金原瑞人さんの翻訳エクササイズからちょっと抜粋させていただきます。

 

イギリスの作品の場合、次の訳は多くの場合、誤訳です。正しい訳はなんでしょう。

 

~中略~

 

⑥ワーキングクラスの家庭に遊びにいって、「お茶を飲んでいって」といわれた。

 

~中略~

 

 

⑥Please stay for tea. これは「夕食を食べていって」。ワーキングクラスでなくても、夕食という意味でteaを使うことはあります。

 

p13-14 初級~中級編 翻訳エクササイズ 金原瑞人著 

 

 

翻訳エクササイズ

 

 

本には④番にトレーナーという言葉も出てくるのですが、これもイギリスに住む日本人勘違いアルアルの一つ。

トレーナーとは日本語では運動靴のこと。知っている日本語なだけに、それが違うものを指しているなんて思わないですよね。

 

⑥に話を戻して。

ちょうど数日前に、アメブロでおススメにでていたブログを拝見した際に、

ニュージーランドで「teaは何がいい?」と聞かれ、実はそれが夕食の事だったと書かれていました。

すごいタイミングだったので、この問題も瞬時に分かったのですが、

なんでteaが夕食の意味になるの??と疑問が残るばかり。ググってみるとこんな表記が。

 

How does high tea differ from afternoon tea?
If afternoon tea belonged to the upper echelons of society, then high tea was the poorer man’s version. Victorian-era working folk returned home from a hard day’s graft famished. Emulating their loftier counterparts, high tea became a staple of British life. Whilst afternoon tea was typically enjoyed whilst sitting demurely on a sofa chatting amongst friends, high tea was a meal for workers, enjoyed at the table with family. High tea was taken as dinner, rather than a simple snack.

https://www.hotelchocolat.com/uk/blog/food%2Bdrink/what-does-afternoon-tea-mean-to-the-british.html

 

アフタヌーンティーがUpper classが楽しむもので、ハイティーはもともとWorking classの夕食のようなものだったんですね。

現在ではアフタヌーンティーもハイティーも似たような扱いになってはいます。フォートナムメイソンでもアフタヌーンティーもハイティーも両方提供されています。

 

2015年にフォートナムメイソンでいただいたハイティーの1品、シグニチャーディッシュの一つ ロブスタービスクのオムレツ

フォートナムメイソンのハイティーのメニュー。

https://www.fortnumandmason.com/media/fortnums/blogpost/pdf/DJTS_HighTea_Autumn_2023.pdf

ハイティーにはlight mealが選べるという感じでしょうか。

今ではハイティーは£82と書かれていてビックリ!約1.5万円!!

当時は多分もっとお手頃だった気がします。(そして今ほど円安でもなかった)

 

 

Wikipediaにも記載がありました。

Australasiaって初めて聞いたのですが、こういう言葉ってあるんですね。

Tea as a meal is associated with the United Kingdom and some Commonwealth countries. Some people in Britain and Australasia refer to their main evening meal as "tea" rather than "dinner" or "supper", but generally, with the exception of Scotland, Northern England, and New Zealand, "tea" refers to a light meal or a snack.

 

ただ、みんながみんなtea=evening mealというわけではなさそうなので、

訳すときはすごく悩みそうですね。

とはいえ、それがミステリーのカギとなる場合以外、そこを間違ったとしても読者の多くは気が付かなそうですが。

 

 

せっかくなのでteaを使った慣用句をいくつか残しておきます。

ChatGPTの回答を元に、英字新聞で使われているかチェック。

太字部分 ChatGPT生成
"Not my cup of tea" - 何かが自分の好みや興味に合わないときに使う表現です。例: "Action movies are not my cup of tea. I prefer romantic comedies."

アメリカ NY Timesでは、年に1-5回使われているかないか。そのうち3記事みてみたのですが、全て高齢者が使っていました。
イギリス  私のリソースがFTなのが問題だと思うのですが、NY Timesよりもヒットが少ない!Evening Standardもチェックしてみたところ、FTよりは多いものの、やっぱり新聞向きの表現ではないのでしょうか。ただ、アメリカに比べて年代固定というわけではなさそうです。

"Spill the tea" - ゴシップや秘密を共有するときに使われる表現です。例: "She spilled the tea about what really happened at the party last night."
アメリカ NY Timesでは、年に1-3回使われているかないか。
イギリス FTでは1件泣き笑い Evening Standardでは多くヒットしたので、やっぱりFTで慣用句を調べるのは無理がありますね。

"Tea and sympathy" - 他人の悩みや問題に対する共感や支援を意味します。例: "She always offers tea and sympathy when her friends are going through tough times."
アメリカイギリスもヒットするのは1件とか2件かな?と思っていたのですが、想像よりも多く使われていました。

"As good as a chocolate teapot" - 何かが全く役に立たないことを指す表現です。例: "Expecting him to fix the car is as good as a chocolate teapot; he knows nothing about cars."
さすがに、NY timesもFTもEvening Standardも全滅でした。ですよね。