うっせぇな | 空即是色

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歌うことが好き、見ることが好き、書くことが好き

月1回のバンドスタジオリハーサルの日。

横浜組は4人いていつも一緒に行くのだけれど、今日はひとりが欠席でもうひとりは用事があるとかで行きは別行動だった。

 

残りのひとりのKさんと一緒にいつもの時間の電車に乗った。

3人掛けのシートの真ん中一つしか空いていなかったので、荷物の多い彼女に席を譲って私は正面に立った。

いつもの4人組だと忖度マスクをするのだけれど、Kさんはあまり気にしない人なのでノーマスクで通してしまった。

 

立っている私と座っているKさんで他愛ない会話をしていたのだが、少し沈黙が続いて別の話題をふった途端、Kさんがジェスチャーで(話さないで!)と訴えてきた。

私はすぐに話をやめた。

Kさんの左隣に座っていた人が降りていったのでそこに座ったのだが、それでもKさんは何も話そうとしなかった。

 

渋谷駅で降りるとすぐに何が起きていたのかネタバレをしてくれた。

「私の右隣に座っていた女性が『うっせぇな!!』って言うのよ。それも3回も」

「そうだったんだ〜」

「私が座った時も、リュックの肩紐がその人にちょっと触ったんだけど、思い切り手で振り払われたし」

「やな女だねえ。絶対に友達になりたくないタイプ」

「そうそう」

 

私にはその「うっせえな」は聞こえてこなかったのだが、座っているその女性を一瞥はした。

テイクアウトのドリンクを膝の上に乗せて、いかにも不機嫌そうな顔でスマホを見ていた。

 

もし私がマスクをしていたら、この嫌な女はうっせぇなとは言わなかったのだろうか。

そのあたりは謎だが。。。