を簡単にご説明します。 
 
2022年4月末に胃癌が発覚。 
 
その後の様々な検査にてリンパ節多発転移。 
 
肝臓にも転移している事が判明し手術不能。 
 
放射線も不可。 
 
「化学療法(抗がん剤投与)しか方法がない。」と言われてしまいました。 
 
その時点で「何もしなければ3ヶ月の命。」とまで言われ、落胆したことを覚えています。 

 


 
血液検査では、胃癌の腫瘍マーカーと言われる『CA19-9 (基準値は37以下)であるのに対し、私の数値は基準値以内で有り『9』という数字でした。 
 
それから2ヶ月に1度、『CA19-9』という胃癌の腫瘍マーカーを測っていましたが、基準値上限の『37』を超える事は1度もありませんでした。 
 
ということは、私の血液検査に於いては、胃癌の腫瘍マーカーは全く反応しないという事になるのです。 
 
血液検査上では基準値以内、それでいて余命3ヶ月の診断が下された訳です。 
 
ですから、血液検査が基準値以内でも、それだけでは安心できないという事の裏付けになってしまったと思いました。 
 
また、その時の血液検査には、転移マーカーである『CEA』という数値の記載がありました。 
 
『CEA』という数値は、基準値が『5以下』であるにもかかわらず、『56.6』と正常値を大幅に上回る値でした。 
 
ところが、その後アガリクスとクリアリブを飲み続けた結果、2022年6月21日の血液検査では、基準値の『5』よりは少し高めですが『7.1』と正常値に近づいていました。 
 
正直、この結果には家族一同で驚きました。 
 
血液検査は2ヶ月に1度の頻度で、2022年8月16日の血液検査では、『CEA』が『3.2』と正常値に入り、その後の血液検査で『5』を超える事はなく安定していました。(別紙、血液検査参照) 

 



途中、胃や転移していた肝臓のCT検査などをする機会がありましたが、先生は胃からの出血を恐れ、胃カメラでの検査には消極的でした。 
 
また、肝臓にできていた3、4個の癌と、その他に散らばっていた細かい腫瘍は消えて、CT検査などで目視できなくなっていましたし、胃の出口付近にあった7cmの癌も目視できなくなっていました。

この様な現状を踏まえて、先月の2024年1月19日に、胃カメラなどの検査結果を聞きに、久しぶりにSK病院へ行って参りました。 
 
先生は、現在に至るまでの状況を不思議に思っていた筈です。

癌が目視できなくなってからは、診察をする度に「今は癌が大人しくしているだけなのです。今後のことを考えると、今の内に胃を全摘した方が安心だと思います。」という言葉を繰り返し提案して下さいました。 
 
私的には、癌が消えている状況なのに、なぜ胃を全摘しなければならないのか、納得できない感情が、先生の提案を頂く度に湧き上がりました。 
 
また、胃の全摘には、父親がスキルス性の胃癌で胃を全摘し、周りの臓器までほぼ切除して苦しい思いをしながら亡くなって行った過去の苦い思い出がありましたので、余計に先生の提案でも踏み切れませんでした。

先生は私の為だという想いで提案して下さっていると思うのですが、その気持ちに応える事が出来ずに、良い返事が出来ずに現在に至りました。 
 
この様な状況で2024年1月19日を迎えたのです。 
 
先生の検査結果の報告ですが「MRの画像の結果は良い感じです。肝臓の転移はほぼ消失しています。胃カメラの結果も特に変わりはないです。傷痕がある位ですね。胃がん(7cm大)があった所は引きつれている状態ですが大丈夫そうです。それなので、完全に治ったかもしれないですね。」と言って胃カメラのコピーをくださいました。 

 


 
私は先生の言葉を受けて「こういう例はあるのですか?」と聞いてみました。

すると先生は「そうそうないです。症例報告レベルです。驚きです。こういう患者さんの報告を聞いてはいましたが、実際に目にするのは初めてです。そうは言ってもですね、今後再発かもしれないので、ゼロではないので、検査は続けていきましょう。」と言いました。 
 
因みに、この時は胃の全摘の話がありませんでした。 
 
思えば2022年4月26日、体調不良から色々な検査を経て胃癌が発覚。

リンパ節多発転移、肝臓転移、ステージⅣ、おまけに「余命3ヶ月の宣告」 。
 
当時はこれからどうなってしまうのか分からず、手探り状態の中で、次から次へと決断を迫られました。 
 
とにかく私は主人や娘や孫たちの為に生きる事を選択し、主人は一生懸命に、私の命をつなごうと必死で動いてくれました。 
それから月日が流れて、もう少しで「余命3ヶ月の命」と診断されてから早2年近くになろうとしています。 
 
私と家族はどれだけこの日を、そして先生の言葉を待ち侘びていたことでしょう。 
 
こうして今を元気に普段通りに生きているということに、感謝しきれない想いが溢れてきました。 
 
私は胃癌が発覚した当時、家族以外の人には胃癌末期で余命3ヶ月であることを全く打ち明けていませんでした。 
 
私の姉たちにも伝えていませんでした。 
 
ところが、先生から「完全に治ったかもしれないですね。」と言われた瞬間から、嬉しさのあまり、誰かに伝えたくて伝えたくて仕方がない気持ちが、芽生えてしまいました。 
 
いつしかから、この言葉をずっとずっと持ち続けていて、「癌に勝った!」という喜びを誰かに伝えたくて仕方がなくなっていたのです。 
 
後日談になりますが、今まで親しい友達にも黙っていた胃癌のことを初めて話すと、誰からも帰ってくる言葉は同じで、第一声は「信じられない。」の一言でした。 
 
私の傍で見守ってくれていた主人や娘も、未だに信じられないと言っている訳ですから無理もないと思います。 
 
「完全に治ったかもしれないですね。」と言われてからの1~2週間は、緊張の糸が切れてしまったかの様に毎日を呆然と過ごしました。 
 
この目まぐるしい2年近くの闘病から解放されたのですから、穏やかに過ごしました。 
 
「癌に勝った。」

「癌は消えることもある。」

信じられない気持ちを持ちつつも、先生の言葉を真実と受け止めて、これからも健康に留意して毎日を送って行きたいと思います。