退職後、夫と並んで歩くことが増えた。そんな時、ふと考える。結婚したころに想像していた60歳の生活は、今のような生活だったのかな・・・と。

 

結婚したころは、60歳定年で、その後は「年金生活」というのが「当たり前」だった時代。2人とも公務員で、大手民間企業のように高給取りではなかったが、普通に生活するには十分で、きちんと定年まで勤めあげれば、安定した老後が待っている・・・はずだった。ゆったりとていねいに生活しながら、時々コンサートや展覧会に行き、夏には蓼科への旅行を楽しむ・・・。2人とも、「趣味」というものを明確に持っていなかったので、そんな生活を想像していたように思う。

 

さて、現実は・・・。

2人とも60歳は越えたが、いまだ働いている。なぜなら、年金がまだ支給されないから、働かないと生活費がないというのが偽らざる現実。ただ、フルタイム勤務ではないので、現役時代に比べれば時間的な余裕はできた。そして、心の余裕も・・・。

だから、冒頭に書いたように、2人で歩く時間が増えたのだと思う。「住み替え」をしたことで、商店街やショッピングセンターが徒歩範囲になったことも、大きな要因の一つだけれど。「ていねいな生活」は、まだまだ遠いが、展覧会やコンサートには少しずつ行けるようになってきた。そういう意味では、「あの頃に考えていた退職後の生活」に近づいているのかもしれない。ただ、この生活を続けるには経済的な裏付けが必要だということも実感するのも事実。何を言っても、結局そこが一番重要なんだろうなあ。

 

「夫婦」になって30数年。大きなトラブルなく過ごしてこられたのは、ひとえに我儘なmomoko-mamaに対する夫の心の広さによるもので、夫には感謝しかない。